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アルケオン  作者: れんP
日本編

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26/35

決意の先にあるもの

この世界には、人の目に見える“異質な存在”がいる。

それは神話でも、空想でもない。

人の想いに触れ、時に人を守り、時に人を遠ざける――

**守護者アルケオン**と呼ばれる存在だ。


彼らは人と同じ姿をしていながら、人ではない。

意思を持ち、感情を抱き、使命を背負って生きている。

だが、生まれた瞬間から強いわけではない。

迷い、怯え、悩みながら、自分の存在理由を探していく。


これは、

忘れられた物から生まれた、ひとりの守護者が

初めて世界と向き合い、

初めて誰かと並んで歩き出す物語。


戦うことだけが、守ることではない。

それでも――

守りたいと願った瞬間から、物語は始まる。

「どこだ……どこに……」


夜空を裂くような低い咆哮が、山間に響き渡る。


「……見つけたぞ!」


その瞬間だった。


外で空気が歪み、冷たい邪気が一気に流れ込む。


彩葉(いろは)たちは、ちょうど外に出ていた。


「……っ!」


百江(ももえ)の表情が一瞬で引き締まる。


山乃(やの)!戦闘準備!」


「っ!? ハァッ!」


山乃が即座に反応し、両手を広げる。

光の膜のような結界が展開された――が。


「――無駄だ!」


轟音とともに、祟面(タタリメン)が結界を突き破って降りてきた。


「見つけた……見つけた……」


歪んだ面が振動し、複数の声が重なって響く。


「見つけた!見つけたぞ!貴様ら!!!」


「っ……!」


村正(むらまさ)が歯を食いしばる。


「何という邪気……!」


(くろ)!」


陽菜(ひな)が叫ぶ。


(エイ)を連れて、早く中に!」


「お、おう! こっちだ!」


喰は影の腕を引き、急いで建物の中へ向かう。


「っ……!」


影は振り返りながらも、必死に足を動かした。


「ひゃ、ひゃぁ……!」


レナはその場で硬直しかける。


「だ、大丈夫だよ!」


彩葉が一歩前に出る。


「ここで止める!」


「うん、その意気だよ」


陽菜が静かに頷く。


「さて……」


(しおり)がゆっくりと構える。


「ここなら、思う存分暴れられるのじゃ」


「結界、張り終わりました!」


影と喰が入った建物を包むように、山乃が結界を完成させ、戻ってくる。


「……周囲に人の気配なし……」


寧々(ねね)が低く告げる。


「よし!」


村正が刀を握りしめる。


「決着をつけよう!」


「うん!」


彩葉も力強く応えた。


「殺す……コロス……コロス!!!!」


祟面の面が激しく震え、叫びが幾重にも重なる。


「ストラップ・ニードルバインド!」


彩葉の声と同時に、光を帯びたショルダーストラップが伸び、祟面の身体を絡め取る。


「グッ!?」


拘束された瞬間、無数のトゲが現れ、深く突き刺さった。


「今だ!」


「はい! エンチャントバレット!!」


銃声が夜を裂く。


「月光斬!!」


村正の刃が、銀の軌跡を描いて振り下ろされる。


「がぁっ!?……グォォォォォォォ!!!」


衝撃に、祟面の身体が大きく揺らぐ。


「っ……すごい破気……!」


レナが息を呑む。


「これは……」


栞が目を細める。


「東京の時の太歳星君なみの大物じゃな」


「えぇ……」


陽菜も同意する。


「だが……」


祟面が低く笑う。


「この程度か……?」


拘束が、きしりと音を立てる。


「オレの憎悪は……こんなものではないぞーー!!!!」


「っ……!」


彩葉の顔色が変わる。


「あ、拘束が……!」


「グォォォォォォォ!!!」


祟面は力任せに拘束を引きちぎり、そのまま一直線に突っ込んだ。


狙いは――寧々。


「っ……」


寧々は動かない。


祟面は妖力の塊を次々と投げ放つ。


「……」


「寧々ちゃん!」


レナが叫ぶ。


「問題ありません」


百江の声は、落ち着いていた。


「え……?」


塊が寧々にぶつかる、寸前。


「なっ!?」


祟面が声を上げる。


「え!? 寧々ちゃんが……揺らいでる?」


彩葉の目に映ったのは、霧のように揺らぐ寧々の身体だった。


「な、何だこれは……なぜだ!なぜ当たらない!」


塊はすり抜けるように通り、地面に激突する。


「狐火・炎狐輪転」


栞の声とともに、回転する炎の輪が祟面を焼き尽くす。


「グァァァァァァ!!」


「アレルゲンオーラ!」


レナが一歩踏み出す。


「がっ……な、何をした……」


祟面の動きが鈍る。


「アレルギーを付与して、アレルゲンを身体に入れました……」


レナは震えながらも、はっきり言った。


「これで、あなたはもうおしまいです。安心してください。死なないように調節しましたから」


「何……だと……」


祟面はよろめく。


「……当初の目的とは違いますが……」


山乃が言いかける。


「……あいつは、封印するしかありません」


百江の声は、重かった。


「こ……の程度……」


祟面はなおも憎悪を滲ませる。


その様子を、静かに見つめていた者がいた。


――マミ。


ベランダから、すべてを見下ろしていた。


「……もし……」


マミの脳裏に、想像がよぎる。


――もし、あれが人里に下りてきたら。


「きゃあぁぁぁ!!?」


「逃げろー!!」


逃げ惑う人々。

壊される街。

踏みにじられる、あの大切な場所。


「……っ……」


マミの拳が、強く握られる。


次の瞬間。


マミは、走り出していた。


その顔には、迷いはなかった。


ただ、決心だけが宿っていた。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

ついに祟面との直接戦闘が始まり、それぞれの力と役割がはっきりと描かれる回になりました。

そして静かに揺れ動くマミの決意――物語は次の局面へと進みます。

続きも見てくれたらうれしいです

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