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俺はあらゆる異世界転生で見かける呪われたトラック運転手で、みんなを異世界送りにしてるけど、俺のせいじゃない!  作者: Adriano_P


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13/16

「たぶん、誰かと話さないと」

吉田の死後の三日間は……空っぽだった。

他に言葉がない。

空っぽ。

運転した。家に帰った。食べた。寝た。

でも全部機械的だった。自動的。

まるで人形のように。

ユキが話しかけても聞かずに頷いた。

哲也がアニメについて話しても見ずに笑顔を作った。

そこにいたけど、そこにいなかった。

なぜなら、目を閉じるたびに吉田が見えたから。

トラックを見たときの彼の顔。

絶対的な恐怖。

叫び声。

「言われた通り全部やった!従った!」

それから衝撃音。

飛び去った白いトラック。

地面の遺体。

俺のせいだ。

俺のせいで死んだ。

行ったから。

トラックを連れて行ったから。

木曜の夜、寝室に行こうとしていたとき、ユキが止めた。

「健二」

「うん?」

「話さないと」

まずい。

「大丈夫だよ、疲れてるだけで——」

「いいえ。大丈夫じゃない。あなたも分かってるでしょ」

振り向いた。彼女がキッチンのドアのところに立っていた、腕を組んで、目が潤んでいた。

「月曜からあなたは……違う。前よりもっと遠くにいる。話さない。寝ない。今夜、叫んでるのを聞いたわ」

悪夢。吉田が叫んでいた。トラックが加速していた。

「ただのストレスで——」

「ストレスじゃない!」彼女の声が上がった。「健二、私はあなたの妻よ!何かおかしいときは分かる!そして何ヶ月も何かがおかしいの!」

「ユキ——」

「仕事だなんて言わないで。疲れてるなんて言わないで。本当のことを言って!」

彼女を見た。

言え。全部言え。今。

「俺のトラックは憑かれてる。三人を轢いた。その人たちは消える。そして助けてくれる唯一の人が俺の目の前で死んだ。別の呪われたトラックが殺したから」

言え。

言え。

でも言葉が出なかった。

なぜなら言えば……

言って彼女が信じなければ……

全てを失う。

「ごめん」と静かに言った。「ただ……難しい時期なんだ。でも過ぎる」

ユキは長い間俺を見た。

それから首を横に振った。

「あなたのこと、もう何を考えればいいか分からない」

寝室に行ってドアを閉めた。

乱暴にではなく。でも……諦めたように。

そこに立っていた。

一人で。

いつものように。

金曜の朝、仕事で普通に振る舞おうとした。

でも中村が止めた。

「田中さん、大丈夫ですか?」

「はい、なぜ?」

「鈴木が言ってましたが、昨日トラックを停めて20分も中に座ったままだったって」

動けなかった。動けなかった。降りるのが怖かった。

「疲れて……ちょっと休んだだけです」

「もしあと何日か休みが必要なら——」

「いえ。大丈夫です」

中村は納得していなさそうだったが、追及しなかった。

その夜、シフト後、トラックターミナルの駐車場に残った。

他のみんなは帰った。俺とトラックだけ。

駐車場のライト。静寂。風。

財布に入れていた紙を取り出した。

ハッカーのデータ。印刷した。隠していた。

TARGET 2: 小林涼太 年齢:52歳 職業:トラック運転手(現役) 居住地:〒963-8025 福島県郡山市吉田3-8-12 電話:[番号]

もう一人。理解できる唯一のもう一人。

まだ生きている。

たぶん……たぶん助けてくれる。

でも吉田の後……

怖い。

連絡したら何が起こるか怖い。

システムは吉田を殺した。

小林も殺せる。

俺も殺せる。

でも何ができる?

黙っている?次の事故を待つ?

番号を見た。

躊躇した。

それから携帯を取った。

番号を押した。

呼び出し音。

一回。

二回。

三回——

ブォォォォン!!!

