表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルケオン  作者: れんP
アジア編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/182

雷霆の主神からの警鐘

この世界には、人の目に見える“異質な存在”がいる。

それは神話でも、空想でもない。

人の想いに触れ、時に人を守り、時に人を遠ざける――

**守護者アルケオン**と呼ばれる存在だ。


彼らは人と同じ姿をしていながら、人ではない。

意思を持ち、感情を抱き、使命を背負って生きている。

だが、生まれた瞬間から強いわけではない。

迷い、怯え、悩みながら、自分の存在理由を探していく。


これは、

忘れられた物から生まれた、ひとりの守護者が

初めて世界と向き合い、

初めて誰かと並んで歩き出す物語。


戦うことだけが、守ることではない。

それでも――

守りたいと願った瞬間から、物語は始まる。

 つい先ほどまで、激しい戦闘が繰り広げられていたとは思えないほど――

 森は静寂に包まれていた。


 夜風が木々を揺らし、葉擦れの音だけが穏やかに響く。


「……?」


 ふと、アルテミスが足を止めた。


「どうしました? アルテミスお姉様」


 隣を歩いていたアカンサスが、気づいて声をかける。


「えぇ……主神から、着信が……」


 そう言って、アルテミスは静かに手をかざした。


 次の瞬間――

 空中に、半透明の水色の光が広がる。

 それはまるで、水面に映る幻のようなモニターだった。


「すごい……」


 思わず、レナが声を漏らす。


 光の奥から、重く威厳のある声が響いた。


『アルテミス、聞こえておるか?』


「はい、主神ゼウス様」


 アルテミスは背筋を伸ばし、恭しく答える。


『そちらの進捗はどうだ?』


「はい。キマイラは討伐しました。……ですが、少しお話ししたいことがございます」


『なんだ?』


 アルテミスは、先ほど起きた出来事を一つずつ伝えた。

 ロキが現れたこと。

 そして彼自身が、断界同盟の“ボス”と名乗ったこと。


 しばしの沈黙。


『……ふむ』


 ゼウスの声が、わずかに低くなる。


『オーディンの部下から、ロキが逃げ出したことは聞いていたが……まさか、断界同盟と関わっていたとはな』


 その言葉に、場の空気が引き締まる。


『確か、今はトルコにいるのだったな』


「はい」


『ならば、ギリシャへ向かえ。アテナにこの件を伝え、警戒するように言ってくれ』


「……承知しました」


 アルテミスが深くうなずいた瞬間、光のモニターは静かに消えた。


 森は、再び夜の静けさを取り戻す。


「……行こう」


 アルテミスの短い一言に、


「あ、はい」


 アカンサスが即座に応じた。


 ほどなくして、彩葉たちは先ほどの港町へと戻ってきた。


「……ギリシャに、行くんですか?」


 彩葉(いろは)が、アルテミスを見上げて問いかける。


「えぇ」


 アルテミスは微笑み、


「よろしければ……一緒に来ませんか?」


「どうしよう……」


 一瞬、迷いが彩葉の胸をよぎる。


「ギリシャからイタリアに行ってもいいんじゃないか?」


 村正(むらまさ)が、現実的な提案を口にした。


「そうですね。その方が、たくさん見て回れます」


 陽菜(ひな)も賛同する。


「……うん」


 彩葉は、仲間たちを見渡し、そしてうなずいた。


「わかった。ついて行くよ」


「ありがとうございます」


 アルテミスは、どこか安堵したように微笑んだ。


「なんだか……色々あったね」


 マミがしみじみと言う。


「そうだね」


 フェルルも、穏やかにうなずく。


「……でも、楽しいことも……あった……です」


 (エイ)の言葉に、


「そうだな」


 (くろ)が短く笑った。


「次はヨーロッパか。確か」


 (リー)芳乃(よしの)が腕を組む。


「ギリシャには神話が数多く残っておる。良き勉強にもなるじゃろう」


 (しおり)の言葉に、


「ギリシャか〜。行ったことないな〜」


 リリア=エジソンが楽しそうに言い、


「私も……初めて……」


 マイが少し緊張した声で続く。


「進路変更、ギリシャに向かうなの〜」


 アビが元気よく宣言した。


「うん!」


「出発〜!」


 花火(はなび)の声とともに、皆が手をつなぐ。


「またな〜!」


 ラーレの声に見送られながら、彩葉たちは夜空へと舞い上がった。


 アルテミスは一人、軽やかに宙を駆ける。


「……その人数を連れて飛ぶとは、かなりの使い手ですね」


 感心したように、アルテミスが言う。


「たしかに……」


 アカンサスも頷いた。


「ありがとうなの」


 アビが照れくさそうに返す。


 こうして――

 彩葉たちは、新たな目的地へと進路を変える。


 神々の国、ギリシャへ。


 そして、その先に待つものをまだ誰も知らなかった。


―アジア編、ここに終幕。


 次なる旅路は、ヨーロッパ編へ。

アジア編、ここまでお読みいただきありがとうございました。

数々の出会いと別れ、そして新たに見えてきた“断界同盟”の影。

物語は、神々の国――ギリシャへと舞台を移します。


次なる旅路で、彩葉たちは何を知り、何を選ぶのか。

ヨーロッパ編も、どうぞお付き合いください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