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アルケオン  作者: れんP
日本編

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46/56

旅立ちの風、佐世保へ

この世界には、人の目に見える“異質な存在”がいる。

それは神話でも、空想でもない。

人の想いに触れ、時に人を守り、時に人を遠ざける――

**守護者アルケオン**と呼ばれる存在だ。


彼らは人と同じ姿をしていながら、人ではない。

意思を持ち、感情を抱き、使命を背負って生きている。

だが、生まれた瞬間から強いわけではない。

迷い、怯え、悩みながら、自分の存在理由を探していく。


これは、

忘れられた物から生まれた、ひとりの守護者が

初めて世界と向き合い、

初めて誰かと並んで歩き出す物語。


戦うことだけが、守ることではない。

それでも――

守りたいと願った瞬間から、物語は始まる。

――次の日。


太宰府天満宮の境内には、朝の澄んだ空気が満ちていた。

昨日までの激戦が嘘のように、梅の香りが穏やかに漂っている。


彩葉(いろは)は深く一礼した。


「……あの、色々とありがとうございました!」


菅原道真公は静かに頷き、どこか満足げな笑みを浮かべた。


「うむ。皆、よく乗り越えたな。

それで……次はどこへ向かうつもりだ?」


「それが……まだ、決めてなくて……」


彩葉の言葉に、道真公は少し考える素振りを見せ、袖の中から一通の封書を取り出した。


「ならば――長崎の佐世保鎮守府へ、これを届けてくれ」


「はい……」


彩葉は両手で丁寧にそれを受け取る。


「これは?」


首をかしげる陽菜(ひな)に、道真公は軽く笑った。


「今回の件についての報告書だ。

向こうには話の通じる者がいる。任せてもよいか?」


「はい! 必ず届けます!」


彩葉の即答に、道真公は満足そうに頷いた。


「次は佐世保か……」


村正(むらまさ)が腕を組み、ふっと笑う。


「あそこはな、みかんがうまいんだよな」


「みかん……!」


(エイ)の目が、きらりと光る。


「それは気になるな。ぜひ食べてみたい」


(くろ)も静かに頷いた。


「それでね!」


突然、花火(はなび)が一歩前に出る。


「私も、ついていくから! よろしく!」


「えぇ!? 来てくれるの?」


驚くレナに、花火はにっこり笑う。


「うん! いいよね?」


道真公は少しだけ目を細めた。


「……構わんが。

お主の神社は大丈夫なのか?」


「大丈夫!」


花火は胸を張る。


「私がいなくても花火大会は続くし。

それに……この子たちについて行きたくなったんだ」


その言葉に、彩葉たちは自然と笑顔になる。


「そうか……」


道真公は一つ頷き、続けた。


「困ったことがあれば、佐世保鎮守府――

日本海軍『佐世保の時雨』を頼ると良い」


「佐世保の……時雨?」


「まもなく自衛隊と日本軍の合同訓練があると聞いておる。

おそらく、そこにいるだろう」


「はい!」


彩葉は力強く答えた。


「佐世保までは、アビが連れていってあげるの」


胸を張るアビ。


「うん、よろしく」


マミが微笑む。


「それじゃ、みんなで手を握るの……」


「うん!」


彩葉が手を差し出す。


「また空の旅か。楽しみじゃな」


(しおり)が目を細めた。


「それじゃ、出発なの!」


アビの声とともに風が巻き起こる。


「飛行物体には気をつけるんだぞ」


道真公の言葉を背に、一同は手を取り合い、空へと舞い上がった。


――目指すは、長崎・佐世保。



――佐世保鎮守府。


夕暮れの港には、潮の香りと静かな波音が満ちていた。


「…………今日の仕事、終わり……」


一人の少女が、静かに息をつく。


その背に、声がかかる。


「お〜い、時雨(しぐれ)ちゃん!」


「はい!」


振り返った少女は、きりっとした表情で応えた。


「明日は合同訓練だ。

訓練用の道具はいつもの場所にある。確認してきてくれ」


「はい! 任せてください!」


そう答え、少女――時雨は港を駆け出す。


その頃、遥か空の彼方から、運命の旅人たちが近づいていることを、彼女はまだ知らなかった。


次なる物語は、佐世保の海と空のもとで、静かに動き始めていた。

第四十六話、ここまでお読みいただきありがとうございました。


太宰府での試練を終え、彩葉たちは新たな地――長崎・佐世保へと旅立つことになりました。

果たして「佐世保の時雨」とは何者なのか。

そして、彩葉たちの旅はどんな風を受けるのか。


次回も、ぜひお付き合いください。

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