トラックのクラクション。

大きく。長く。攻撃的。

椅子から落ちそうになった。

すぐに切った。

心臓が狂ったように打っていた。

何……何だった?!

車のフロントガラス越しにトラックを見た。

20メートル離れている。駐車している。空っぽ。

偶然。偶然のはずだ。

たぶん……たぶん誰かが近くを通った。何かに触れた。

車から降りた。

ゆっくりトラックに向かって歩いた。

駐車場は無人だった。完全に無人。

誰もいない。俺だけ。

トラックに着いた。キャビンの中を見た。

空っぽ。

座席に誰もいない。隠れている人もいない。

クラクションが勝手に鳴るはずがない。

不可能。

もし……でなければ

もしそれが……

いや。

理性的に、健二。理性的に。

電気系統の故障に違いない。ショート。何か。

車に戻った。

携帯を取り直した。

小林の番号を見た。

たぶん……たぶん別の場所から試すべきだ。ここじゃない。トラックの近くじゃない。

でも好奇心——絶望——が強かった。

一回だけ試す。一回。

番号をもう一度押した。

一回の呼び出し音。

ブォォォォン!ブォォォォン!ブォォォォン!!!

三回。激しい。怒りに満ちた。

携帯が手から落ちた。

トラックを見た。

ライトは消えている。ドアは閉まっている。中に誰もいない。

でもクラクションが鳴った。

また。

電話したまさにそのときに。

いや。

ありえない。

できない……

トラックが知るはずがない。

でも知っていた。

クソ、知っていた。

立ち上がった。足が震えていた。

トラックに向かって歩いた。

ゆっくり。

まるで野獣に近づくように。

「お前は何だ?」と囁いた。

沈黙。

ボンネットに手を置いた。

冷たい。金属的。無生物。

でも違った。

本当は。

お前は生きている、と思った。生きている。そして俺を見ている。

俺を支配している。

答えを探すのを望んでいない。

小林と話すのを望んでいない。

吉田と話すのを望まなかったのと同じように。

パニックが上がってきた。

速く。窒息するように。

車に戻った。乗った。ドアを閉めた。

そこに座って、震えて、激しく呼吸していた。

小林に電話できない。

もしすれば……何が起こる?

トラックが止める?

それとも別のトラックを送って彼も殺す?

吉田のように?

助手席の紙を見た。

小林の番号。

最後の希望。

そして使えない。

閉じ込められている。

完全に、完璧に閉じ込められている。

その夜は眠れなかった。

ベッドで起きたまま、背中を向けて眠るユキの隣に。

天井を見つめた。

こんなふうに続けられない。

できない。

頭がおかしくなっている。

妻を失っている。

そして遅かれ早かれ……遅かれ早かれトラックはまた襲う。

そして俺はそこにいる。無力。いつものように。

もし……でなければ

もし止める方法を見つけなければ。

でもどうやって?

機械的には無理だ。自己修復する。

会社は信じない。

他の運転手は死んだか連絡できない。

妻は理解しない。

警察は逮捕する。

何が残っている?

一つの考え。馬鹿げた。

霊的な……助け?

すぐに払いのけた。

ばかばかしい。俺は32歳の大人だ。霊や呪いなんて信じない。

全て……科学的だ。説明できる。そうに違いない。

ただまだ理解していないだけだ。

でもそれから全てを思い返した。

制御を奪うトラックで止める方法がない。

消える遺体。

そして今……クラクション。

二回。小林に電話したまさにそのとき。

ランダムな故障じゃない。

偶然じゃない。

反応。

トラックは知っている。

どうやって車両が知れる?

科学はこれを説明しない。

論理はこれを説明しない。

たぶん……

たぶん科学を超えた何かがある。

理解していない何か。

何か……超常的な。

その言葉でほとんど笑いそうになった。

超常的。

俺。田中健二。超常的な助けを探している。

哀れだ。

でも他に何ができる?

