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アルケオン  作者: れんP
神界編

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雷槌の復讐

この世界には、人の目に見える“異質な存在”がいる。

それは神話でも、空想でもない。

人の想いに触れ、時に人を守り、時に人を遠ざける――

**守護者アルケオン**と呼ばれる存在だ。


彼らは人と同じ姿をしていながら、人ではない。

意思を持ち、感情を抱き、使命を背負って生きている。

だが、生まれた瞬間から強いわけではない。

迷い、怯え、悩みながら、自分の存在理由を探していく。


これは、

忘れられた物から生まれた、ひとりの守護者が

初めて世界と向き合い、

初めて誰かと並んで歩き出す物語。


戦うことだけが、守ることではない。

それでも――

守りたいと願った瞬間から、物語は始まる。

 神界とヴァルハラを結ぶ道。


 その上空に浮かぶ巨大な要塞――天空城。


 


 城門の前には、禁呪によって蘇った世界蛇が立ちはだかっていた。


 


 神話の大蛇。


 世界蛇ヨルムンガンド。


 


 巨大な胴体が雲海を押し分けながらうねり、黒い鱗が空を覆う。


 黄金の瞳が彩葉たちを睨みつける。


 


 ヨルムンガンドが咆哮する。


 


「シャァァァァァァァァァァア!!!!」


 


 空気が震え、毒の霧が広がった。


 


 その凄まじい威圧の中、クララが前に出た。


 


 雷槌ミョルニルを握りしめ、静かに言う。


 


「皆さん……」


 


「お願いがあります」


 


 その声には迷いがなかった。


 


「……あいつを固定してください」


 


「その隙に私がやつの体内に電撃を浴びせます」


 


 アテナが目を見開く。


 


「え!?それは危険だよ!」


 


「あいつには毒が……!」


 


 ヨルムンガンドの毒。


 それは神でさえ殺す猛毒。


 


 しかしクララは首を振った。


 


「問題ありません……」


 


 静かな声。


 


「任せてください!」


 


 その瞳には、ただ一つの想いが宿っていた。


 


 主の仇。


 


 雷神トールの仇を討つ。


 


 彩葉(いろは)が頷く。


 


「うん!」


 


「わかった!」


 


 彩葉が神装を展開した。


 


「ストラップニードルバインド!」


 


 無数の光の針が空中に現れ、糸のような神力がヨルムンガンドへ絡みつく。


 


 (くろ)が笑う。


 


「いいぜぇ!」


 


「ダークバインド!だぜぇ!」


 


 黒い闇の鎖が大蛇へと伸びた。


 


 マイが静かに呟く。


 


「ノイズバインド……!」


 


 音の波が空間を歪め、ヨルムンガンドの動きを鈍らせる。


 


 (エイ)が手を掲げる。


 


「神力の鎖……!」


 


 銀色の鎖が空から降り注ぎ、巨体へ巻き付いた。


 


 ヨルムンガンドが暴れる。


 


「シャァァァァァァァァァァア!!!?」


 


 だが、その巨体は確実に縛られていた。


 


 そこへ――


 


 村正(むらまさ)が飛び出す。


 


 刀が黄金の光を放つ。


 


「陽光刀……!」


 


 神力が一気に膨れ上がる。


 


「日赫輪!!!」


 


 太陽のような円形の斬撃が空に描かれた。


 


 ズォォォォォォン!!


 


 巨大な斬撃がヨルムンガンドの体を叩きつける。


 


 その衝撃で大蛇は地面へと叩き落とされた。


 


 ドォォォォォォン!!


 


 天空城の前の大地が揺れる。


 


 クララが叫ぶ。


 


「ありがとうございます!」


 


 そして。


 


 ヨルムンガンドが大きく口を開いた瞬間。


 


 クララは飛び込んだ。


 


 仲間たちが息を呑む。


 


 巨大な牙の奥――


 毒に満ちた体内へ。


 


 クララは迷わなかった。


 


「……主の仇」


 


 彼女は呟く。


 


「敵討ち……」


 


 ミョルニルを強く握りしめる。


 


「行きますよ!」


 


「ミョルニル!!!」


 


 雷槌が叩き込まれた。


 


 次の瞬間――


 


 体内で雷が爆発した。


 


 ビリリリリリリリリ!!!


 


 轟音。


 


 雷がヨルムンガンドの体内を駆け巡る。


 


 ボコォォォォォン!!!


 


 ゴロゴロゴロゴロ!!


 


 巨大な雷鳴が天空城の周囲を震わせた。


 


 ヨルムンガンドが狂ったように暴れる。


 


「シュルルルルルルルル!?!?!?!?!」


 


 雷が鱗の内側から炸裂する。


 


 内部から焼き尽くされていく。


 


 そして――


 


 巨体が崩れ落ちた。


 


 ズシィィィン……


 


 ヨルムンガンドの身体は黒焦げになり、完全に動きを止めていた。


 


 沈黙。


 


 風だけが吹き抜ける。


 


 ラキシアがぽつりと言う。


 


「……死んでるね」


 


 レナが頷く。


 


「うん……そうみたい」


 


 マミが周囲を見回す。


 


「クララは?」


 


 アビが慌てる。


 


「どうなったなの!?」


 


 その時。


 


 ヨルムンガンドの口の奥から声がした。


 


「問題ありませんよ」


 


 彩葉が振り向く。


 


「クララ!」


 


 クララが口の中からゆっくりと出てきた。


 


 体は煤で黒くなっていたが、無傷だった。


 


 アテナが駆け寄る。


 


「大丈夫?」


 


「どこもおかしなところはない?」


 


 クララは軽く頭を下げた。


 


「はい、アテナ様」


 


「毒状態にもなっていません」


 


 アテナがほっと息をつく。


 


「……よかった」


 


 (しおり)が頷く。


 


「うむ」


 


「残りはロキだけじゃな」


 


 (リー)芳乃(よしの)が前へ出る。


 


「この奥に……」


 


 城門を見据える。


 


「任せろ」


 


 彼女の拳に神力が集まる。


 


「死聖拳――」


 


 空気が震える。


 


「ホーリデッド」


 


 拳が放たれた。


 


 ドォォォォォン!!!


 


 衝撃波が城門を直撃する。


 


 巨大な扉が粉々に砕け散った。


 


 リリア=エジソンが目を輝かせる。


 


「わぁ~!」


 


「あんなに頑丈そうだった門があっさり……」


 


 ユキが静かに呟く。


 


「すごい……」


 


 ベアトリスが頷く。


 


「さすがキョンシー+仙人……」


 


 ココア=モカ=コフィアが言う。


 


「と、とりあえず」


 


「先に進みましょう?」


 


 フェルルが頷く。


 


「そうだね」


 


 フェトゥ=ハーネアネアも続く。


 


「うん……そのほうがいい」


 


 花火(はなび)が拳を上げる。


 


「うん!」


 


 アテナが振り返る。


 


「じゃあ!」


 


「行こう!!」


 


 仲間たちが一斉に声を上げた。


 


「オー!!!」


 


 彩葉たちは天空城の中へと進んでいく。


 


 その奥には――


 


 欺瞞の神。


 


 ロキが待っている。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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