「俺は馬鹿に囲まれてると確信している」
目覚ましが7時30分に鳴った。
必要なかった。もう起きていた。
三時間の睡眠。たぶん。
起きて、服を着て、コーヒーを淹れた。
7時55分にはもう事務所にいた。
林と木村が10分後に到着した。
「結果は?」と林がすぐに訊いた。
「8時。長谷川が約束した」
座った。待った。
沈黙が重かった。張り詰めていた。
時計を見た。
7時58分。
7時59分。
8時。
電話が鳴った。
最初の呼び出し音で取った。
「石川刑事です」
「刑事。長谷川です。予備結果が出ました」
心臓が加速した。わずかに。
「で?」
「人間の血液です。99.7%確認されました」
そうだ。
「量は?」
「多くはありません。しかし、重大な外傷を示すには十分です。誰かがあの倉庫で出血しました。そして誰かが非常に、非常に丁寧に掃除しました」
「DNA は?」
「サンプルは中央ラボに送りました。結果は72時間以内。ですが刑事……もしこれが被害者の一人と一致したら……」
「分かっている。ありがとう、長谷川」
「幸運を」
切った。
林と木村を見た。
「人間の血液。確認された」
林の笑みは即座だった。
「やった」
「まだだ。DNA が必要だ。でも……ああ。近づいている」
10分後、谷口が事務所に呼んだ。
他にも人がいた。市長。内務省の二人の官僚。
ああ、まずい。
「石川刑事」と谷口が言った。「素晴らしい仕事だ。人間の血液が確認された」
「ありがとうございます、署長。しかし強調させていただきたいのは——」
「逮捕に進む。即座に」
体が硬直した。
「署長、失礼ながら、DNA を待つことを強く提案いたします。あと72時間です。もし血液が被害者と一致すれば、揺るぎない案件になります。現時点では我々が持っているのは——」
「三件の失踪に関連する容疑者の倉庫で見つかった人間の血液がある」と官僚の一人が遮った。「進めるには十分だ」
「進めるには十分ですが、確実な有罪判決には不十分です。弁護側は——」
「刑事」と市長が固い口調で言った。「あなたの職業的慎重さは理解します。しかし政治的状況が即座の行動を必要としています」
「政治的状況?」
「苦しんでいる三つの家族。我々を批判するメディア。毎日電話してくる総理大臣。我々は進展を示す必要があるのです」
「失礼ながら、市長、決定的証拠なしに誰かを逮捕することは進展ではありません。それは——」
「それが我々がやることだ」と谷口が決定的な口調で言った。「秋山博は今日逮捕される。記者会見付きで。我々が行動していることを国民に示す」
「署長、私は主張しなければなりません——」
「議論ではない、刑事。命令だ」
谷口を見た。それから市長。官僚たち。
政治。いつもクソみたいな政治だ。
「もしDNA が一致しなかったら?」と抑制した声で訊いた。
「一致する」と官僚が馬鹿げた自信で言った。「あなた方は素晴らしい仕事をした。自信を持ちなさい」
馬鹿だ。全員馬鹿だ。
だが何ができる?
「了解しました、署長。命令通りに進めます」
14時、二台の警察車両が秋山運送サービスに到着した。
点滅灯。サイレン。
そしてその後ろ:三台のメディア車両。カメラ。記者たち。
谷口が全て手配していた。
ショー。
遠くから、民間車で見ていた。
警官たちが倉庫に入った。
秋山が手錠をかけられて連れ出された。
混乱している。怯えている。
「何が起こってるんだ?!何をしたって言うんだ?!」
フラッシュ。カメラ。叫ばれる質問。
「失踪の責任者は彼ですか?!」
「あの人々を殺したんですか?!」
「遺体はどこですか?!」
谷口がカメラの前に、マイクが至る所に。
「三件の失踪に関連して容疑者を逮捕しました。法医学的証拠が彼の所有地で見つかりました。捜査は続きます」
「どんな種類の証拠ですか?」
「詳細は明かせません。しかし我々は正しい人物を捕らえたと確信しています」
確信している。
DNA なしに。
馬鹿だ。
その夜、ニュースは溢れていた。
「失踪事件に進展」
「容疑者拘留中 - 法医学的証拠発見」
「警察:『確信している』」
家族たちがインタビューされている。涙を流して。希望を持って。
「やっと……やっと何かが……」
事務所の窓から見た。
もし間違えたら?
