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――なんなんだあいつは。やっぱり普通じゃないぞ。
下谷は何も見なかったことにした。
下手に関わるとよくないことが起こりそうな気がしたからだ。
そして何事もなかったかのように、仕事に戻った。
岩崎の心は躍っていた。
今日は久しぶりに日華利に会えるからだ。
最近はお互いの仕事の都合などで、なかなか会うことが出来ないでいた。
二人で映画を見て、高級フランス料理を奮発し、そして別れた。
もっと一緒にいたかったが、日華利は今から夜勤ということで、帰ってしまった。
彼女が去った後、岩崎は考えた。
――もう、そろそろかな。
もうそろそろとは、結婚のことだ。
飯田は酔っていた。
酔いの中で帰巣本能がいつも以上に強くなり、その結果として山に入った。
山に入った理由は簡単だ。
この先にある大きく湾曲した道を正直に歩くよりも、山を横切ったほうが近道だからだ。
山を歩く距離は短く、傾斜もさしてきつくはない。
たとえ酔っていても、苦労することなく通り抜けることが出来るはずだ。
そしてもう少しで山を抜けるというところで、飯田は立ち止まった。
――うん?




