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井上は記憶をたどり、やがてたどり着いた。


あの女はテレビで見たのだ。


山のふもとの住宅地に住む飯田という男が消えたが、彼女はその妻だ。


――なるほどねえ。うちのやつから今は実家に帰っていると聞いていたが、戻っていたんだな。


夫を亡くした妻が、未亡人となった女が、夫の敵を狩る者を激励しに来たのだ。


井上は猟銃を手にとり、立ち上がった。


――飯田さん。あんたの気持ち、しっかりと受け取ったよ。


今までは強制されて山狩りに参加していた。


誰のためでもなかった。


もちろん自分のためでも。


しかし井上は、これからは飯田の妻のために、ただ一人の女のために山狩りをしようと思った。


井上は歩き出した。


そう心に決めた井上の足取りは、これまでで一番軽かった。



次の日、岩崎が仕事を終えて帰宅すると、すぐさま北山がやって来た。


大きなボストンバッグを抱えて。


北山はボストンバッグをおもむろに開けた。


「まずは、これです」


最初に取り出したのはヘルメットだ。


そのヘルメットには、ヘルメットと比べると明らかにバランスが取れてないほど大きなライトが、前についていた。


おそらく既製品ではなく、北山が自分で手作りしたものだろう.


岩崎はそう思った。


「その次は、これです」


幅広のベルトに、大型の懐中電灯がくっついている。


どうやら腰につけるもののようだ。


これまた岩崎には、北山のお手製に見えた。


「最後はこれです」

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