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狼物語  作者: 椿 杏梨
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新たな友人

すみません。更新が、物凄く遅れてしまいました・・・(。。;)



獣道を歩き続けて着いたのは、小川が流れていて開けた所。

私は、小川の近くまで歩いていってしゃがみ込んだ。

そこには緑と白の植物が生えていて、日の光を浴びて光っている。

それを摘んで、あらかじめ持っていた袋に入れていく。


「さっきから何してるの?」


いきなり聞こえた声に驚いて振り返ると、さっきの白兎が興味津々といった様子で除き込んでいた。

む・・・かわいい・・・

元々、動物は好きだったから、半狼になったのは嫌だったけど動物と話せた時は本当に嬉しかった。

人は嫌いだけど、動物は好き。

一緒いると楽しいし、落ち着く。

動物の世界には他との面倒な関係なんかない。

人間の世界にはいつも暗い闇が付いていて、外面は華やかで綺麗でも内面は醜く歪んでいる。

王都にいた頃は毎日がそうだった。

何が本当で何が嘘なのか分からなくなる。

あいつから逃げた後、うちに来ないかと言ってくれる人もいた。

けれど、その時にはもう疲れが限界に達していた。

精神的にも、肉体的にも・・・・・

何処でも良いから逃げ出したかった。

人のいない所に・・・・

そんな私に、この森は優しかった。

だから、私は此処で生きていこうと思った・・・


「聞こえてる?」


兎の声で現実に引き戻された。


「あ・・・えっと、シーモっていう植物を摘んでるの」

「シーモ・・・王都では珍しい植物なのに。こんなに生えているなんて・・・・」


兎は感心したようにシーモを見つめている。

その姿にキュンとしたけど、何とか平常を保ち話しかけた。


「王都・・・あなたは王都から来たの?」

「まぁ・・・・そうかな?」

「それじゃあ、飼い主がいるのね・・・何処ではぐれたの?此処は人間は入れないから早く出ないと飼い主が探していると思うわよ?」


そう言うと、兎は首を傾げた。


「君は例外なの?人間なのに・・・・」

「私は別。半狼だから・・・それに、この森に人間を入れなくしたのは私。まぁ、入ろうと思う奴なんかいないけどね」

「何故そんなことを?」

「人間が嫌いだから。ほら、早くしないと飼い主に会えなくなっちゃうわよ?」


いつまでも離れようとしない兎を不思議に思い、そう言った。

けれど、兎の反応はあまり良くなかった。


「飼い主は一応いるけど・・・此処から出るつもりはない」

「は?」

「折角シェスリアに入れたし、君ともっと話してみたいしね」


兎はそう言いながら鼻をヒクヒクさせて此方を見てくる。

変なの・・・

私がこれ以上色々言う権利はないし、面白そうなので反対はしない。


「そう・・・フフッ・・・変なの・・・」


ちょこんと座り此方を見てくる兎に、何だか張っていた気が緩んでしまった。

そっと撫でてあげれば目を瞑ってすり寄ってくる。

かわいい・・・

雪のように白い毛は、ふわふわとしていて暖かかった。


「そういえば、君の名前は?」

「ベルナよ。ベルナ・ミレシュール」

「ベルナか・・・綺麗な名前だ。僕はアルフ。よろしく」

「よろしくね、アルフ」


そう言うとアルフは嬉しそうに目を細めた。


「よし!シーモの葉も採れたことだし、帰ろう。アルフも来る?」

「良いの?」


真っ白な耳をピンと立てながらそう聞いてくるアルフに抱きつきそうになる衝動を必死で抑える。


「えぇ・・・来たばかりの森で一人で生きろなんて言うほど私、鬼じゃないわよ?」

「ありがとう、ベルナ」


こうして、狼と兎の変な生活がスタートしたのだった・・・




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