「パターンを見つけたと確信している」
東京警視庁三階の会議室が作戦本部に変わっていた。
三つの机。六台のモニター。壁一面を占めるホワイトボード。そして沈黙——有能な人々が重要なことに取り組む時だけ生まれる、集中した沈黙。
この種の沈黙が好きだ。
チームを見た。小規模。慎重に選ばれた。
刑事・林里奈——二十八歳、デジタルフォレンジック分析専門。五年の経験。エラー率〇・三パーセント。大阪で人身売買事件に取り組んできた。眼鏡の奥の疲れた、しかし鋭い目。
アナリスト・木村武——三十一歳、位置情報追跡と車両追跡の専門家。元IT技術者で、妹が誘拐された後に警察に転職——そして彼のシステムで発見された。意欲的。正確。
谷口が提供できる最高の人材だった。
十分だろう。
「コーヒー、石川刑事?」
顔を上げた。林が湯気の立つカップを差し出してる。
「ありがとう」
受け取った。苦い。完璧だ。
「では」カップを置いてホワイトボードに近づいて言った。「整理しよう」
マーカーで三つの名前を書いた。
渡辺祐樹 - 二十一歳 - 四月十五日 佐藤博 - 三十八歳 - 四月二十一日 田中真 - 二十六歳 - 五月八日
「一ヶ月以内に三名の行方不明者」続けた。「男性。異なる年齢。異なる背景。明らかに互いに関連なし」
「地元警察は既に家族、友人、同僚をチェックしました」木村が言った。「共通点なし」
「その通り。だから個人的な繋がりは忘れよう。時間と空間に集中する」
林に向き直った。
「携帯基地局データは?」
彼女がコンピューターでファイルを開いた。三つのメインモニターが地図で照らされた。
「三人とも失踪時に携帯を持っていました。基地局の三角測量で正確な最終位置があります」
地図に東京の異なる地域で点滅する三つの赤い点が表示された。
「渡辺:名古屋工業地帯、時刻十三時四十七分」
「佐藤:東京—横浜間の一般道、時刻七時四十二分」
「田中:品川地区、時刻十五時二十二分」
「目撃者は?」聞いた。
「有用なものを見た人はいません。何人かの通行人が歩いてるのを覚えてますが、それから...消えた。文字通り」
「防犯カメラは?」
木村がコントロールを取った。
「これが問題です。失踪地点は全て...カバー率の低い地域。半放棄された工業地帯。交通量の少ない一般道。直接のカメラなし」
「しかし」別の一連のスクリーンショットを表示して続けた。「周辺地域にはカメラがあります。高速道路。料金所。ガソリンスタンド。店舗」
「見せてくれ」
モニターがタイムスタンプと映像で埋まった。
「これは最初の失踪近くの主要高速道路。事件の三時間前後」
観察した。通常の交通。車。トラック。バイク。
「そしてこれが二番目の地域」
別の交通。別の車両。
「三番目」
まる一分間黙って見た。
「木村」
「はい?」
「商用車両でフィルタリングできるか?トラック、バン、大型車両?」
「もちろん」指がキーボードを飛んだ。
映像が絞られた。大型車両のみ。
「では比較しろ。三つの地域のうち少なくとも二つに現れる車両、失踪と同じ時間枠で」
「少々...」
コンピューターが処理した。
十五秒。
それからリストが画面に現れた。
八台の車両。
「八つの可能性」木村が言った。
「多すぎる。今度はETCデータと照合しろ。電子料金システム。全ての商用車両は登録されてる。誰なのか、どこに行ってたのか、その地域にいる理由があったのか知りたい」
「一時間かかります——」
「いい。その間、林、被害者の背景をチェックしてくれ。個人的な繋がりじゃない——それは既にチェック済み。行動パターンを探してくれ。趣味。興味。ライフスタイル」
「正確には何を探してるんですか?」
「まだ分からない。彼らを...理想的な標的にする何か」
「何の標的?」
「彼らを連れ去ってる者の」
一時間後、木村が呼んだ。
「刑事。何かあります」
彼のステーションに近づいた。
「八台のうち、五台は除外できます。その地域で正当な配達記録がありました。二台は遠い目的地への通過中。でも一台...」
画像を表示した。
トラック。大きい。白い。日野プロフィア。
「このトラックが三つの地域全てに現れます。いつも同じ時間枠。そして...」一時停止した。「いつも標準ルートからの逸脱があります」
「説明してくれ」
「商用トラックには登録されたルートがあります。企業GPS。このトラック——東京三百ナンバー——は山田運送の所有です。システムが全ての走行を記録してます」
