満月の夜に
ある国に不思議な赤子が生まれました。
その赤子はとても賢く、喋れるようになると、すぐに言葉を理解し、すらすらと喋れるようになり、文字もかけるようになりました。
周りの人々は天才だ!と、騒いでいました。
そして、成長すると、国の中で1番と言われるほどの美人になりました。しかし、彼女は誰とも婚約を結ぼうとしませんでした。
「ねぇ、カイ早く迎えに来てよ…」
満月の浮かぶ夜に彼女は必ずこの言葉を言うのです。しかし、誰もカイという人物を知りませんでした。
そんな彼女が15歳の誕生日のこと。
満月の夜でした。
パーティーを始めようとしたとき、知らない男が入ってきたのです。
遅れてすみません。と、男は謝りました。
しかし、招待された人々は全員揃っていたので、男は元々招待されていなかったのです。
貴様は何者だ。と、彼女の父は言います。
男が何かを言おうとしたとき、
「カイ…カイなの?」声が会場に響きました。
その声は彼女でした。
…あぁ、そうだよ。と男が言います。その瞬間彼女は泣いて、男に抱きつきました。
「会いたかった…」と、彼女が言うと、男も俺も会いたかった…。と、言いました。
しかし、この幸せな時間は続きませんでした。
おい、その男から離れろ。と、彼女の父が言ったからです。
「嫌です。」と、彼女が言っても、いいから、離れろ。としか、言いません。
「……ごめんなさい。お父様。私はずっと秘密にしていたことがあります。私は前世の記憶を持っているのです。彼は、前世の私の恋人です。」と、彼女が言うと、彼女の父は固まってしまいました。
満月の夜に迎えに行くと、彼女と約束していたのです。
と、男も言いました。では、お前の身分を証明できる物はあるのか。と彼女の父は言います。
男は少し考えると、自己紹介を始めました。
突然すみません。隣国の第一王子カイトと、申します。あなたの娘さんと結婚するために迎えに来ました。どうぞ結婚をお許しください。
と、彼は言いました。
彼女の父はまた、固まってしまいました。
隣国の第一王子でしたか。大変失礼いたしました。どうぞ、娘で良ければもらってください。
と、ころっと態度を変えました。そして、今、この時を持って、この二人は婚約をする。と、言いました。
そして、二人は結婚をし、幸せに暮らしましたとさ。
なんか、すごい物語になってしまいましたね。
そうですね。でも私はあなたが迎えに来てくれたことが絵本となって、残っているのはとても嬉しいですわ。
俺は恥ずかしいですよ。…………これからも一緒に幸せに暮らしましょうね。
はい。絶対幸せにしてくださいよ。
絶対幸せにします。