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見ればその光りはこちらに向かって来ている。
二人はそのまま待った。
さらに近づいて来た時、岩崎が気付いた。
――懐中電灯?
それはどう見ても懐中電灯による光だった。
となれば、それを持っているのは人間ということになる。
だとしたら、いったい誰が何のために、しかも危険と言われている夜の山の中を、たった一人でさ迷い歩いているのかと言うことが問題となる。
懐中電灯の光がさらに近づき、二人の目の前まで来た。
ただその光りは、岩崎と北山から少しずれた位置を照らしていた。
岩崎と北山が立ち上がり、二人同時に懐中電灯の光を点けた。
「きゃっ」
「えっ」
「えっっ」
光りに照らされたのは人間の女。
驚いたことに飯田の妻だった。
飯田の妻が一人で夜の山を歩いていたのだ。
お互いに顔を見合わせていたが、岩崎が最初に口を開いた。
「飯田さん、こんな時間にこんなところで、いったい何をしているんですか?」
「えっ、いや、あの、その。何か光が見えたような気がしたので、いったい何だろうと思って……」
岩崎たちの灯りが飯田の妻から見えたのだろう。
しかし問題はそこではない。
「そうではなくて、こんな時間にこんなところで、あなた一人でいったい何をしているんですか、と聞いたんです」
彼女はここでいったい何をしているのか。
この時すでに岩崎は薄々気付いていたが、あえて聞いてみた。
「いや、主人を襲ったやつがいるんじゃないかと思って」




