「確信している、俺は勝つ(でも代償は高すぎる)」
月曜日の朝。午前8時。
サンプルを提出してから、ちょうど四十八時間。
研究所にいた。
ずっと出なかった。
二晩。ここで。
椅子の上。
断続的に眠りながら。
でも今は……
今がその時だ。
中村結衣が入ってきた。
目が疲れていた。
でも……何か他のものもあった。
興奮?
「刑事。」
飛び上がった。
「言ってくれ。」
「終わりました。」
「それで?」
報告書をテーブルに置いた。
「指紋。サンプルA:カップ。サンプルB:ノート。」
最初の報告書を開いた。
拡大画像。
重ね合わせた指紋。
「カップの指紋は成人男性のものです。推定年齢35-45歳。鮮明。明確。品質excellent。」
「ノートの方は?」
「より複雑です。妻のものと重なっています。でも表面層の下から完全な部分指紋セットを分離できました。」
ページをめくった。
並べた比較。
「十二の一致点。」
心臓が跳ねた。
「十二?」
「はい。日本の法的基準は十です。私たちは十二見つけました。右人差し指に五つ。親指に四つ。中指に三つ。」
「つまり……」
「つまり同一人物です。99.8%の確実性。法廷で認められます。」
「クソ。」
息をした。
「クソ、やった!」
結衣が微笑んだ。
疲れているが満足そうに。
「それだけじゃありません。」
「何?」
「藤本博士。筆跡分析が終わりました。」
藤本が入ってきた。
年上。よりフォーマル。
でも同じ表情。
勝利。
「石川刑事。書類の署名とノートの筆跡を比較しました。」
報告書をテーブルに置いた。
拡大。重ね合わせ。角度分析。
「圧力。傾斜。文字の形成。間隔。『お』と『あ』のループ。『と』と『ど』の上昇ストローク。」
各詳細を指した。
「全て一致します。同じ手です。」
「確実性は?」
「九十八パーセント。ノート執筆時の感情的ストレスによる二パーセントの誤差範囲付きで。」
「でも彼ですか?」
「はい。彼です。田中健二が署名もノートも書きました。」
信じられなかった。
やっと。
やっとだ。
何ヶ月も。
五万ユーロかけて。
不眠の夜と妄想の後。
秋山の後。
松本の後。
全ての後。
やっと証拠が手に入った!
証拠は完璧だった。
完璧すぎるくらい。
十二の一致点。
九十八パーセントの確実性。
田中はあのノートを書いた。
田中はあのカップに触れた。
だから田中は有罪だ。
シンプル。論理的。反論不可能。
確信している。
「ありがとう、」と言った。「お二人とも。あなた方は……信じられない仕事をしてくれた。」
「私たちの仕事ですから、」と結衣。
「いや。それ以上だ。リスクを負ってくれた。松本の後……リスクを負ってくれた。」
「あなたを信じていたからです、刑事。そして事件を。」
報告書を手に取った。
握りしめた。
まるで金のように。
「今すぐ捕まえる。やっと捕まえる。終わりだ。」
研究所を出た。
午前9時。
谷口に電話した。
「署長。結果が出ました。」
「それで?」
「一致しました。全て。指紋。筆跡。彼です。田中です。」
沈黙。
それから:
「よし。よくやった、刑事。」
「逮捕状を準備します。今日。」
「刑事……署に来い。話がある。」
そのトーン。
トーンに何かあった。
「何があったんですか?」
「来い。すぐに。」
切った。
午前9時半に署に着いた。
谷口の事務所に入った。
彼は座っていた。
顔が……ボロボロだった。
「座れ。」
「立っていたいです。」
「座ってくれ、刑事。頼む。」
座った。
「何があったんですか?」
谷口が顔をこすった。
「大臣だ。電話があった。今朝。午前7時。」
「それで?」
「お前と話したいと。直接。」
「なぜ?」
「わからない。でも……重要だと言った。」
電話を取った。
番号を押した。
「山田大臣。石川刑事がここに。」
スピーカーフォンにした。
「ああ、石川刑事!おはようございます!」
声が……陽気だった。
陽気すぎる。
偽物。
「大臣。」
「聞きましたよ!研究所の結果!おめでとうございます!」
「ありがとうございます。」
「指紋と筆跡が一致!やっと田中健二に対する確固たる証拠が!」
「はい。」
「素晴らしい!本当に素晴らしい!あなたは……並外れた仕事をされました。」
「ありがとうございます、大臣。今すぐ逮捕状を——」
「ああ、はい。逮捕状。もちろん。でもその前に……あなたの将来について話し合いたいんです。」
血が凍った。
「私の将来?」
「はい。あのですね、刑事……東京の状況は……複雑なんです。」
「どう複雑ですか?」
「いくつか……圧力がありました。政治的な。この事件の取り扱いについて。」
「どんな圧力ですか?」
