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アルケオン  作者: れんP
北米編

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大自然・夜桜乱舞

この世界には、人の目に見える“異質な存在”がいる。

それは神話でも、空想でもない。

人の想いに触れ、時に人を守り、時に人を遠ざける――

**守護者アルケオン**と呼ばれる存在だ。


彼らは人と同じ姿をしていながら、人ではない。

意思を持ち、感情を抱き、使命を背負って生きている。

だが、生まれた瞬間から強いわけではない。

迷い、怯え、悩みながら、自分の存在理由を探していく。


これは、

忘れられた物から生まれた、ひとりの守護者が

初めて世界と向き合い、

初めて誰かと並んで歩き出す物語。


戦うことだけが、守ることではない。

それでも――

守りたいと願った瞬間から、物語は始まる。

 楓の大樹の下。


 世界中の守護者が集う円卓の広場は、すでに戦場となっていた。


 断界同盟の兵はほとんどが倒れ、地面には黒い煙のような残骸が散っている。


 だが――


 まだ終わっていない。


 


 楓の木の前。


 その中心に立つのは三つの影。


 


 日本の守護者、サクラ。


 英雄、バッグの守護者 彩葉(いろは)


 そして――


 


 断界同盟幹部《赤眼の漆黒獣》。


 


 モスマン。


 


 巨大な翼を広げ、黒い瘴気をまとっている。


 


 赤い目がぎらりと光った。


 


 サクラが静かに一歩前に出る。


 


「それじゃあ、始めようか....」


 


 そう言って腰の刀を抜いた。


 


 スッ――


 


 美しい音。


 


 桜色の光を帯びた刀身が現れる。


 


 モスマンの目が大きく開かれた。


 


「何だ!?その刀は!」


 


 サクラは軽く笑った。


 


「これ?」


 


 刀をくるりと回す。


 


「伝説の刀鍛冶が打った六本ある刀の一つ」


 


 桜色の光が空間に舞う。


 


「桜神刀」


 


 空気が震えた。


 


 ただ刀を持っているだけで周囲の空気が変わる。


 


 まるで――


 


 春が訪れたかのように。


 


 彩葉がその隣に立つ。


 


「私も戦います」


 


 モスマンは低く笑った。


 


「ククク……」


 


「いいだろう」


 


 翼が大きく広がる。


 


 黒い風が吹き荒れた。


 


「英雄と日本の守護者」


 


「まとめて潰してやる」


 


 次の瞬間。


 


 モスマンが消えた。


 


 ――速い。


 


 彩葉が反応する。


 


「右!」


 


 ドォン!!!


 


 黒い衝撃波が地面を砕く。


 


 だが。


 


 そこにはもう二人はいない。


 


 サクラが空中で回転する。


 


「風」


 


 刀を振るう。


 


 ヒュンッ!!


 


 真空の刃。


 


 空気の斬撃がモスマンへ向かう。


 


 モスマンが翼で弾く。


 


 ズガン!!


 


 だが衝撃は止まらない。


 


 その隙に彩葉が飛び込む。


 


「はあああ!」


 


 鋭い斬撃。


 


 モスマンの腕を切り裂く。


 


 黒い血が飛び散った。


 


 モスマンが怒号を上げる。


 


「小娘がァ!!」


 


 巨大な爪が振り下ろされる。


 


 ドォォォン!!


 


 地面が爆発する。


 


 しかし。


 


 サクラが刀を構える。


 


「雷」


 


 バチッ!!!


 


 空から雷が落ちる。


 


 モスマンに直撃。


 


 轟音が響いた。


 


 煙が上がる。


 


 しかし。


 


 モスマンはまだ立っていた。


 


「その程度か!」


 


 翼が振られる。


 


 黒い衝撃波。


 


 森が吹き飛ぶ。


 


 彩葉が跳ぶ。


 


「まだです!」


 


 連続斬撃。


 


 キィン!!


 


 キィン!!


 


 キィン!!


 


 モスマンの爪と剣がぶつかる。


 


 火花が散る。


 


 激しい攻防。


 


 その時。


 


 サクラが静かに呟いた。


 


「雨」


 


 空が曇る。


 


 そして。


 


 ザーッ――


 


 雨が降り始めた。


 


 普通の雨ではない。


 


 水の力が宿った雨。


 


 モスマンの動きがわずかに鈍る。


 


 サクラが刀を振る。


 


「氷」


 


 雨粒が凍る。


 


 無数の氷の刃となり降り注ぐ。


 


 モスマンが翼で防ぐ。


 


 だが。


 


 その隙を彩葉は見逃さない。


 


「今!」


 


 高速の一撃。


 


 ザンッ!!


 


 モスマンの胸が裂ける。


 


 黒い血が噴き出す。


 


 モスマンが後退した。


 


 怒りの咆哮。


 


「調子に乗るなァァァ!!」


 


 黒い力が爆発する。


 


 地面が崩れる。


 


 楓の大樹すら揺れるほどの力。


 


 だが。


 


 サクラは静かだった。


 


 刀を構える。


 


「そろそろ終わりにしよう」


 


 桜神刀が輝く。


 


 そして。


 


 周囲の空気が変わる。


 


 風が吹く。


 


 桜の花びらが舞う。


 


 どこからともなく。


 


 無数の桜が現れた。


 


 モスマンが警戒する。


 


「何だこれは……」


 


 サクラがゆっくり言う。


 


「私の必殺技」


 


 刀を天に掲げる。


 


 大地が震える。


 


 海の音。


 


 山の風。


 


 森の息吹。


 


 日本列島の自然すべてが集まる。


 


 そして。


 


 サクラが叫んだ。


 


 


「大自然」


 


 


 桜吹雪が爆発する。


 


 


「夜桜乱舞」


 


 


 空に無数の光が現れる。


 


 四十七の光。


 


 それぞれが自然の力。


 


 


「47都道府県」


 


 


 次の瞬間。


 


 桜の刃が嵐のように降り注いだ。


 


 風。


 


 雷。


 


 氷。


 


 火山。


 


 津波。


 


 嵐。


 


 地震。


 


 自然のすべて。


 


 それが桜の刃となりモスマンへ襲いかかる。


 


 モスマンが叫ぶ。


 


「バカなああああああ!!」


 


 逃げ場はない。


 


 桜の嵐が飲み込む。


 


 


 ズガァァァァァァァァァン!!!!!!


 


 


 巨大な爆発。


 


 楓の空間が白く染まる。


 


 そして。


 


 静寂が訪れた。


 


 桜の花びらがゆっくりと舞う。


 


 その中心で。


 


 モスマンの体は――


 


 完全に消滅していた。


 


 サクラが刀を鞘に収める。


 


 カチン。


 


 静かな音が響いた。


 


 彩葉が息をつく。


 


「終わった……」


 


 楓の大樹の下。


 


 桜の花びらが静かに降り続いていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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