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「北山さん、先ほどはなかなかかっこよかったですよ。私が口出しする隙が、まるでなかったですね」


「いやいや本当にお恥ずかしい限りです。でもあれくらい言わないと、素直に帰ってくれないでしょうからね」


「そうですね。そうでしょうね」


「それにしても女は、と言うか妻は強し、と言ったところでしょうか。ほんと最初見たときは正直びっくりしましたよ」


「そうですね。私たちも飯田の奥さんに負けないくらい、強くならないといけないですね。負けていられませんね」


「ええ、そうですとも。負けていられないですよね」


北山が笑い、つられるようにして岩崎も笑った。


北山はともかく岩崎が笑ったのは、本当に久しぶりのことだった。



飯田の妻を送り届けたあと、二人は山に戻り捜索を再開した。


戻ったはいいが、岩崎には気になることが一つあった。


それはライトのバッテリーだ。


懐中電灯は電池で明かりをともし、その電池は古いものでなければかなりの時間使えることは、今までの経験で岩崎にもわかっていた。


それにいざと言うときの予備も、北山は用意してくれていた。


しかし頭のライトのバッテリーは違う。


こんなものを岩崎は今まで使ったことがなかったからだ。


ゆえにどれだけの時間有効であるか、岩崎には予測がつかなかった。


おまけに電池とは違い、予備もないのだ。


岩崎は少しばかり悩んだが、結局北山に直接聞くことにした。


「そのバッテリーは、フルに充電しておけば、かなり長持ちしますよ。もちろん家でフル充電しておきましたが」


岩崎に聞かれると、北山はそう答えた。


岩崎はそれを信じることにした。


北山が言うことだから、間違いはないのだろう。



何かに集中していると、時間はあっという間に過ぎてゆくものだ。


岩崎は夕方でもけっこう集中して捜索をしていたつもりだが、夜は次元が違っていた。


まず夜のほうが危険であると認識していたこと。

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