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アルケオン  作者: れんP
神界編

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世界蛇・ヨルムンガンド

この世界には、人の目に見える“異質な存在”がいる。

それは神話でも、空想でもない。

人の想いに触れ、時に人を守り、時に人を遠ざける――

**守護者アルケオン**と呼ばれる存在だ。


彼らは人と同じ姿をしていながら、人ではない。

意思を持ち、感情を抱き、使命を背負って生きている。

だが、生まれた瞬間から強いわけではない。

迷い、怯え、悩みながら、自分の存在理由を探していく。


これは、

忘れられた物から生まれた、ひとりの守護者が

初めて世界と向き合い、

初めて誰かと並んで歩き出す物語。


戦うことだけが、守ることではない。

それでも――

守りたいと願った瞬間から、物語は始まる。

 神界とヴァルハラの間の道。


 その上空には、黒い雲が渦巻いていた。


 


 雲の海の上に浮かぶ巨大な要塞――天空城。


 その異様な城へと向かって、彩葉(いろは)たちを乗せた神の飛行装置は進んでいた。


 


 しかし、城へ近づくにつれ、空気は明らかに変わっていった。


 


 神界特有の澄んだ神力の気配が薄れ、


 代わりに広がるのは、重く、濁った邪気。


 


 まるでこの空域だけが別世界になっているかのようだった。


 


 レナが小さく呟く。


 


「……空気、重いね」


 


 陽菜(ひな)も周囲を見回す。


 


「えぇ……」


 


「神界なのに……まるで魔界みたい……」


 


 村正(むらまさ)が低く言う。


 


「ロキの力だろう」


 


「神界の空に城を浮かべている時点で普通ではない」


 


 彩葉は静かに城を見つめていた。


 


 遠くに見えていた天空城は、今や目の前に迫っている。


 


 黒い塔。


 鋭い尖塔。


 巨大な門。


 


 まるで世界そのものを威圧するかのような城だった。


 


 だが――


 


 その城へと続く道の途中で、


 空間が突然揺れた。


 


 ゴゴゴゴゴ……


 


 雲が大きくうねる。


 


 次の瞬間――


 


 巨大な影が雲の中から姿を現した。


 


 声が響く。


 


「しゅるるるるるるる……」


 


 雲の海が裂ける。


 


 巨大な鱗。


 山のような胴体。


 黄金の瞳。


 


 そして――


 天を裂くほどの咆哮。


 


「シャァァァァァァァァァァア!!!!」


 


 衝撃波が空を震わせた。


 


 レナが叫ぶ。


 


「なにあれ!?」


 


 アテナが鋭く言う。


 


「気をつけて!」


 


「あれがヨルムンガンドだよ!」


 


 世界蛇。


 


 神話に語られる、世界を取り巻く大蛇。


 


 その巨体は、雲海の中をうねりながら現れていた。


 


 全長は山脈のように長く、


 鱗は黒い金属のように輝き、


 口からは紫色の毒霧が漏れている。


 


 ヨルムンガンドがゆっくりと首をもたげた。


 


「……シュルルルルル……」


 


 黄金の瞳が彩葉たちを見下ろす。


 


 明確な殺意。


 


 神をも殺す毒を持つ大蛇。


 


 その存在だけで空間が歪んでいた。


 


 クララが前へ出る。


 


 その手には神器ミョルニル。


 


 雷の光が静かに宿る。


 


 クララの瞳は揺れていなかった。


 


「あれが……」


 


 彼女はゆっくりと呟く。


 


「仇を討つよ」


 


「トール様……」


 


 その声には決意が宿っていた。


 


 ヨルムンガンドが大きく口を開く。


 


 紫の毒が噴き出す。


 


 ゴォォォォォ!!


 


 毒の霧が空を覆った。


 


 陽菜が叫ぶ。


 


「毒です!」


 


「触れないでください!」


 


 アテナが槍を構える。


 


「来るよ!!」


 


 ヨルムンガンドが一気に突進した。


 


 巨大な牙。


 山のような頭。


 


 その速度は信じられないほど速かった。


 


 彩葉が剣を抜く。


 


 キン――


 


 澄んだ音が空に響く。


 


 彩葉は叫んだ。


 


「みんな!」


 


「行くよ!」


 


 仲間たちが一斉に応える。


 


「うん!」


 


 戦闘が始まった。


 


 村正が最初に飛び出す。


 


「行くぞ!」


 


 彼の刀が神力を帯びる。


 


 ズバァッ!!


 


 鋭い斬撃がヨルムンガンドの鱗へ叩きつけられる。


 


 だが――


 


 キィィィン!!


 


 金属音。


 


 鱗はびくともしなかった。


 


 村正が驚く。


 


「硬い……!」


 


 次の瞬間、


 巨大な尾が振り下ろされる。


 


 ドォォォォン!!!


 


 空間が爆発した。


 


 (エイ)が素早く彩葉を引き寄せる。


 


「危ない!」


 


 爆風が雲を吹き飛ばす。


 


 (くろ)が笑う。


 


「ははっ!」


 


「でけぇなぁ!」


 


 ユキが冷静に言う。


 


「……でも」


 


「倒せない相手じゃない」


 


 ベアトリスが剣を構える。


 


「弱点はあるはず」


 


 メデューサの瞳が光る。


 


「動きは読める……」


 


 (しおり)が杖を掲げた。


 


「援護するのじゃ!」


 


 魔法陣が空に広がる。


 


 リリア=エジソンが興奮する。


 


「すごい!」


 


「神話生物だよ!」


 


 マイが真剣に観察する。


 


「音……巨大……」


 


「振動が強い……」


 


 ラキシアが笑う。


 


「あは♡」


 


「面白いじゃない♡」


 


 フェトゥが呟く。


 


「……邪悪な気配」


 


 アビが拳を握る。


 


「負けないなの!」


 


 花火(はなび)が叫ぶ。


 


「行くよーーー!!」


 


 戦いは激しく続いた。


 


 ヨルムンガンドは圧倒的だった。


 


 毒。


 牙。


 巨体。


 


 だが――


 


 彩葉たちは退かなかった。


 


 そして。


 


 クララが前へ進む。


 


 ミョルニルが雷を放つ。


 


 バチバチバチッ!!


 


 空が光った。


 


 クララが叫ぶ。


 


「ヨルムンガンド!」


 


「あなたを倒す!」


 


 雷が轟く。


 


 その隙に彩葉が言う。


 


「みんな!」


 


「城門まで行こう!」


 


 アテナが頷く。


 


「そうだね!」


 


「ここは突破するよ!」


 


 仲間たちが一斉に動く。


 


 ヨルムンガンドの攻撃を避けながら、


 天空城へ向かう。


 


 巨大な城門が見えてきた。


 


 高さ数百メートルの黒い門。


 


 邪悪な紋章が刻まれている。


 


 そしてその前に――


 


 ヨルムンガンドが再び立ちはだかった。


 


 黄金の瞳が光る。


 


「シュルルルルル……」


 


 城門の前。


 


 世界蛇がとぐろを巻いた。


 


 ここが――


 最初の関門だった。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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