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アルケオン  作者: れんP
神界編

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英雄たちの宴、そして新たな風

この世界には、人の目に見える“異質な存在”がいる。

それは神話でも、空想でもない。

人の想いに触れ、時に人を守り、時に人を遠ざける――

**守護者アルケオン**と呼ばれる存在だ。


彼らは人と同じ姿をしていながら、人ではない。

意思を持ち、感情を抱き、使命を背負って生きている。

だが、生まれた瞬間から強いわけではない。

迷い、怯え、悩みながら、自分の存在理由を探していく。


これは、

忘れられた物から生まれた、ひとりの守護者が

初めて世界と向き合い、

初めて誰かと並んで歩き出す物語。


戦うことだけが、守ることではない。

それでも――

守りたいと願った瞬間から、物語は始まる。

 神界――オリュンポス神殿。


 


 静かな治療室に、柔らかな朝日が差し込んでいた。


 


 窓から差し込む光は暖かく、まるで長い戦いを終えた者たちを優しく包み込むようだった。


 


 ベッドの上で、彩葉(いろは)の指先がわずかに動く。


 


 まぶたが震え、ゆっくりと開いた。


 


「……ッ……あれ?」


 


 ぼんやりとした視界。


 


 白い天井。


 


 見慣れない部屋。


 


「……ここは?」


 


 その時、そばから明るい声が聞こえた。


 


「あ!起きた?」


 


 振り向くと、そこにはアテナが立っていた。


 


 いつもの槍は持っていないが、その表情はいつも通り元気だった。


 


「ここは神殿の治療室だよ」


 


「あなたたち、みんなボロボロだったからね」


 


 彩葉はゆっくりと身体を起こした。


 


 少しだけ頭がふらつくが、不思議と痛みはない。


 


「他のみんなは……」


 


「もう起きてるよ」


 


 アテナはにこっと笑う。


 


「大丈夫そうなら来て」


 


 彩葉は慌てて頷いた。


 


「あ、はい!」


 


 


 しばらくして――


 


 彩葉はアテナに連れられて神殿の中央へとやってきた。


 


 そこには――


 


 賑やかな光景が広がっていた。


 


 長いテーブル。


 


 並べられる料理。


 


 天使たちが忙しく飛び回り、仲間たちも手伝っている。


 


 まるでお祭りの準備のようだった。


 


 


「あ、彩葉さん……」


 


 (エイ)が最初に気づいた。


 


「起きたんだね」


 


 


 (くろ)も振り向く。


 


「身体の方は大丈夫なのか?」


 


 


 彩葉は笑った。


 


「うん、大丈夫だよ」


 


 


 影はほっとした顔をする。


 


「良かった……です」


 


 


「あ~!彩葉だ~!」


 


 花火(はなび)が元気よく駆け寄る。


 


「おはよ!」


 


 


 レナも優しく笑った。


 


「元気になったみたいだね」


 


 


 ラキシアがくすっと笑う。


 


「体力も回復してるみたい、あは♡」


 


 


 マミが説明する。


 


「彩葉、今ね宴?の準備をしてるの」


 


「彩葉は主役らしいから座ってて」


 


 


「え!でも……」


 


 


 メデューサが静かに言った。


 


「いいんです」


 


「私たちも感謝してるので」


 


 


 ユキも頷く。


 


「うん……」


 


「連れて行ってくれて、話してくれて」


 


「他にも……感謝してる」


 


 


 ベアトリスが軽く肩をすくめる。


 


「うん、だからいいの」


 


「座ってて」


 


 


 彩葉は少し困った顔で笑った。


 


「わ、わかった」


 


 


 ココア=モカ=コフィアが優雅に微笑む。


 


「でも良かったですわ」


 


「目覚めてくれて」


 


 


 フェトゥ=ハーネアネアが静かに言う。


 


「うん……ちょうど準備も間に合いそうだし」


 


 


 フェルルが頷く。


 


「そうだね」


 


 


 (リー)芳乃(よしの)は腕を組みながら感心したように言った。


 


「うむ、しかし短期間であそこまで回復しているとは流石だな」


 


 


 (しおり)も頷く。


 


「そうじゃな」


 


「普通の守護者でもあれほどのものは時間がかかるのじゃ」


 


 


 アビが首を傾げる。


 


「じゃあ、彩葉、すごいなの?」


 


 


