俺は現場を押さえたと確信している」
水曜の朝、7時には既に目が覚めていた。
コーヒー。シャワー。カジュアルだが目立たない服。
濃いジーンズ。ジャケット。帽子。
群衆の中で気づかれないほど匿名的。
疑いを引かないほど普通。
携帯を確認した。
田中の車に取り付けたGPSトラッカー—三日前の夜に設置—が彼の位置を示していた。
彼の自宅。世田谷。
まだ動いていない。
いい。時間がある。
自分の車に乗った。グレーのトヨタ・カローラ。世界で最も匿名的な車。
世田谷に向かって運転した。
彼の住居から二百メートルの場所に位置取った。
視界は明確。誰も俺に気づかない。
そして待った。
7時35分、田中が家を出た。
一人で。スーツケースなし。仕事用のバッグもなし。
彼と車の鍵だけ。
ホンダ・シビックに乗り込んだ。
会社のトラックじゃない。
興味深い。
休日か?それとも何か別のことか?
出発した。
俺も追った。
安全な距離。俺たちの間に三台の車。近すぎず。遠すぎず。
基本的な尾行技術。
十分後、どこに向かっているか分かった。
原宿方面。
明治神宮の方向。
心臓が加速した。
宮司のところに行っている。
カルトのリーダーのところに。
会合だ。
この目で見ようとしている。
田中は神社近くの公共駐車場に停めた。
俺はもっと遠くに停めた。七十メートル離れて。
彼が降りるのを見た。
神社の入口に向かって歩く。
ゆっくり。緊張して。
肩が丸まっている。手はポケットに。
重荷を抱えた男。
あるいは上司に会おうとしている男。
車を降りた。
カメラ—望遠レンズ付き一眼レフ—を取り、ジャケットの下に隠した。
帽子を取った。サングラス。
観光客。ただの観光客。
神社に向かって歩いた。
田中は既に本鳥居を越えていた。
砂利の道を歩いている。
俺も追った。
距離を保って。
他の人々がいた。家族連れ。学生。外国人観光客。
完璧。溶け込める。
田中は本殿に到着した。
止まった。
周りを見回した。
緊張?尾行されていないか確認?
それから脇の建物に向かった。
小さい。管理棟。
入った。
俺は外に残った。
木に寄りかかった。三十メートル離れて。
そして待った。
十分。
十五分。
二十分。
それから田中が再び現れた。
一人じゃなかった。
五十代の女性がいた。伝統的な服装。
彼を脇の廊下に案内した。
別の建物に消えた。
よりプライベート。より隔離されている。
聖職者のオフィス。
あるいは...宮司の部屋。
カメラを取った。
建物にフォーカスした。
カシャ。
最初の写真。
「対象者が神社の立入制限区域に入る。8時05分」
また待った。
四十分。
五十分。
一時間。
そして...
それからドアが開いた。
田中が出てきた。
そして彼の隣に...
年配の男性。六十、六十五歳。
完全に儀式用の服装。狩衣。袴。優雅。
白髪。威厳ある立ち振る舞い。
厳しいが穏やかな顔。
山本隆。
彼に違いない。
宮司。
リーダー。
心臓が激しく打った。
ここだ。
ここにいる。
カメラを上げた。
望遠レンズを最大に。
フォーカスした。
田中と山本が一緒に歩いている。
話していた。田中が身振りで話していた。手が握られ、開かれ。まるで...懇願しているようだ。哀願する人のように。
山本は聞いていた。無表情。手は前で組まれている。判決を下す裁判官のような立ち振る舞い。
あるいは部下を評価する上司のように。
カシャ。カシャ。カシャ。
三枚の写真。
「対象者が山本隆、明治神宮宮司と確認された人物と会う。私的な会話。9時20分」
歩き続けた。
出口に向かって。
一緒に神社を出る?
二人で神社を出ようとしている?
追った。
控えめに。常に距離を保って。
でもそれから止まった。
本通り近くで。
また話した。
田中が...懇願しているように見えた。
山本が首を振った。
それから振り返り、本殿に戻った。
田中はそこに残った。
一人で。
一瞬動かなかった。
それから出口に向かって歩き出した。
肩がさらに丸まっている。
敗北した男。
あるいは命令を受けた男。
すぐには追わなかった。
田中が去るのを待った。
それから彼が入った建物に近づいた。
プレートがあった。
「管理事務所 - 予約制」
メモを取った。
プレートを撮影した。
周りの庭を見た。
全て...普通。平和。
でも下には...