三つの重ね合わせた地図を表示した。
「見てください。四月十五日、登録ルート:東京—大阪、直通高速。でもここで」赤い点を指した。「逸脱。高速を降ります。名古屋近くの一般道を取ります。工業地帯。渡辺が消えた場所と同じ」
心臓が加速した。わずかに。
「偶然?」
「待ってください。四月二十一日。登録ルート:東京—横浜、直接配達。でもここで」別の赤い点。「また逸脱。一般道。佐藤が消えた場所と同じ」
「三つ目は?」
「五月八日。別のルート。別の逸脱。品川地区。田中が消えた場所と同じ」
沈黙。
林も近づいていた。
「偶然じゃありえない」静かに言った。
「いや」答えた。「違う」
「運転手は誰?」
木村がファイルを開いた。
ID写真が画面に現れた。
田中健二 年齢:三十二歳 雇用:山田運送(七年) 免許:カテゴリーA、B、C 事故記録:0
写真を見た。普通の日本人男性。穏やかな顔。疲れた目だが威圧的じゃない。道ですれ違っても気づかないタイプの人間。
「記録ゼロ」木村が言った。「七年間。事故一つなし。罰金なし。へこみ一つすらない」
「誰もそこまで完璧じゃない」言った。
「その通り。誰も」
林がファイルの残りを読んだ。
「既婚。妻、田中ユキ。息子、九歳。世田谷のアパートに住んでる。借金なし。前科なし。何も...何もない」
「綺麗すぎる」木村が言った。
「完璧すぎる」同意した。
ホワイトボードに近づいた。中央に名前を書いた。
田中健二
それから被害者の名前に向かって三本の線を引いた。
「彼はそこにいた。毎回。正しい場所。正しい時間」
「彼が...誘拐してると思いますか?」林が聞いた。「トラックで?」
「ああ」
「でもなぜ?何の動機?」
「まだ分からない。でも一つ確信してる:これは単独犯じゃない」
「どうして?」
「考えろ。被害者は消える。死体なし。痕跡なし。彼は商用トラックを運転してる——管理され、追跡され、検査される。そこに死体を保管できない。じゃあどこに行く?」
林が考えた。
「誰か他の人。共犯者」
「その通り。田中は狩人だ。見つける。捕まえる。でもそれから誰かに引き渡さなければならない。ネットワーク」
「人身売買?」木村が提案した。
「可能性はある。臓器?闇市場?まだ分からない。でも誰かに引き渡さなければならない。そして通常どこに引き渡す?」
「顧客に。商品を受け取る企業」
「その通り。リストを取得しろ。田中が過去二ヶ月間にサービスした山田運送の全顧客」
「全部?」
「全部。名前、住所、連絡先。全て」
「時間が——」
「やれ」
二時間後、リストができた。
三十七の顧客。
倉庫。企業。配送センター。
「全部を迅速にチェックするには多すぎます」林が言った。
「公然とチェックしない。田中がネットワークの一部なら、顧客に警告したら警戒される。いや。別のやり方をする」
「どうやって?」
「日常検査。税務。保険。不審なことは何もない。ただのランダムチェック」
「何を探すんですか?」
バッグからケースを取った。
開けた。
中に三つの眼鏡。普通のサングラスに見える。
林が混乱して見た。
「何ですか?」
「ロンドンから持ってきた技術。スコットランドヤードが二年使ってる。血液痕跡を検出する特殊レンズ。古いものも。漂白剤で洗浄されたものも。その場所に血があったなら、これが見える」
「本当に機能しますか?」
「八百四十七の犯罪現場でテスト済み。精度九十四パーセント」
林と木村に一つずつ渡した。
「明朝検査を開始。通常の検査官として振る舞え。書類。日常的な質問。でも話してる間、見ろ。どこでも。床。壁。運搬車両」
「痕跡を見つけたら?」
「控えめな合図。検査を通常通り続けろ。アラームなし。出る。それから即座に電話」
夜遅くまで働いた。
二十二時にドアがノックされた。
「どうぞ」
谷口総監が入ってきた。
部屋を見た。点いたモニター。地図。繋がり、矢印、名前で埋まったホワイトボード。
それから俺を見た。
「何か見つけましたね」
質問じゃなかった。
「ああ」
「二十四時間で」
「ああ」
ホワイトボードに近づいた。読んだ。眉がわずかに上がった。
「田中健二。山田運送」
「三つの現場全てに存在。説明のない逸脱あり。記録が綺麗すぎる」
「主要容疑者?」
「ああ」
谷口が長い間沈黙した。
それから、ゆっくり、頷いた。
「一ヶ月で我々はどこにも辿り着けなかった。あなたは一日で確固たる手がかりを」
一時停止。
「優秀だ。本当に優秀だ」
認識。歯を食いしばって。でも誠実。
