「たぶん全て理解した」
月曜日の夜。午後9時。
ソファに座っていた。
テレビがついていた。
音量最大。
大きすぎる。
でもどうでもよかった。
画面には:お笑い番組。
バカな冗談を言う二人の芸人。
政府について。天気について。人生について。
笑った。
大声で。
「あはははは!そう!その通り!」
手を叩いた。
芸人が東京の交通渋滞について何か言った。
トラック運転手について。
もっと大声で笑った。
「わかってないな!全然わかってない!」
テレビに向かって叫んだ。
それからまた笑った。
笑い声が空っぽの家に響いた。
音量について文句を言う人はいない。
誰も。
俺だけ。
そしてテレビ。
「自由だ、」と声に出して言った。
「これが自由だ。」
電話が鳴った。
職場の番号。
中村。
出た。
「はい?!」
叫んだ。
強すぎる。
「田中さん?お前……お前か?」
「そうだ!俺だ!他に誰がいる?!」
間。
「大丈夫か?」
「最高だ!なんで?」
「なんか……元気そうだな。」
「元気だよ!何の用?」
「あの……明日の朝。緊急配達がある。6時に。いつもの8時じゃなくて。早く来れるか?」
「もちろん!」
「本当か?」
「もちろんだ!問題ない!ゼロ問題!」
「わかった……ありがとう。じゃあ6時に。」
「完璧!また明日!」
切った。
携帯をソファに投げた。
「朝6時!最高だ!」
笑った。
なんで笑ってるんだ?
わからなかった。
でも笑った。
テレビが続いた。
今度は別の番組。
深夜トークショー。
「世界の謎 — 特別版」
三人のゲスト。
懐疑的な司会者。
二人の「超常現象専門家」。
そして一人の「科学者」懐疑論者。
「それでは、」と司会者が言った。「高橋さん。あなたは自分の考えを他人に伝えられると主張していますね。距離を置いて。話さずに。」
「その通りです、」と高橋。
四十代の男。変なスーツ。色が多すぎる。
「テレパシー。何年もの瞑想で開発した才能です。」
科学者が笑った。
「馬鹿げてる。科学的根拠がない。」
「科学が全てを説明するわけじゃない!」
「これが詐欺だとわかるには十分説明してる。」
観客が笑った。
俺も笑った。
「詐欺だ!詐欺!」
高橋が怒った。
「証明できる!今!ここで!」
「いいでしょう、」と司会者。「試してみましょう。数字を考えます。私が当てます。」
「違う!あなたは心を開かなきゃ!受信しなきゃ!」
「私の心は開いてます。どうぞ。」
ドラマチックな沈黙。
高橋が目を閉じた。
集中した。
「送ってます……送ってます……」
司会者が待った。
「それで?」と科学者。「何か受信しましたか?」
「いいえ。」
観客が爆笑した。
俺も。
「あはははは!何もない!何もない!」
科学者が言った:
「ほら?不可能だ。仮に可能だとしても……何の役に立つ?今は電話があるんだから!」
観客がまた笑った。
「電話だ!」と誰かが繰り返した。「テレパシーよりずっと信頼できる!」
笑い声。
拍手。
そして俺は……
俺は止まった。
「何の役に立つ?今は電話がある。」
繰り返した。
静かに。
「電話。」
笑いが消えた。
「テクノロジー。」
立ち上がった。
「テクノロジー……」
テレビを見た。
でももう見えなかった。
見えたのは……
何か他のもの。
「テクノロジー。」
また言った。
静かに。
「テクノロジー。」
もっと強く。
「テクノロジーだ。」
番組が続いた。
今度は別のことを話していた。
「それであなたは、」と司会者が二人目のゲストに言った。「遍在の才能があると主張していますね。同時に二つの場所にいられると。」
「はい。アストラル投影。意識を送れます——」
科学者が笑った。
「何の役に立つ?今は全部リモートでやるんだ!在宅勤務!ビデオ通話!物理的にどこかにいる必要なんてない!」
観客が笑った。
俺も。
「あはは!そう!その通り!」
手を叩いた。
番組が続いた。
三人目のゲスト。
「私は心で物を動かせます。念動力です。」
「証明してください、」と司会者。
男が集中した。
テーブルの上のグラス。
動かなかった。
「ほら?」と科学者。「機能しない。仮に機能したとしても……何の役に立つ?Amazonで注文する!ドローンが全部持ってくる!念動力なんて必要ない!」
笑い声。
「あはははは!ドローン!ドローンだ!」
テレビに向かって叫んだ。
番組が進んだ。
四人目のゲスト。
「私は古代の言語を話せます。勉強せずに。才能です——」
「何の役に立つ?」と科学者が遮った。「自動翻訳!携帯で!即座に!無料!」
観客が爆発した。
拍手。
そして俺は……
俺は笑った。
腹が痛くなるほど大声で笑った。
「そうだ!そうだ!テクノロジー!いつもテクノロジー!」
二つ折りになった。
笑いながら。
ほとんど泣きながら。
「テレパシー?電話!遍在?リモート!念動力?ドローン!言語?翻訳機!」
笑った。
また。
また。
そして……
そして突然……
止まった。
完全に。
笑いが死んだ。
座ったまま。
動かず。
テレビが続いた。
でももう聞こえなかった。
「テクノロジー。」
静かに言った。
「いつもテクノロジーがある。」
天井を見上げた。
「現代のテクノロジー。対……古いもの。」
心臓が鼓動し始めた。
もっと強く。
「超常現象が何の役に立つ……テクノロジーがあれば?」
立ち上がった。
ゆっくり。
「テクノロジー。」
また言った。
もっと真剣に。
「テクノロジーは……全てを打ち負かす。」
窓に向かって歩いた。
外を見た。
東京。
光。コンクリート。鋼鉄。電気。
全て現代。
全てテクノロジー。
「なんで今まで考えなかったんだ?」
囁いた。
「こんなに……こんなに明白なのに。」
振り返った。
空っぽの部屋を見た。
哲也の玩具を見た。
「テクノロジー。」
繰り返した。
まるでその言葉が……
その一つの言葉が……
全てを含んでいるかのように。
答え。
解決策。
終わり。
「テクノロジー。」
また。
また。
「テクノロジー。テクノロジー。テクノロジー。」
言葉が意味を失った。
音になった。
でもその音は……
その音は重要だった。
決定的に。
「テクノロジー。」
また言った。
また。
「テクノロジー。」
文脈なしに。
説明なしに。
ただその言葉だけ。
響いている。
重要。
決定的に重要。
まだ……
まだ説明できない理由で。
「テクノロジー。テクノロジー。テクノロジー。」
言葉が回った。
頭の中で。
俺は理解した。
やっと。
「テクノロジーは超常現象を打ち負かす。」
暗闇で囁いた。
「いつも。」
「ただ……ただ正しいテクノロジーでなければならない。」
そして……
それから目を閉じた。
そして眠った。
平和ではなく。
でも決意を持って。
なぜなら明日……
明日証明する。
全員に。
トラックに。
世界に。
狂気が……
狂気が時々……
時々、唯一の合理的な答えだということを。
非合理的な世界に対する。
最後の章「確信している、終わった。たぶん」