下には何かがある。
まだ見えていない何かが。
でも発見する。
自分の車に戻った。
田中は既に出発していた。GPSが自宅に向かって移動中と示していた。
ノートパソコンを開いた。
写真をダウンロードした。
分析した。
写真1:田中が立入制限区域に入る。
写真2:田中が山本隆と出てくる。会話。
写真3:二人が一緒に歩く。田中が身振りで話す。山本が聞く。
写真4:山本が立ち去る。田中が一人残される。
完璧。
会合の視覚的証拠。
田中+カルトのリーダー。
神聖な場所で。
プライベートで。
何を話したんだ?
命令?次の「儀式」への指示?
あるいはたぶん...たぶん田中が何かを求めた。
助け?保護?
そして「宮司」が拒否した。
それとも...
それとも承認を与えた。
谷口に電話した。
「総監」
「石川刑事。何か?」
「はい。尾行しました。田中を。今朝」
「どこに?」
「明治神宮。山本隆と会いました。宮司です」
沈黙。
「視覚的確認は?」
「はい。写真があります。私的な会話。約一時間続きました」
「何を言ったんだ?」
「分かりません。聞くには遠すぎました。でもボディランゲージは...田中は必死に見えました。山本は冷静。権威的でした」
「では...?」
「では田中は報告に行ったんです。あるいは指示を求めに。山本隆は明らかに上司です。リーダー」
谷口が重く息をするのが聞こえた。
「これは...これはカルト理論を確認する」
「その通りです。孤立した連続殺人犯じゃありません。組織の一部です。そして山本隆がトップにいます」
「何を提案する?」
「監視。明治神宮を監視したい。他に誰が行くか見る。このカルトに何人のメンバーがいるか。どれくらいの頻度で会うか」
「刑事、公共の神社—」
「分かっています。でも慎重にやらなければ。外部カメラ。尾行。侵入的なことは何もしません」
「これには承認が必要—」
「分かっています。でも総監、私たちは既に一つのカルトを解体しました(京都の本物、記録済み)。こういう組織が存在することは知っています。そして今、リーダーが特定されました。場所。活動中のメンバー」
停止。
「完全な作戦にどれくらいかかる?」
「二週間。たぶん三週間。忍耐強くなければなりません。全てを記録する。そして十分な証拠があれば...」
「一斉逮捕」
「その通り」
「分かった。監視の要請を準備する。でも刑事?」
「はい?」
「身を晒すな。カルトが疑えば...」
「疑いません。あまりにも自信過剰です。神聖な場所で安全だと思っています」
「正しいといいが」
「正しいです」
切った。
車の中に座ったまま。
また写真を見た。
田中。
山本隆。
明治神宮。
全てが合っている。
三十年の活動。
名前を変えるがイデオロギーは変えないカルト。
死ぬが交代されるリーダー。
そして今...
今、新しいリーダーの顔がある。
彼らの会合場所がある。
証拠がある。
アパートに戻った。
完全な報告を準備した。
件名:聖なる門作戦 - 更新
日付:水曜日
対象者:田中健二
活動:山本、明治神宮宮司との会合
時刻:約8:00 - 10:00
場所:明治神宮、東京
観察:
• 対象者は自発的に神社に行った
• 約1時間続いた私的会合
• 山本隆、宮司として確認された人物との会話
• ボディランゲージは階層関係を示す(山本が上位、田中が下位)
• 田中は何かを要求しているように見え、山本は最初拒否し、その後会話が続いた
結論:
宗教カルト理論を確認。山本隆は組織の現在のリーダーである可能性が高い。田中は報告/命令を受ける活動中のメンバー。
次のステップ:
1. 山本隆の完全な身元確認(背景、家族、つながり)
2. 明治神宮の監視(他のメンバーを特定)
3. 田中の通信監視
4. 協調逮捕作戦の準備
報告を読み直した。
完全。プロフェッショナル。反駁不可能。
谷口に送った。
それから椅子に寄りかかった。
パズルが完成しつつある。
一片ずつ。
最初は古い事件。過去のカルト。
それから田中のメモ。宗教用語。
そして今...今、リーダーとの直接の会合。
全てが合っている。
完璧に。
その夜、夕食を準備しながら、田中について考えた。
この男は...何になったんだ?
普通のトラック運転手。家族。息子。
そして...何?
勧誘された?洗脳された?
それともカルトで生まれた?第二世代?
父親がメンバーだった?
祖父?