もしDNA が一致しなかったら?
あの家族たちに何と言う?
林が入ってきた。
「刑事。谷口署長が明日の朝、あなたに尋問を担当してほしいと」
「いや」
「……何?」
「署長に、尋問の直接担当から除外されることを丁重にお願いすると伝えてくれ」
「でも……なぜ?」
「もし山田運輸に潜入捜査しなければならないなら、認識されるわけにはいかない。もし秋山を対面で尋問して、その後彼が田中と話したら——誰が尋問したか説明したら——私のカバーが危険に晒される」
「ああ。考えてなかった」
「だろうな。署長に小島警部補か他の誰かを割り当てるよう依頼してくれ。私はマジックミラーの後ろから観察する」
「分かりました」
翌日、小島警部補が尋問を行った。
私は谷口と林と一緒にマジックミラーの後ろにいた。
秋山は人生最悪の悪夢を生きている普通の人間に見えた。
テーブルに座っている。手錠。目の下にクマ。混乱している。
小島が入った。座った。
「秋山博さん」
「はい……はい、私です。でもお願いです、何が起こってるのか教えてください!なぜ私がここに?!」
小島がファイルを開いた。
倉庫の写真。UV下の血痕。
「これが分かりますか?」
秋山が見た。
「これは……私の倉庫?」
「この青い痕跡が見えますか?」
「いいえ……それは何ですか?」
「血液です。人間の血液。あなたの倉庫の床に」
秋山の顔から血の気が引いた。
「血液?人間の?いいえ……いいえ、間違いがあるはずです!私は——」
「誰かがそこで出血しました。かなり。そして誰かが掃除しました。しかし科学は嘘をつきません、秋山さん」
「でも私は何も知りません!誰も——誰も傷つけたことなんてありません!私は倉庫を経営しているんです!物流です!全部合法です!」
小島が身を乗り出した。
「三人が失踪しています。渡辺祐樹。佐藤博。田中真。何か思い当たりますか?」
「いいえ!誰ですか?!知りません!」
いいぞ、とマジックミラーの後ろで思った。続けろ。ゆっくり。系統的に。
「山田運輸から配達を受けていますね。正しいですか?」
「はい。他の多くの会社と同じように。それがどうかしましたか?」
そしてここで小島が間違いを犯した。
全てを変えた間違いを。
「田中健二を知っていますか?」
だめだ。
だめだめだめ——
谷口に向き直った。
「署長、止めさせないと。すぐに」
しかし遅すぎた。
秋山はさらに混乱しているようだった。
「誰?」
「田中健二。山田運輸の運転手です。あなたの倉庫に配達しています」
「私は……運転手の名前は知りません。毎週何十人も見ます!」
「この人は覚えているはずです。完璧な記録。七年間、一度も事故なし」
「それは……たぶん?分かりません。なぜ訊くんですか?」
小島が声を低めた。ドラマチックに。
「あなたと田中が一緒に働いていると考えているからです。ネットワーク。あなたが……配達を受け取る。そして田中がそれを運ぶ」
マジックミラーに手を叩きつけた。
「署長!主要容疑者の名前を出しました!許可なく!証拠なく!」
谷口が驚いて私を見た、動作の激しさに。
「刑事——」
「失礼ながら、署長、これは作戦の重大な危殆化です。もし秋山が本当に共犯なら、今や田中を見ているのを知っています。メッセージを送れます。警告を」
「落ち着け、刑事——」
「署長、尋問を即座に中断することを正式に要請します。損害は既に出ていますが、限定できます」
谷口がマジックミラーを通して見た。
秋山が叫んでいた。
「ネットワーク?!配達?!何の話ですか?!田中なんて知りません!誰とも働いていません!何を配達するって言うんですか?!荷物ですよ!電子機器!普通の物!」
小島が追及を続けていた、どんどん深い穴を掘りながら。
谷口がため息をついた。
「分かった。止めよう」
インターコムを押した。
「小島警部補。尋問を中断してください。こちらに戻ってください」
尋問はその後すぐに終わった。
何もない。秋山は全てを否定した。
潔白か、信じられない役者か。
小島が出てきた、明らかに満足そうに。
「否定していますが、圧力をかけました。DNA が届いたら——」
「警部補」と抑制しながらも冷たい声で言った。「田中健二の名を出しました。我々の主要容疑者です。許可なく。証拠なく。あなたの推論を説明していただけますか?」
