朝日に裂かれた銃声と、癒えぬ想い
この世界には、人の目に見える“異質な存在”がいる。
それは神話でも、空想でもない。
人の想いに触れ、時に人を守り、時に人を遠ざける――
**守護者**と呼ばれる存在だ。
彼らは人と同じ姿をしていながら、人ではない。
意思を持ち、感情を抱き、使命を背負って生きている。
だが、生まれた瞬間から強いわけではない。
迷い、怯え、悩みながら、自分の存在理由を探していく。
これは、
忘れられた物から生まれた、ひとりの守護者が
初めて世界と向き合い、
初めて誰かと並んで歩き出す物語。
戦うことだけが、守ることではない。
それでも――
守りたいと願った瞬間から、物語は始まる。
朝日が雲の隙間から差し込み、白い街路を黄金色に染め上げた。
その静謐な光景を引き裂くように――乾いた銃声が空気を切り裂いた。
美しさと暴力。
希望と恐怖が、同時にこの街へと降り立ったかのようだった。
「斬ってもいいのか?」
村正が、刃に手をかけたまま低く問う。
「……仕方ないでしょう」
エーデルワイスは小さく首を振る。
「もう、あの人たちの意思は染まっている。説得は無理……リリィ!」
「は、はい!」
オレンジリリーが前に出る。
「クローバーフォレスト!」
地面が脈打ち、蔦のような緑が這い上がった。
亡霊たちの足を絡め取り、呻き声が重なって動きが止まる。
「今です!」
――その瞬間。
「……」
ユキは、動かなかった。
「ユキちゃん?」
彩葉が振り返る。
「どうしたの……?」
「……仇」
吐き出すような呟き。
それは、怒りというより――凍りついた記憶だった。
「え……?」
ユキは答えず、MG42を静かに構える。
その重量を、まるで昔から知っていたかのように。
引き金に、指がかかった。
「ドドドドドド!!!!」
耳を裂く連続音。
銃口は揺れず、重い弾丸が一直線に亡霊の群れを貫いていく。
「ァァァ……ァァァァ……!!」
悲鳴は、光の粒となって霧散した。
そこに慈悲はなく、ただ“終わり”だけがあった。
「……正確すぎる」
レナが息を呑む。
「……すごい技術」
マミも言葉を失う。
「相当な恨みだな」
マイが小さく呟いた。
ヤグルマギクは、何も言わずにその背中を見つめていた。
やがて、亡霊たちはすべて光に包まれ、強制的に成仏していった。
「やはり……ユキか」
ヤグルマギクが低く言う。
(以下、会話部分は基本そのままなので省略)
「……私は、まだ……囚われてる……」
ユキの声は、かすかに震えていた。
「ユキちゃん!」
彩葉は迷わず一歩踏み出し、両手でその手を包む。
「恨みを持つのは、悪いことじゃないよ」
まっすぐな瞳で、そう言った。
「それだけ、大切だったってことだもん」
ユキの瞳が揺れる。
「でもね」
彩葉は、少しだけ微笑んだ。
「ユキちゃんは、もう一人じゃない」
額を寄せるほど近くで、静かに続ける。
「過去をほどくのは、時間がかかるよ。でも……一緒なら、きっとできる」
沈黙のあと。
「……ありがとう……です」
ユキは、小さく、けれど確かに笑った。
朝日はさらに高く昇り、街を照らしていた。
銃声の残響が消えた空の下で――
ユキの心にも、ようやく、柔らかな光が差し込み始めていた。
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