宗教カルトはしばしばそうやって機能する。
世代。家族全体。
「浄化」が正しいと信じて育てられた子供たち。
人々を「門を通して」送ることが神聖な義務だと。
そして今、田中は...三十二歳。妻。息子。
二重生活を送っている。
昼間はトラック運転手。
夜はカルトのメンバー。
魂の「浄化者」。
犠牲者—若い、孤独、絶望した—を秘密の場所に運ぶ。
そしてそこで...そこでカルトが儀式を実行する。
正確に何をするんだ?
犠牲?火葬?儀式的埋葬?
まだ分からない。
でもすぐに発見する。
木曜の朝、谷口から電話を受けた。
「刑事。監視が承認された」
「本当に?」
「ああ。でも制限付きだ。内部カメラはなし。外部のみ。そして二週間だけ」
「十分です」
「そして刑事?」
「はい?」
「山本隆を調べさせた」
心臓が加速した。
「で?」
「山本隆。三十六歳。八年前から明治神宮の宮司。その前は...京都の神職だった」
京都。
京都。
心臓が加速した。
あまりにも...あまりにも完璧だ。
あまりにも偶然すぎる。
でも待て。待て。
時には偶然は本物だ。
時にはピースが嵌まるのはパズルが本物だからだ。
逆のバイアスに陥ってはいけない。証拠が明確なのに疑ってはいけない。
山本は京都出身。
京都にカルトがあった。
同じ苗字。
同じイデオロギー。
偶然じゃない。
確証だ。
「親族関係は?」速く聞いた。
「確認中。でも苗字は...同じだ」
「兄弟?従兄弟?」
「あるいは息子。年齢が合う。1995年の京都のカルトの山本建が六十歳だったなら...息子は今日正確に三十六歳かもしれない」
息が止まった。
「彼だ」
「何?」
「彼です。元のリーダーの息子。カルトは解散しなかった。受け継がれたんです。父から息子へ。世代から世代へ」
「刑事、これは...これは巨大だ」
「その通りです。世襲的犯罪組織について話しています。ヤクザのように。王朝のように。死ぬが息子に引き継ぐリーダー」
「正しければ...」
「正しいです。確信しています」
停止。
「捜査を続けろ。できるだけ多くの証拠を集めろ。時が来たら...」
「逮捕。山本。田中。そして他の全てのメンバー」
「その通り」
「ありがとうございます、総監」
切った。
座ったまま。
山本隆。
山本建の息子。
永遠の浄化カルトのリーダー。
今、東京で最も尊敬される神社の一つの宮司として隠れて活動している。
天才的。
完全に見える場所に隠れる。
神聖な役割を使って犯罪活動を隠す。
でも俺は...
俺は発見した。
そしてすぐに...
すぐに全てが崩壊する。
その夜、鈴木芽衣に電話した。
「鈴木捜査官」
「刑事。更新」
「準備できています」
「理論は確認された。宗教カルト。リーダーが特定された。山本隆、明治神宮宮司」
「了解」
「田中ユキとの潜入を続けろ。彼女の友人になれ。全てを知りたい。夫の奇妙な行動。失踪。遅い帰宅。何でも」
「了解。既に関係を築いています。今週二回コーヒーで会いました」
「いい。彼女は信頼しているか?」
「始めています。彼女は孤独です。不満を持っています。話す相手が必要です」
「完璧。それを利用しろ」
「そうします」
「そして刑事?」
「はい?」
「夕食。健二が受け入れました。土曜の夜。俺たち四人で」
心臓が加速した。
夕食。
俺と「歩美」。
歩美と呼ばなければ。鈴木じゃなく。
俺たちの「出会い」を覚えておかなければ。新宿のカフェ。結婚して二週間。
彼女はパートタイムの英語教師。
完璧な機会。
でも複雑だ。維持しなければならない細部が多すぎる。
家庭環境で田中を観察する完璧な機会。
妻とどう接するか見る。
どんな嘘をつくか。
安全だと思っている時どう振る舞うか。
「素晴らしい。出席する」
「では土曜に」
「土曜に」
切った。
立ち上がった。
窓に行った。
夜の東京。どこにでも光。何百万人もの人々。
そしてどこかあそこに...
どこかにカルトがある。
三十年間活動している。
何十人もの人々を殺した。
殺し続けている。
でももう長くない。
なぜなら俺は...
俺は近づいている。
毎日近づいている。
田中健二。
山本隆。
聖なる門のカルト。
お前たちは落ちようとしている。
これについて...
これについて俺は完全に、絶対に、100%確信している。
時には証拠が完璧に合う。あまりにも完璧に。でも自分が正しいと確信している時...嵌まらないピースは決して見えない。




