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アルケオン  作者: れんP
神界編

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176/182

天空城への進軍 ― 欺瞞の神の城

この世界には、人の目に見える“異質な存在”がいる。

それは神話でも、空想でもない。

人の想いに触れ、時に人を守り、時に人を遠ざける――

**守護者アルケオン**と呼ばれる存在だ。


彼らは人と同じ姿をしていながら、人ではない。

意思を持ち、感情を抱き、使命を背負って生きている。

だが、生まれた瞬間から強いわけではない。

迷い、怯え、悩みながら、自分の存在理由を探していく。


これは、

忘れられた物から生まれた、ひとりの守護者が

初めて世界と向き合い、

初めて誰かと並んで歩き出す物語。


戦うことだけが、守ることではない。

それでも――

守りたいと願った瞬間から、物語は始まる。

 神界の首都ユグドラシル。


 オリュンポス神殿での会議を終えた彩葉たちは、すぐに出発の準備を整えていた。


 目的地はただ一つ。


 神界とヴァルハラを結ぶ道の上空に浮かぶ――


 ロキの居城。


 天空城。


 


 神殿の外では、天使たちが巨大な飛行装置を準備していた。


 白銀の翼のような形をした神界の戦艦。


 神力によって浮遊するそれは、雲海の上を滑るように進む乗り物だった。


 


 アテナが元気よく振り返る。


 


「よ~し!みんな準備いい?」


 


 彩葉(いろは)は深く息を吸った。


 


「はい」


 


「行きましょう」


 


 その声には迷いがなかった。


 


 全員が乗り込み、飛行装置がゆっくりと浮上する。


 


 ゴォォォォ……


 


 神力の風が吹き上がり、装置は雲の上へと昇っていく。


 


 神界の空は澄みきっていた。


 白い雲の海。


 遠くには虹色の光の柱が立ち、神々の都市が点在している。


 


 しかし、その先――


 


 黒い雲の塊が見えた。


 


 アテナが前方を指さす。


 


「見えた!」


 


「あれがそうだよ!」


 


 彩葉は前を見る。


 


 そこには――


 


 巨大な城が浮かんでいた。


 


 黒い石で作られた要塞。


 雲を突き破る無数の塔。


 雷のようなエネルギーが周囲を巡っている。


 


 まるで神界に突き刺さる異物だった。


 


 彩葉が静かに言う。


 


「あそこに……」


 


「行きましょう」


 


 花火(はなび)が元気よく拳を上げた。


 


「おー!」


 


 (リー)芳乃(よしの)が頷く。


 


「うむ」


 


「気を引き締めていこう」


 


 村正(むらまさ)が腕を組む。


 


「あぁ」


 


「そうだな」


 


 陽菜(ひな)が皆を見る。


 


「皆さん」


 


「慢心はしないように」


 


 (くろ)が牙を見せて笑う。


 


「わかってるぜぇ!」


 


「敵は強大だからな!」


 


 (エイ)が小さく拳を握る。


 


「うん!」


 


「……頑張る」


 


 アビが胸を張る。


 


「任せてなの」


 


 メデューサが真剣な表情で言う。


 


「誰も欠けないように」


 


 ユキが静かに頷いた。


 


「……ん」


 


「もちろん」


 


 ベアトリスが武器を確認する。


 


「準備はできてる」


 


 ココア=モカ=コフィアが優雅に微笑む。


 


「えぇ」


 


「そうですわね」


 


 フェトゥ=ハーネアネアが呟く。


 


「……決戦が近い」


 


 ラキシアが楽しそうに笑った。


 


「あは♡」


 


「そうでなきゃ本気で行けないよね♡」


 


 レナが大きく頷く。


 


「うん!」


 


 マミがバスケットボールを軽く弾く。


 


 ポン……ポン……


 


「……空気は十分入ってる」


 


「だから」


 


「必ず倒す」


 


 フェルルが応援する。


 


「がんばるんだ」


 


 (しおり)が杖を握る。


 


「うむ」


 


「後方支援も攻撃も任せるのじゃ」


 


 リリア=エジソンが苦笑する。


 


「でも」


 


「やっぱり緊張するね」


 


 マイが真剣な表情で言う。


 


「はい……」


 


「でも、やらないといけません」


 


 彩葉は皆を見た。


 


 仲間たち。


 共に戦ってきた仲間。


 


 そして――


 


 クララが城を睨みつけていた。


 


「あそこに……」


 


「宿敵が……」


 


 その手には神器ミョルニル。


 雷の力が静かに宿っている。


 


 アテナが明るく声を上げた。


 


「よ~し!」


 


「みんなで頑張ろう!」


 


 皆は力強く頷く。


 


 天空城はどんどん近づいてくる。


 


 黒い雲。


 不気味な雷。


 巨大な門。


 


 そこには――


 


 巨大な影がうごめいていた。


 


 長く、巨大な体。


 雲の中でとぐろを巻く大蛇。


 


 ヨルムンガンド。


 


 決戦はもう目の前だった。


 


 


 ――同時刻。


 


 天空城。


 


 玉座の間。


 


 巨大な黒い玉座に、一人の神が座っていた。


 


 長い黒髪。


 細い目。


 楽しそうな笑み。


 


 欺瞞の神。


 


 ロキ。


 


 ロキはワイングラスを回しながら笑う。


 


「フッフッフッ……」


 


 不気味な笑い。


 


「そろそろ」


 


「ゼウスの神殿に向かわせた部隊が動き出す頃か?」


 


 ロキの目が細くなる。


 


「神界も」


 


「少しは慌てるだろう」


 


 そして――


 


 窓の外を見た。


 


 遠くから近づく一隻の飛行装置。


 


 ロキはゆっくりと立ち上がる。


 


 楽しそうに笑いながら。


 


「……ほう?」


 


「来たか」


 


 その瞳が妖しく光る。


 


「英雄」


 


 ロキはくすくす笑う。


 


「ふふふっ」


 


「楽しませてくれよ」


 


 天空城の上空。


 


 決戦が――


 


 始まろうとしていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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