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プロローグ

肌を刺すような冷たい外気、吐く息はもれなく白く色づき、血の巡りの悪い末端のすべてがじんじんと疼く。

さっき寝たような気がするのに叩き起こされた。揺さぶられて起こされるうちはいい。揺さぶられているうちに起きないと冷たい水をかけられるのだ。早く歌えと乱暴な催促と共に。




一日が24つの刻で区切られている世界。ここでは日に2回1時間ずつ氷の刻と呼ばれる時間がある。一部の民からはこうも呼ばれる。姫巫女の休息の時間だと。


王政が布かれたこの国を支えているのは王族でも民でもない。たった一人の姫巫女の存在だ。なぜならこの姫巫女の歌声によって国が守られているのだ。



この守るというのは一概に外敵からといえば簡単だが、たくさんのものがある。


一つ、過酷な外気から。

一つ、隣接している魔族の侵入から。

一つ、魔族が使う強大な魔力から。


なかでも外気は最も死活問題であると言える。この国の気温は本来であれば常に氷点下なのである。

はるか昔人間は魔族領に暮らし、過酷な気温から魔力によって守ってもらうため、魔族から労働を強いられた生活を営んでいた。人間にも多少の魔力を扱うものがいたが、その魔力は魔族とは比べるべくもない脆弱なものだった。



しかしある時魔族に支配された状態を良しとしない者が立ち上がる。魔族に伝わる願いを叶える秘宝を盗み出し、人類すべてを守る力を授けることを望んだ。


この結果生まれたのが始まりの姫巫女 ルクレシア


彼女の歌声によって紡がれる結界は魔族が触れることさえも難しい不可侵の結界だった。


秘宝を盗み出した勇気ある一族は人々をまとめ上げ魔族領を脱出。温暖な気候を見つけることは叶わぬまま海のそばに拠点を作り、ほそぼそと人間だけの生活を始めてはや800年。姫巫女は24代目となり、国ははるかに大きく発展をとげた。



24代目となる姫巫女はかつてないほどの力を有し魔族領の一部すら飲み込めるほどの広大な結界を張ることができた。


その力がきっかけだったのか

野望を抱いた王族がきっかけだったのか



この国はすでに10年もの時を魔族との争いに費やしている。








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