「ありがとうございます、総監。でも本当の仕事は明日始まります」
「何をするつもりですか?」
ホワイトボードに向き直って、データを指した。
「田中は単独じゃない。できない。被害者は消える——死体なし、痕跡なし。彼は追跡され検査される商用トラックを運転してる。そこに長く死体を保管できない。誰かに引き渡さなければならない」
「共犯者」
「ネットワーク。そして通常どこに引き渡す?」
谷口が考えた。
「顧客に。企業」
「その通り。明日チームが田中が過去二ヶ月間サービスした山田運送の全顧客をチェックします。合計三十七」
「公然とチェック?」
「いや。リスクが高すぎる。田中が組織の一部なら、顧客に警告したら警戒される。カバーを使います。日常的な税務検査。保険確認。不審なことは何もない」
「正確には何を探すんですか?」
バッグからケースを取って開けた。
三つの眼鏡。普通のサングラスに見える。
「スコットランドヤードの技術。血液痕跡を検出する特殊レンズ。古いものも。漂白剤で洗浄されたものも。その倉庫に人間の血があったなら、見つけます」
谷口が眼鏡の一つを取って、検査した。
「本当に機能しますか?」
「八百四十七の犯罪現場でテスト済み。精度九十四パーセント。もし顧客の一人が人身売買に関与してたら、発見します」
「何も見つからなかったら?」
「ならネットワークは思ってたより洗練されてる。固定地点なし。ランダムな場所での引き渡し。その場合...」一時停止した。「アプローチを変えなければならない」
「どんなアプローチ?」
「潜入。山田運送内部」
谷口が硬直した。
「危険だ」
「分かってます。でも明日ネットワークを見つけられなかったら、唯一の選択肢です」
数秒沈黙して、それから頷いた。
「全面的なサポートがあります。必要なもの全て。でも刑事...」
「はい?」
「結果を持ってきてください。迅速に。家族が苦しんでいます。メディアが我々を破壊しています。総理が毎日電話してきます」
「持ってきます」
「確信していますか?」
真っ直ぐ目を見た。
「総監、十二年のキャリアで四十三の不可能な事件を解決しました。成功率は八十七パーセント。負けません」
一時停止。
「そしてこれについては絶対的に、完全に確信しています」
谷口が去った後、ホワイトボードに戻った。
田中健二の写真を見た。
普通の男。穏やかな顔。道ですれ違っても気づかないタイプ。
でも俺は気づいた。
明日、顧客の間に共犯者がいるか分かる、と思った。そしていたら、全員見つける。
一人ずつ。
林と木村がまだそこにいて、明日の装備を準備してた。
「プロトコルを復習しよう」言った。
木村が頷いて、タブレットを開いた。
「顧客ごと。迅速だが完全な検査。偽造書類——国税庁の税務検査官。しっかりしたカバーストーリー」
「振る舞いは?」
「退屈。日常的。まるで今日二十回目の検査みたいに」林が言った。「犯罪捜査を思わせる何もなし」
「完璧。眼鏡は?」
「入ったらすぐ着ける。普通のレイバンに見える。責任者と話してる間、スキャン。床、壁、隅、運搬車両」
「痕跡を見たら?」
「控えめな合図。検査を通常通り続ける。アラームなし。出る。それから即座に電話」
「責任者が眼鏡について質問したら?」
林がわずかに微笑んだ。
「『羞明。目の問題。倉庫の蛍光灯が刺激になります』過去に三回この言い訳を使いました。いつも機能します」
「いい」
時計を見た。二十三時十五分。
「寝ろ。明日七時開始。長い一日になる」
「あなたは寝ないんですか?」木村が聞いた。
「後で。その前に全データを見直したい。何も見落としてないか確認する」
去った。
オフィスに一人残った。
ファイルを開き直した。地図。田中のルート。
全ての逸脱。全ての分。
パターンがあるはずだ。あるに違いない。
渡辺祐樹。佐藤博。田中真。
何が共通してる?
写真を見た。プロフィール。
若いオタク。疲弊したサラリーマン。無職のニート。
全員...周縁化された。脆弱。誰も熱心に探さないような人々。
こうやって選んでるんだ、と気づいた。簡単な標的。あまり注目を集めない。
賢い。
非常に賢い。
でも十分じゃない。
俺の方が賢いから。
そして明日それを証明する。
椅子に寄りかかって、ホワイトボードを見た。
中央の田中健二の写真。被害者への三本の線。
近づいてる、と思った。
まだ知らない。でも近づいてる。
そして捕まえたら...
確信している。
確信は正しい時に力強い。でも間違ってる時も。




