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大型だが、一般的な懐中電灯だ。


ヘルメットとベルトは二つずつあるが、これは一つしかなかった。


岩崎が懐中電灯を見ていると、その視線に気付いたのか、北山が言った。


「私にはこれがありますからね」


猟銃のことだ。


確かに猟銃は、通常両手で使用するものだ。


北山がバックの底から何かを取り出した。


「あなたには、これを」


片側に包帯のようなものが巻きつけられている、棍棒と言っても差支えがないしろものだったが、ただの棍棒ではなく、上部にいくつか刃物が埋め込まれていた。


「昼間、作ってみました。殴られるのはもちろん痛いですが、切られるのもけっこう痛いですからね。相手によっては、殴るよりも効果がありますよ」


岩崎は手に取り、軽く振ってみた。


すこし重いが、使い勝手は思っていたよりもよさそうだった。


「充電はばっちりです。いざと言うときのために、予備もちゃんと用意しました」


岩崎がベルトを腰につけようとすると、北山が言った。


「まだです。まだ日が沈んでいません。夜の捜索は禁止されています。それなのにこんなものをつけてうろうろしたら、私たちは夜も山狩りを続けますよ、と声を大にしていっているようなものです。これはとりあえず岩崎さんの自宅に置いといて、日が沈んだら取りに来て使いましょう」


北山は猟銃を持ち、立ち上がった。


「さあ、今日からがともらい合戦の本番ですよ」


そう言った北山は、岩崎がこれまで見てきた中で、一番気合の入った目をしていた。



岩崎と北山が山に入ってしばらく経ったとき、目の前から一人の女性が二人を見ながら近づいて来た。


――この人は、確か。


前に会ったことがある。


テレビでも見た。


飯田の妻だ。


下の名前はテレビでも言っていたが、忘れてしまった。


「いつもご苦労様です」


岩崎や北山が声をかけるよりも先に、飯田の妻がそう言った。


ここまでのものはなかなかお目にかかれないほどに、癒しで満たされた笑顔とともに。

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