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アルケオン  作者: れんP
神界編

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181/182

神花解放 ― 英雄が討つ欺瞞の神 ―

この世界には、人の目に見える“異質な存在”がいる。

それは神話でも、空想でもない。

人の想いに触れ、時に人を守り、時に人を遠ざける――

**守護者アルケオン**と呼ばれる存在だ。


彼らは人と同じ姿をしていながら、人ではない。

意思を持ち、感情を抱き、使命を背負って生きている。

だが、生まれた瞬間から強いわけではない。

迷い、怯え、悩みながら、自分の存在理由を探していく。


これは、

忘れられた物から生まれた、ひとりの守護者が

初めて世界と向き合い、

初めて誰かと並んで歩き出す物語。


戦うことだけが、守ることではない。

それでも――

守りたいと願った瞬間から、物語は始まる。

 天空城・玉座の間。


 


 彩葉(いろは)たちはすでに限界に近かった。


 


 床には仲間たちが倒れている。


 


 ロキの神力が空間を支配していた。


 


 まるで世界そのものが敵になったかのような圧力。


 


 彩葉は膝をつきながらも立ち上がろうとしていた。


 


「まだ……終われない……」


 


 だが、足が震える。


 


 ロキはそれを見て笑った。


 


「ははは……」


 


「英雄とやらもこの程度か」


 


 その時だった。


 


「彩葉!」


 


 アテナの声が響いた。


 


 彩葉が振り向く。


 


 アテナは槍を握り、真剣な表情で立っていた。


 


「私に考えがある!」


 


 


 ロキが眉をひそめる。


 


「ほう?」


 


「知恵の神が何を思いついた?」


 


 


 アテナは静かに言った。


 


「彩葉」


 


「あなたの神装(しんそう)


 


「まだ完全じゃないよね?」


 


 


 彩葉は息を整えながら答える。


 


「……はい」


 


「まだ、完全には……」


 


 


 アテナは微笑んだ。


 


「大丈夫」


 


「私が開く」


 


 


 ロキが目を細める。


 


「何?」


 


 


 アテナは槍を掲げた。


 


 神力が溢れる。


 


 青白い光。


 


 


「私は知恵と戦略の神」


 


「そして戦神でもある」


 


 


 その力が彩葉へ流れ込む。


 


「神装の真の解放」


 


 


 光が彩葉を包む。


 


 


神花(しんか)解放」


 


 


 瞬間。


 


 彩葉の神装が変化した。


 


 


 花の紋様が広がる。


 


 神力が桁違いに膨れ上がる。


 


 


 床が震えた。


 


 


 ロキの顔が歪む。


 


「な……」


 


「馬鹿な……!」


 


 


 彩葉の瞳が光る。


 


 


 神装・神花状態。


 


 


 神力が嵐のように吹き荒れた。


 


 


 彩葉が静かに言う。


 


「……ありがとう」


 


「アテナさん」


 


 


 アテナは笑った。


 


「いっておいで」


 


「英雄」


 


 


 彩葉は一歩踏み出す。


 


 


 瞬間。


 


 


 ドォン!!


 


 


 音速を超えた。


 


 


 ロキの目の前に現れる。


 


 


「っ!!」


 


 


 神力の拳。


 


 


 ロキが吹き飛ぶ。


 


 


 壁が崩壊する。


 


 


「ぐっ……!」


 


 


 ロキが立ち上がる。


 


 だが、顔には焦りがあった。


 


 


「この力……!」


 


「神の……!」


 


 


 彩葉が手を掲げる。


 


 


「神花技」


 


 


 無数の光の花が出現する。


 


 


「ブロッサム・ジャッジメント」


 


 


 花が一斉にロキへ突き刺さる。


 


 


 ドォォォォォン!!!


 


 


 爆発。


 


 


 ロキが膝をつく。


 


 


「馬鹿な……」


 


 


 彩葉が近づく。


 


 


 その手に神力が集まる。


 


 


 ロキは慌てて叫んだ。


 


 


「ま、待て!」


 


 


 彩葉の足が止まる。


 


 


 ロキは必死に言葉を続けた。


 


 


「神は死なない!」


 


「人間どもの伝承が尽きぬ限り我々神は死なないぞ!」


 


 


 息を荒げながら続ける。


 


 


「だから私をここで殺しても……」


 


 


 その瞳が彩葉を見た。


 


 


「そ、それに!」


 


 


「お前は存在理由が守ることなのだろう?」


 


 


 ロキの声が震える。


 


 


「わ、私は守る対象だろう?」


 


 


 沈黙。


 


 


 彩葉は静かにロキを見つめた。


 


 


 そして。


 


 


 小さく首を振った。


 


 


「違う」


 


 


 ロキの目が見開かれる。


 


 


 彩葉の声は静かだった。


 


 


「守る対象は」


 


 


「世界」


 


 


 神力が集まる。


 


 


「あなたじゃない」


 


 


 ロキが叫ぶ。


 


 


「やめろォォ!!」


 


 


 彩葉は手を振り下ろした。


 


 


「神花奥義」


 


 


 光が爆発する。


 


 


「エターナル・ブロッサム」


 


 


 無数の花がロキを包み込む。


 


 


 神話の因果。


 


 


 伝承。


 


 


 存在そのもの。


 


 


 すべてを断ち切る力。


 


 


 光が消えた時。


 


 


 そこにロキはいなかった。


 


 


 完全な消滅。


 


 


 神は――


 


 


 本当の意味で死んだ。


 


 


 アテナが呟いた。


 


 


「……すごい」


 


 


「神を本当の意味で殺した……」


 


 


 彩葉はその場に座り込んだ。


 


 


 神装が消える。


 


 


「……」


 


 


 小さく呟く。


 


 


「私は……」


 


 


 アテナを見る。


 


 


「目的を果たせたでしょうか?」


 


 


 アテナは優しく微笑んだ。


 


 


「うん」


 


 


「あなたは果たせたと思うよ」


 


 


 そして言った。


 


 


「だから今は休んで……」


 


 


 彩葉は小さく頷く。


 


 


「はい……」


 


 


 そのまま意識を失った。


 


 


 


 しばらくして。


 


 


 天使たちが駆けつけてきた。


 


 


「英雄様!」


 


「こちらです!」


 


 


 天使たちは彩葉たちを担ぎ上げる。


 


 


 神界へと搬送された。


 


 


 


 ――オリュンポス神殿。


 


 


 ゼウスが静かに空を見上げていた。


 


 


「……終わったか」


 


 


 そばにいた熾天使が尋ねる。


 


 


「主神?」


 


 


 ゼウスはゆっくり息を吐いた。


 


 


「いや」


 


 


「神が……死ぬというのはやはり……」


 


 


 少しだけ目を閉じる。


 


 


「しかし……」


 


 


 再び空を見る。


 


 


「これは必要なことなのだろうな」


 


 


 そして微笑んだ。


 


 


「英雄一行が回復したら」


 


 


「宴だな」


 


 


 神界の空に。


 


 


 長い戦いの終わりを告げる静かな風が吹いていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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