「彼の反応を見たくて——」
「彼の反応?!もし有罪で田中にメッセージを送ったら?もしネットワークがあれば、今や我々が探していることを知っています!」
「田中は慎重な監視下に——」
「慎重な!逮捕できません!証拠がありません!逃げられます!証拠を破壊できます!署長——」谷口に向き直った、「小島警部補をこの捜査から外すことを正式に要請します。作戦を危険に晒しました」
小島が硬直した。
「石川刑事、私は捜査上の直感に従っていた——」
「全案件を犠牲にしかねない直感だ!」
谷口が手を上げた。
「もういい。二人とも。石川刑事、あなたの不満は理解する。しかし小島警部補は上級官で、彼が適切と考えたことに従って行動した——」
「失礼ながら、署長、これは年功序列の問題ではありません。手続きの問題です。そして手続きが違反されました」
「あなたの異議は記録された。しかし小島を案件から外さない」
拳を握りしめた。
呼吸した。
プロフェッショナルに、石川。プロフェッショナルを保て。
「了解しました、署長」
「よろしい。さあDNA を待とう。72時間」
72時間後、電話が鳴った。
長谷川。
「刑事。DNA の結果が出ました」
息を吸った。
「教えてくれ」
間。
長すぎる。
「刑事……被害者の誰とも一致しません」
世界が止まった。
「何?」
「血液のDNA は渡辺、佐藤、田中真の誰とも一致しません。誰のものでもありません」
「でも……でも人間の血液だ。確認した——」
「はい。人間の血液でした。99.7%。でも……」別の間。「刑事、我々はさらなる分析を行いました。より深いテスト。そして……」
「そして何?」
「予備テストに偽陽性がありました。稀ですが、起こります。特に異種間汚染で」
「異種間……何?」
「血液は人間のものではありません。ネズミです。ドブネズミ。一般的なネズミ」
沈黙。
完全な。
完璧な。
絶対的な。
「……ネズミ」
「はい。正確には二匹の異なる個体。申し訳ありません、刑事。最初のテストには人間に見えるマーカーがあったのですが——」
「ネズミ」
「はい」
「あなたは絶対に、完全に、完璧に確信しているのか」
「100%。ネズミの血液です。疑いありません」
目を閉じた。
「キリストよ」
「本当に申し訳ありません、刑事。もし他に何か——」
「ありがとう、長谷川」
切った。
座ったまま。
電話を握る手があまりに強く痛かった。
ネズミ。
クソみたいなネズミの血液。
そして我々は男を逮捕した。公然と。カメラで。希望を持つ家族たちと。
ネズミのために。
谷口が10分後に入ってきた。
その顔から、既に知っていた。
「長谷川が電話した」
「ああ」
「それは……?」
「ネズミ。ネズミの血液」
谷口が重く座った。
「クソ」
「ああ」
「何を提案する?」
「即座の釈放を提案します。弁護士が持っている全ての円で我々を訴える前に」
「メディアは——」
「メディアは我々を虐殺します。当然です」
沈黙。
「市長に電話しなければ」と谷口が静かに言った。「そして大臣に」
「署長、失礼ながら、彼らの公開逮捕がネズミの血液に基づいていたと伝えてください。何と答えるか見てみましょう」
谷口が私を見た。
怒りではなく。疲労で。
「あなたのせいじゃない、刑事」
「分かっています。そして待つことを提案したときに誰も聞かなかったことも知っています」
秋山は二時間後に釈放された。
公式な謝罪付きで。
そして非常に、非常に怒った弁護士と。
記者会見は……虐殺だった。
「私の依頼人は」と弁護士が数十のカメラの前で言った、「公然と逮捕されました。中傷されました。犯罪者として扱われました。そして何のために?彼の倉庫で二匹のネズミを殺したために!」
記者たちの間で神経質な笑い。
「警察は恥ずべき無能さで行動しました。政治的圧力のためにショー逮捕を行いました。確固たる証拠なく。確認せずに」
フラッシュ。叫ばれる質問。
「訴訟を起こしますか?!」
「絶対に。精神的損害。名誉毀損。不当逮捕」
秋山が弁護士の隣で、打ちのめされているように見えた。
「私は……ただ倉庫を経営したかっただけです。そして今……みんなが私を殺人者だと思っています。どうやって普通に戻れば?」
夜のヘッドラインは残酷だった。