 陽菜(ひな)が笑う。


 


「そうだね」


 


「たしかにすごい」


 


「短期間であそこまでの成長」


 


 


 村正(むらまさ)が豪快に笑う。


 


「あぁ!そうだな!」


 


 


 リリア=エジソンが静かに言った。


 


「それに、ここまでの旅で」


 


「たくさんの“音”とめぐりあいました」


 


 


 マイも小さく頷く。


 


「うん……」


 


「それに楽しかった」


 


「旅」


 


 


 村正が再び笑う。


 


「そうだな!」


 


 


 彩葉はみんなを見ていた。


 


 自然と笑顔になる。


 


「みんな嬉しそう」


 


 


 その時だった。


 


「それはあなたが断界同盟を倒してくれたおかげですよ?」


 


 


 振り向くと――


 


 アルテミスが立っていた。


 


 その隣にはヘスティア。


 


 


「アルテミス様、アテナ様、ヘスティア様」


 


 


 ヘスティアが優しく微笑む。


 


「えぇ」


 


「アルテミスの言うとおりですよ、彩葉」


 


 


 静かに続ける。


 


「あなたは英雄の仕事をしたのですよ」


 


 


 アテナが元気よく言う。


 


「そうだよ!」


 


「彩葉たちはすごいんだから!」


 


 


 彩葉は少し照れながら笑った。


 


「……はい」


 


「そうですね」


 


 


 ふと、思い出したように言う。


 


「……そういえば」


 


「他のオリュンポスの皆さんは?」


 


 


 アテナが答える。


 


「お父さ……主神なら手紙を書いてるよ」


 


「他の神々は後始末かな?」


 


 


「都市ユグドラシルでも壮大な戦いがあったから」


 


 


 彩葉は納得したように頷いた。


 


「なるほど」


 


 


 そして――


 


 数時間後。


 


 


 宴の準備はすべて整った。


 


 巨大な扉が開く。


 


 


 ドン……!


 


 


 そこに立っていたのは――


 


 主神ゼウスだった。


 


 


 ゼウスはゆっくりと中央へ歩く。


 


 


 神々。


 


 天使。


 


 英雄たち。


 


 


 すべてを見渡し、深く頷いた。


 


 


「よくぞ戦い抜いた」


 


 


 静かな声が神殿に響く。


 


 


「世界を守った英雄たちよ」


 


 


 ゼウスは杯を掲げた。


 


 


「今宵は祝おう」


 


 


 そして高らかに言った。


 


 


「宴の始まりだ!」


 


 


 歓声が上がる。


 


 


 音楽。


 


 笑い声。


 


 料理の香り。


 


 


 神界は久しぶりの平和な時間に包まれた。


 


 


 仲間たちは笑い合い、


 


 神々も語り合い、


 


 天使たちは楽しそうに飛び回っていた。


 


 


 そして――


 


 気が付けば夜になっていた。


 


 


 神殿の外。


 


 静かな星空。


 


 


 彩葉は一人、外に出ていた。


 


 


「……」


 


 


 夜風が吹く。


 


 


「どうしたの?」


 


 


 振り向くと、アテナがいた。


 


 


 彩葉は少し笑った。


 


 


「アテナ様……」


 


 


 空を見上げる。


 


 


「いえ」


 


 


「色々あったな、と思い出してた」


 


 


 アテナは興味深そうに言った。


 


 


「英雄のお話」


 


「聞きたいな」


 


 


 彩葉は苦笑した。


 


 


「長くなりますよ」


 


 


 アテナは元気よく答える。


 


 


「大丈夫!」


 


 


 彩葉は少し考えた。


 


 


「……えっと」


 


 


「まずは……」


 


 


 星空の下。


 


 英雄の物語が語られ始めた。


 


 


 


 


 ――十年後。


 


 


 日本。


 


 


 大阪府。


 


 


 街の片隅。


 


 


 一人の少女が立っていた。


 


 


 薄黄色の猫耳パーカー。


 


 


 風が吹く。


 


 


「……?」


 


 


 少女が空を見上げる。


 


 


 その瞬間。


 


 


 一つの風が吹いた。


 


 


 それは――


 


 


 新たな物語の始まり。


 


 


 


 


 アルケオン 第二部


 


 


 「感情の色を探して」

ここまで読んでくれてありがとうございます。

第二部を制作予定です。お楽しみに

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