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前夜(プロローグ)
「皆殺しだ」
そう言って鬼は、赤黒く逞しい腕を胸の前で組んだ。
「奴らと共存する、という選択肢は我々にはもはや必要ない。数百年に渡る隠遁生活にピリオドを打つ時が来たのだ。」
周りの鬼たちがその言葉に雄叫びと共に賛同する。
それにつれて空気がどんどん張り詰めてくるのがわかる。
「そもそもかの奴らのような我々よりも知能が遥かに劣り、吹けば飛ぶような貧弱な体躯しか持ち合わせていない塵芥共、」
「たまたま数が多かったというだけで我々を隠遁せしめ、調子づいてこの日の国でのさばり散らすあのゴミ共を、」
「一人残らず根絶やしにするのだ!」
鬼の語気が荒くなってくる。
それにつれて、周りの鬼たちの熱気も高まっていく。
「手始めに、同志諸君、我々は今から計画通り、鬼に関わる人間の結束を固めようなどとのたまい、呑気に行われている集会に乗り込む。我々誇り高き鬼達と今まで通りの関係ではいられないことを、奴らの死を持って人間たちに思い知らせてやるのだ」
「平安から続くこの忌まわしい連鎖を!今我々の代で終わらせるのだ!」
「行くぞ!もの共!!」
その日1番の雄叫びが長く響き渡り、それと同時に、地獄の行軍が始まった。