「警察が無実の人を逮捕 - 証拠はネズミの血液」
「捜査災害 - 家族たち失望」
「市長に圧力 - 辞任?」
事務所からニュースを見た。
林と木村が沈黙していた。
「あなたのせいじゃない」と林が静かに言った。
「分かってる」
「DNA を待つことを提案していた」
「分かってる」
「そして小島は田中の名を出すべきじゃなかった」
「分かってる」
でも分かっていても助けにならなかった。
谷口がその夜、事務所に呼んだ。
小島がいた。……防御的に見えた。
「石川刑事」と谷口が始めた。「あなたが不満なのは理解する——」
「不満は控えめな表現です、署長」
「しかし決定は上層部で下されました。我々は——」
「失礼ながら、署長、私はDNA を待つことを提案しました。私の推奨は無視されました。公然と逮捕しないことを提案しました。無視されました。そして小島警部補は許可なく田中の名を出し、作戦全体を危険に晒しかねませんでした」
「私は捜査上の直感に従っていた——」と小島が始めた。
「直感?!警部補、もし秋山が本当に関与していたら、三日間メッセージを送る時間がありました!そしてもし関与していなくても、誰かと話したかもしれません!ニュースは至る所にあります!もしネットワークがあれば、今や我々が探していることを知っています!」
「田中の監視は何も疑わしいものを検出していない」と谷口が言った。
「なぜなら彼は賢いからです!または本当に無実で我々は間違った男を追っているのです!」
「では何を提案する?」と小島が苛立った口調で訊いた。
彼を見た。
呼吸した。
プロフェッショナルに。
「署長、小島警部補を捜査内の他の責任に割り当てることを正式に要請します。容疑者との直接接触や重要な作戦決定を含まない責任に」
「石川刑事——」と小島が始めた。
「警部補」と谷口が決定的な口調で言った。「もういい。石川刑事が正しい。あなたは重大な間違いを犯した。尋問から外される。物流調整を担当する。議論終了」
小島が顎を食いしばった。
しかし頷いた。
「了解です」
出て行った。
谷口と二人きりになった。
「ありがとうございます、署長」
「礼を言うな。私も間違いを犯した。あなたの推奨を聞くべきだった」
「政治的圧力は政治的圧力です」
「ああ。しかしこれは結果を変えない。我々は信用を燃やした。時間を。そして、たぶん……たぶん作戦を危険に晒した」
「必ずしもそうとは限りません」
「どういうことだ?」
「潜入捜査。即座に。日数が経ちすぎて更に疑わしくなる前に。私は山田運輸に新しい運転手として現れます。佐藤武、京都から転勤。警察との目に見える関係なし。警戒の理由なし」
「もし田中が疑ったら?」
「リスクです。しかし我々に選択肢はありません。待てば待つほど、悪くなります。即座に進めることの許可を要請します」
谷口がゆっくり頷いた。
「許可する。カバーを準備しろ。明日申し込みを出せ」
「既に準備済みです」
「よろしい。しかし刑事?」
「はい?」
「今回は……間違いを許す余裕がない」
彼の目をまっすぐ見た。
「署長、今回は正しい手続きに従うことを要請します。政治的干渉なく。急いだ決定なく。ただ堅実な捜査作業を」
「同意する。白紙委任だ。しかし報告を続けてくれ」
「常に」
その夜、遅くまで事務所に残った。
ホワイトボードを見た。
田中から秋山への赤い線が消されている。
秋山は無実だった。ただネズミを殺した男。
一つの名前だけが残った。
田中健二
まだそこにいる、と思った。まだ主要容疑者だ。
そして今、何をすべきか分かっている。
あなたの世界に入る。
あなたたちの一人になる。
そして観察する。毎日。全ての動きを。
あなたが間違いを犯すまで。
そしてあなたは犯す。
遅かれ早かれ、犯す。
そして私はそこにいる。
秋山の災害が燃えていた。
メディアが我々を虐殺していた。
家族たちは失望していた。
市長は圧力下だった。
谷口はおそらく譴責を受けるだろう。
しかし私は……
私は計画を持っている。
そして今回は……
今回は答えを得る。
これについては……
田中の写真を見た。
これについては、私はまだ、絶対に、完全に確信している。
時に失敗はあなたをより決意させる。そして時には……より危険にする。




