夢の話
これは夢のお話。
かくゆう私も夢の住人だ。
なぜ夢の住人がこうして話しているのかって?
焦らない、焦らない。
それはこの後のお話。
すこしは昔を語らないながら話したいじゃないか。
なに? この夢に付き合っている時間はない?
もっと早く寝ればいいだろう。
宿題か? 仕事か?
そんなのは私には関係ない。
睡眠時間が短いのを夢に愚痴られても、現実世界のことを変えることはできないさ。
もういい加減にしてくれ?
わかった、わかったよしょうがないな。
さて、どこから話そうか。
そうそう、あれは幼いころの夏だった。
小さい村に住んでいてね、あそこは緑が豊かだった。
朝はやくに山の方へと進んでいくと、カブトムシやクワガタがたっくさんいて、それはもう子供心ながらに楽しかった。
学校までは遠かったけど、捕まえたカブトムシを自慢していたのは夏の思い出だ。
秋になると、紅葉が綺麗でね。
寒くなるのは早かったが、落ち葉で焼き芋をするのが楽しみで仕方がなかった。
冬は学校で雪合戦をしたかな。
雪が降り続いて、晴れた日には一面、銀世界だったよ。
小学校を卒業すると、さらに遠くの中学校へと行くようになった。
桜並木を自転車で走りながら、歩いてる人を追い越しては、それまた追い越して。
遅咲きの桜はたしかに綺麗だった。
小学校来の友人もクラスは別々になり、新しいクラスメイトと話をする。
最初のうちは馴染めなかったけど、それでも何人かの親しい友人を作ることはできたさ。
そのころだったかな。
確か……そう、吹奏楽部だった。
吹奏楽部にいた女の子に恋をした。
我ながら恥ずかしい話だけど、私の初恋だ。
その女の子はとても優しくてね。
親しくなったはなったのだが、その女の子には意中の子がいて、私はいい友達どまりだった。
まぁよくある失恋だよ。
家に帰って泣きはしなかったなぁ。
ある程度は予想していたし、中学校の恋愛なんて大人の真似事レベルだから、無意識のうちにそれを自覚していたのかもしれないね。
たしか、これは……中学校2年いや3年?
すまないね、詳しくは覚えていないんだ。
まぁその程度だったってことだ。
それから何をするわけでもなく、高校に進学して、このころから家を出て……一人暮らしを始めようとした。
結局は学生寮があったからそこに入ったんだけどね。
いや、寮がある学校なんて珍しかったから私も驚いたよ。
私立の高校だったし、その分、お金もかかったからね。
私は学費の合計金額を知らないが、普通に高校へ通うよりも高くついたと思う。
寮では同い年の男と一緒で、夜はあの子はどうだ、この子はどうだとよく話したよ。
懐かしいなぁ……。
そこで私は2度目の恋をした。
それははっきりと覚えているよ。
高校2年の春だ。
クラスが変わって、たまたま私の席の隣だった女の子に一目惚れをした。
窓から差し込む日の光が、その子の黒髪に反射して、それはもう目を奪われたよ。
私が話しかけると、その子は人見知りなのか、うんとか、そうとしか言わなくてね。
普通に話せるようになるまで、かなりの時間がかかった。
ようやく慣れてくれたのか、その子に関してよく知ることができたよ。
一目惚れだったとはいえ、だんだんとその子にひかれていってね。
結局付き合うことはできたんだ。
まぁ、高校卒業をしてすれ違いがひどくなって別れてしまったけど。
その時は泣いたなぁ。
別れは彼女からメールで切り出された。
これで「他の好きな人ができたんです」とか書かれていたら、まだよかったんだ。
だけど、メールには「貴方のことはまだ好きです」と書かれていたらもやもやも消えないさ。
結局、何度も連絡を取っても彼女が答えることはなかった。
酷い別れ方をしたなって思うよ。
大学に入っていたから、飲み会の席でその別れ話をして号泣。
一気にしらけさせてしまったが、酔っていた私はそんなことを意にも介さなかった。
その私を慰めてくれたのが、1個上の先輩だった。
彼女は就職活動中ということもあり、会う機会は少なかったが、私のことを何かと気に留めていてくれた。
気さくないい人だったよ。
彼女の卒業時に思い切って告白をしてみた。
玉砕覚悟、当たって砕けろってね。
いやぁ、あれはかなり無茶をしたね。
大学の門から一列で並んでる卒業生に向かって「先輩! 好きです!!」なんて叫んだからね。
いまとなっては笑い話だよ。
その時も周りには笑われたけどね。
その日の夜、メールが来て、返事が書いてあった。
お、食いつくね。
返事は「OK」だった。
ガッツポーズしたね。
もう、よっしゃって感じに。
高校時代に失敗したから、今度はできる限り会うことにした。
自分が就職活動ってこともあったし、会える時間は少なかったけど、それでも充実した毎日を過ごしていた。
第一志望だった会社に内定し、そこからの人生は順風満帆だったよ。
でも……おや?
もう時間のようだ。
ほら、目覚まし時計のベルが鳴っている。
続き?
気にしても仕方がないだろう。
初めに言ったが、これは夢の話。
君が目覚めたころにはすべて忘れているよ。
ほら、起きた起きた。
また会えた時に、君が覚えていたら続きを話してあげるよ。
だけどほら、もう君が夢から覚める時間さ。
どうも、Make Only Innocent Fantasyの三条 海斗です。
ちょっと短編が書きたくなって、書いてみました。
これは"本当に"夢の話です。その夢が寝ているときに見ている夢なのか、願望の夢なのか、それは読んだあなたが決めてください。だってこれは"夢"の話ですから。
それにしても、(書いた本人が言うのもなんですが)意味が分かんないですね。
どうして、この話になったのか、あとがきを書いている今でもよくわかってないです。
でも、夢の中の住人が話しかけてきたような、そんな錯覚がしました。
本当にファンタジー。
寝ぼけているんでしょうかね。
なら、早く寝ることにします。
稚拙な部分も多いでしょうが、これからも頑張っていきますので、また会えたらよろしくお願いします。
では、この辺で。
Make Only Innocent Fantasyでした。