「まあ、メディア。世論。事件は何ヶ月も引きずっています。六人逮捕しました。一人が死にました。法医学技師が死にました。そして今やっと……今やっと具体的な証拠が。」
「それで?」
「それで決定がありました。上から。タスクフォースの完全な再編成。」
「どういう意味ですか?」
「つまりあなたのチームは再配置されます。明日から。」
「何?!」
「必要なんです、刑事。……行政上の理由で。」
「行政?!行政なんてクソくらえだ!俺はやっと証拠を手に入れたんだぞ!今こそ逮捕する時だ——」
「わかっています。そして逮捕します。でも新しい体制で。」
「どんな新しい体制?」
「考えているのは……より軍事的なアプローチです。おそらく陸軍の将軍を新しい監督者として。複雑な作戦の経験がある人を。」
「将軍?!これは警察の事件だ!」
「わかっています、刑事。でも……政治的には……イメージチェンジが必要なんです。」
息をした。
強く。
「で、俺は?」
間。
「あなたは、石川刑事……ロンドンに戻ることをお勧めします。」
「何?」
「はい。今。今日。または遅くとも明日。」
「でも事件は——」
「事件は続きます。新しい体制で。あなたは仕事をしました。見事に。でも今は……今は引き継ぐ時です。」
「いいえ。」
「刑事——」
「何ヶ月もこの事件に取り組んだ!何ヶ月も、毎日!毎晩!何週間も眠ってない!そして今やっと証拠が手に入って……今やっとやつを逮捕できるのに……出て行けと?!」
「命令ではありません、刑事。助言です。」
「助言?」
「はい。あのですね……今、自主的に戻れば……他の義務があったと言えます。他の職務。スコットランドヤードが呼び戻した。尊厳を持って出られます。ロンドンでの仕事も守れるかもしれません。」
理解した。
「でも残れば……」
「残って……首相の最後通告が正式な逮捕なしに期限切れになれば……失敗が公になります、わかりますか?そしてあなたは……どちらにせよロンドンに戻ります。でも解雇されて。」
沈黙。
「わかりますか、刑事?脅しじゃない。これは……現実政治です。友人として助けようとしてるんです。」
友人。
その言葉で吐き気がした。
「あなたの友人じゃありません、大臣。」
「おそらくそうでしょう。でも私は現実主義者です。そして現実はこうです:今出れば、面目を保てます。残れば……全てを失います。」
「明日田中を逮捕したら?」
「明日は遅すぎます。最後通告は今夜期限切れです。真夜中に。」
「何?!でも三日間あったはず——」
「土曜日から三日間でした。土曜、日曜、月曜。今夜期限切れです。」
「でも証拠が出たのは今日——」
「わかっています。不運なタイミングです。でもルールはルールです。」
谷口を見た。
彼はテーブルを見ていた。
「つまり、」ゆっくり言った。「今出るか……今夜解雇されるか。」
「その通りです。だから……フライトを予約することをお勧めします。今日。ロンドンに戻りなさい。尊厳を持って。」
「田中は?」
「逮捕されます。新しいタスクフォースに。あなたが集めた証拠で。功績は認められます。でもロンドンから。」
目を閉じた。
これは……
完璧だった。
完璧に政治的。
完璧に冷笑的。
証拠をくれる。
逮捕を奪う。
出口を提供する。
または解雇。
選べ。
「いいえ、」と言った。
「いいえ?」と大臣。
「いいえ。ロンドンには戻りません。今日も。明日も。残ります。」
「刑事、間違いを——」
「かもしれません。でも私の間違いです。私がこの事件に取り組んだ。私が証拠を見つけた。そして私が田中健二を逮捕します。」
確信している。
俺がやらなきゃいけない。
「もうチームはありません——」
「なら一人で行きます。」
「一人で?!ハイリスクの逮捕を?!」
「はい。」
「これは職業的自殺だ——」
「わかっています。でもどうでもいい。田中を逮捕します。明日。そして全員に見せます。」
長い間。
「まあ、あなたの決断です。お好きにどうぞ、刑事。でも解雇されても……警告しなかったとは言わせませんよ。」
カチッ。
切った。
谷口が私を見た。
「刑事……」
「何も言わないでください。」
「でも——」
「何も。言わないで。ください。」
立ち上がった。
「チームは本当に再配置ですか?」
「ああ。上からの命令。明日から木村と林は通常の事件に戻る。」
「あなたは?」
「私は……まだ署長だ。今のところ。でも大臣が……何か思い出させてくれた。」
「何を?」
「ドン・キホーテをやるなと。数日後には私もおそらく失業だから。」
彼を見た。
「申し訳ありません。」
「君のせいじゃない。ゲームだ。政治だ。」
