世界守護者会議、開幕
この世界には、人の目に見える“異質な存在”がいる。
それは神話でも、空想でもない。
人の想いに触れ、時に人を守り、時に人を遠ざける――
**守護者**と呼ばれる存在だ。
彼らは人と同じ姿をしていながら、人ではない。
意思を持ち、感情を抱き、使命を背負って生きている。
だが、生まれた瞬間から強いわけではない。
迷い、怯え、悩みながら、自分の存在理由を探していく。
これは、
忘れられた物から生まれた、ひとりの守護者が
初めて世界と向き合い、
初めて誰かと並んで歩き出す物語。
戦うことだけが、守ることではない。
それでも――
守りたいと願った瞬間から、物語は始まる。
彩葉たちはメープルの国「カナダ」のサトウカエデが作った特殊空間に来ていた。
彩葉の仲間たちは、守護者たちの放つ膨大な気配に押し潰されないよう、少し離れた場所で巨大端末を使い会議を見守っている。
そして彩葉は――
楓の大樹の下にある円卓で、世界中の守護者たちと共に座っていた。
――カナダ南端。
吹き荒れる風の中。
黒い影が崖の上に立っていた。
モスマンだった。
赤い眼が不気味に光る。
「みつけたぞ……」
目の前の空間がわずかに歪んでいる。
それは守護者だけが作れる特殊空間への入口。
モスマンはニヤリと笑った。
「特殊空間への入口……」
翼を広げる。
「さぁ!」
「待っていろ!!!」
――カナダ 特殊空間。
楓の木の円卓。
新たな気配が近づく。
「こんにちは、彩葉」
彩葉が振り向く。
そこには大きな翼を持つ女性がいた。
その横で別の女性が手を上げる。
「よ!」
「こんにちは!」
彩葉は少し考える。
「えっと……?」
女性が名乗る。
「『コーファイ』」
「ニュージーランドの守護者だ、よろしく」
「はい!」
サトウカエデが微笑む。
「そろってきましたね」
コーファイが顎で後ろを示す。
「あぁ、サクラたちなら後ろだ」
その時――
「お〜い!」
元気な声が響いた。
ムクゲが振り向く。
「っ! サクラ!」
ムクゲが勢いよく駆け寄る。
そして――
ぎゅっ。
「わぁ!?」
サクラが驚く。
「もう〜、甘えん坊なんだから」
その様子を見てルーが怒る。
「ムクゲ!」
「お姉様に馴れ馴れしいですよ!」
ムクゲが頬を膨らませる。
「むぅ~」
「ルーの者じゃないよ」
「みんなのもの」
ルーが絶叫する。
「にゃぁーーーーー!!」
「離れろー!!!」
ヤグルマギクが笑う。
「あいつらはいつまでたってもサクラ大好きだな!」
キングプロテアも笑う。
「ハハッ!そうだな!」
そこへ――
背中に四門のミサイル発射機を背負った小柄な少女が腕を組む。
「まったく、そうですよ」
その隣に立つ凛々しい女性が穏やかに言う。
「まぁ、それも楽しいものだ」
さらに騎士のような少女がため息をつく。
「ローズ?甘やかしすぎです」
女性が軽く笑った。
「そうか?」
そして彩葉を見る。
「あぁ、新入りがいるようだね」
「英雄だったかな?」
「私は『ローズ』」
「アメリカ合衆国の守護者だ」
少し間を置き、肩をすくめる。
「……『元』だけどね」
続いて騎士の少女が一歩前に出た。
「メキシコの守護者」
「『ダリア』……よろしく」
次に静かな女性が言う。
「『オオヤマレンゲ』です」
「北朝鮮の守護者です」
そして艶やかな女性が笑う。
「中国の守護者『牡丹』ネ」
「よろしくお願いするヨ」
最後に元気な少女が手を上げた。
「えっと、はじめましてだよね?」
「私は『サクラ』!」
「日本の守護者だよ〜!」
「はい!」
彩葉は深く頷いた。
アカンサスが周囲を見回す。
「そろった?」
ラーレが肩をすくめる。
「さぁ?」
「なにせ多いからな」
ビアンカ=ヒナギクが言う。
「多分そろった」
ヤグルマギクも頷く。
「私もそう思うぜ」
オレンジリリーが困った顔をする。
「えぇ〜適当……」
エーデルワイスが淡々と言う。
「まぁ、会議自体が適当なところもある」
シャプラが少し困る。
「そうですが……」
ロータスが笑う。
「直球だね〜」
イトシャジンが元気に言う。
「そうですね!」
ムトゥリヴが冷静に言う。
「まぁ、集まらなくても会議は進むし」
「問題はないと思うけど」
ロゼ・シュジャーが苦笑する。
「そ、そうだね……」
カラーが指を立てる。
「ダメよ〜?」
「そろわないと」
キングプロテアが腕を組む。
「ま、そうだな」
スイレンが言う。
「そろっていなくても話し合いをすればいい」
イペーが笑う。
「あははっ!そうだね!」
カモミールがぼそりと言う。
「軍隊だったらそろわないとな」
牡丹が頷く。
「まぁ、そうネ」
「そろわないと協調性がないと思われるネ」
ロゼッタが元気に言う。
「そうデスね!」
ロサが静かに言う。
「…………そう思う」
カトレア・トリアナエも頷く。
「うん!」
ルーがサクラに聞く。
「……お姉様、どうします?」
ムクゲが胸を張る。
「私がいるので大丈夫ですよ!」
サクラが慌てて手を振る。
「まぁ、まぁ」
マツリカがのんびり言う。
「まぁ、いなかったらぁ〜」
「気長にぃ待てぇばぁいいぃよぉ〜?」
オオヤマレンゲがため息をつく。
「あなたはもう少し危機感を……」
コーファイが笑う。
「まぁ、いいんじゃない?」
アケイシャも頷く。
「そうですね」
「自由はいいですね」
ダリアが隣を見る。
「……ローズ?」
ローズが腕を組んでいた。
「あぁ」
「数えてたんだ」
サトウカエデが頷く。
「えぇ」
「ぴったりですね」
そして微笑む。
「では、会議を始めます」
「指揮権を返しますね、サクラ」
サクラが立ち上がる。
「うん!」
「任せて!」
そして元気よく言った。
「それじゃあ!」
「始めるよ!」
――その瞬間。
特殊空間の空が。
バキンッ!!
と音を立てて割れた。
黒い影が降り立つ。
赤い眼が光る。
「ハハハハッ!!!」
モスマンだった。
「守護者どもよ!!」
「今度こそ駆逐してやる!!!」
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