土曜の朝、ユキが哲也と外出している間、ノートパソコンを開いた。

検索した。

「憑かれたトラック」じゃない今回は。

違うもの。

「車両のお祓い 日本」

「呪われた物の浄化」

「神主 東京」

結果は……驚くほど多かった。

新車の祝福を提供する神社についての記事。

家、店、車両の浄化儀式。

あるサイトが「祓え」について話していた——霊的な穢れを取り除く浄化儀式。

霊的な穢れ。

トラックはそれなのか?

穢れ?

それとももっと悪い何か?

神社の住所を見つけた。遠くない。車で20分。

八幡神社 - お祓いのご予約承ります

画面を見た。

本気でこれを考えているのか?

神主のところに行って「私のトラックは憑かれています」と言うのか?

狂人扱いされる。

でもそれからユキを思った。失望した彼女の顔を。

哲也を思った。アニメを見ている。標的になりうる。

吉田を思った。死んだ。

そして自分を思った。閉じ込められている。絶望している。一人。

他に選択肢がない。

ゼロ。

これか……

それとも狂う。

携帯を取った。

神社の番号に電話した。

「もしもし、八幡神社です」

若い声。礼儀正しい。たぶん25、30歳。

「あの……こんにちは。お祓いについて情報をいただきたいのですが」

「もちろんです。どのようなお祓いをお探しですか?家?店舗?」

「車両です」

「ああ、はい。新車のご祈祷はよくやっております。最近購入されましたか?」

「いえ、俺は……何年も使っている車両なんです。でも最近……何かおかしいことがあると思います。何か……機械的じゃないことが」

向こうから沈黙。

それから声、より真剣に。

「分かりました。症状を説明していただけますか?」

症状。病気のように。

「自律的に……振る舞います。まるで自分の意志があるかのように。そして奇妙なことが……起こりました。それの周りで」

「ふむ。気配を感じましたか?音?説明できない動き?」

クラクション。ハンドル。アクセル。

「はい。全部です」

「古い日本語は分かりますか?宗教用語?」

「少し」

「あなたが説明しているのは付喪神と呼ばれるものです。長年の後に霊を得る物。または時には……物に取り憑く神や妖怪」

霊。神。妖怪。

本当にこの会話をしている。

「そして……浄化できますか?」

「場合によります。良い霊もいます。そうでないものも。車両を見なければなりません。調べて。そのエネルギーを感じる必要があります」

「いくらかかりますか?」

「基本的な儀式は3万円です。もっと深いものが必要なら……場合によります」

3万円。多くない。俺の精神衛生のためには。

「あの……来週の日曜日に来られますか?」

「来週の日曜日ですね。今週はもう予約がいっぱいでして。毎日儀式があります。来週の日曜日14時はいかがですか?」

「大丈夫です。ありがとうございます」

「お名前は?」

「田中。田中健二です」

「分かりました、田中さん。では来週の日曜日に。そして……車両を持ってきてください。直接調べる必要があります」

「分かりました。ありがとうございます」

切った。

座ったまま。

やった。

神主との予約を取った。

トラックを浄化するために。

俺。田中健二。理性的なトラック運転手。実務的な労働者。

今、霊を信じている。

テーブルに頭を預けた。

そして何週間ぶりかに……

感じた……希望とは言えないが。

絶望が少し減った。

たぶん助けてくれる人がいる。

たぶん完全に一人じゃない。

たぶん……

たぶんまだ出口がある。

たとえその道が一ヶ月前なら嘲笑していた祈りと儀式を通ってでも。

でも一ヶ月前はトラックが魂を持つなんて知らなかった。

一ヶ月前は世界が理にかなっていると思っていた。

今?

今は分かっている。

そしてもし霊が本物なら……

もし妖怪が本物なら……

ならたぶんお祓いも本物だ。

たぶん。

理性が失敗したとき、何が残る?信仰だ。ずっと持っていた信仰ではなく、絶望から作り上げる信仰が。


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