刑事……風車と戦ってるって気づいてるか?」
「いいえ。連続殺人犯と戦ってます。」
「そうかもな。それとも……それとも同じことかもしれん。」
「どういう意味ですか?」
「いや。忘れてくれ。逮捕状を準備する。」
「一つお願いできますか?」
「何だ?」
「逮捕状。署名できますか?」
「技術的にはできる。真夜中まで。それ以降は……わからん。」
「なら今日準備してください。今日署名してください。」
「それから?」
「それから明日行きます。一人で。逮捕します。ここに連れてきます。そしてこのクソみたいな事件を終わらせます。」
谷口が頷いた。
ゆっくり。
「気が狂ってる。」
「よくわかってます。」
「でも……勇気は認める。」
「勇気じゃありません。執念です。」
午前11時。
事務所。
木村と林が入ってきた。
「刑事、」と木村。「聞きました。」
「ああ。」
「残念です。本当に。」
「君たちのせいじゃない。」
「手伝いたい——」
「だめだ。」
「でも——」
「君たちは再配置された。俺と来れば……君たちも解雇される。頼めない。」
「頼んでません、」と林。「私たちが申し出てるんです。」
「いや。ありがとう。でもだめだ。」
林が木村を見た。
それから私を。
「刑事……田中が本当に有罪だと確信してますか?」
林を見た。
「なぜそう聞く?」
「わかりません。ただ……彼がとても……普通に見えたから。」
「最悪な奴らはいつも普通に見える。だから危険なんだ。」
確信している。
「はい。その通りですね。すみません。」
「なら……せめて資料を準備させてください。書類。証拠。必要なもの全部。」
「わかった。それはいい。」
働いた。
何時間も。
準備して。
ファイル。報告書。写真。タイムライン。
全て。
事件の最初から集めた全て。
完璧な順序で。
午後3時に準備ができた。
「はい、」と木村。「全部ここに。」
「ありがとう。」
「刑事……」
「何だ?」
「一緒に働けて光栄でした。」
「こちらこそ。」
握手した。
二人とも。
それから出て行った。
そして私は残った。
一人で。
午後5時。
谷口が入ってきた。
書類を持って。
「逮捕状。署名済み。明朝6時から有効。」
受け取った。
「田中健二。四件の殺人容疑。失踪。犯罪組織への所属。」
「ありがとうございます。」
「刑事……確かか?」
「はい。」
確信している。
明日、全てが終わる。
「一人で。バックアップなし。危険だ。」
「わかっています。」
「何か問題が起きたら?」
「なら起きる。でも少なくとも試した。」
谷口が頷いた。
「いつだ?」
「明朝。早く。自宅で捕まえます。仕事に行く前に。」
「俺も行こうか?少なくとも俺だけでも?」
「いや。あなたには家族がいる。仕事。未来。俺は……俺はもう失うものがない。」
「刑事……」
「谷口さん。ありがとう。全てに。でも明日は……明日は一人で行きます。」
立ち上がった。
握手した。
「幸運を。」
「ありがとう。」
出て行った。
午後7時。
空っぽの事務所。
私とホワイトボードだけ。
田中健二。
四人の犠牲者。
いや。
五人。
松本。
田中にやらせた。
確信している。
たぶん威嚇のため。
たぶん事件を遅らせるため。
関係ない。
明日、全員の分を払わせる。
そしてもうすぐ……
もうすぐ六人目。
俺。
何か問題が起きれば。
写真、証拠、逮捕状を見た。
何ヶ月もの激しい仕事。
ここに辿り着くための。
この瞬間に。
明日。
明日終わる。
勝利か敗北。
全てか無か。
中間はない。
彼と俺。
一人で。
執念に取り憑かれて。
自分の使命に破壊されて。
俺は彼を止めなければならない。
山田弁護士のときみたいに。
まず小児性愛から守る。
それから殺人で逮捕する。
いつも同じ捻じ曲がった論理。
でも機能する。
機能しなければならない。
そして結局……
結局、俺たちは自分たちより大きな何かの真ん中にいる。
彼と俺。
田中と石川。
二人とも一人。
二人とも執念に取り憑かれて。
彼は呪いに。
俺は使命に。
明日衝突する。
そして一人が……一人が立ち上がれなくなる。
「明日、」ホワイトボードに言った。
「明日終わる。俺たちの一人が。または両方とも。」
確信している。
コートを取った。
証拠。
逮捕状。
そして出た。
家へ。
最後の夜へ。
最後の日の前。
終わりの前。
最大の勝利はしばしば最悪のタイミングでやってくる。やっと求めていたものを手に入れたのに……それを使う手段を奪われる。そして決めなければならない:尊厳ある敗北を受け入れるか?それともどうせ全てを失うとわかっていても戦うか?正しい答えはない。選択だけ。そして結果だけ。




