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アルケオン  作者: れんP
北米編

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166/182

楓の大樹に集う守護者たち

この世界には、人の目に見える“異質な存在”がいる。

それは神話でも、空想でもない。

人の想いに触れ、時に人を守り、時に人を遠ざける――

**守護者アルケオン**と呼ばれる存在だ。


彼らは人と同じ姿をしていながら、人ではない。

意思を持ち、感情を抱き、使命を背負って生きている。

だが、生まれた瞬間から強いわけではない。

迷い、怯え、悩みながら、自分の存在理由を探していく。


これは、

忘れられた物から生まれた、ひとりの守護者が

初めて世界と向き合い、

初めて誰かと並んで歩き出す物語。


戦うことだけが、守ることではない。

それでも――

守りたいと願った瞬間から、物語は始まる。

 彩葉(いろは)たちはメープルの国「カナダ」の特殊空間に来ていた。


 彩葉の仲間たちは守護者たちの圧倒的なオーラに潰されないよう、離れた場所から巨大端末で会議を見守ることになった。


 そして彩葉は――


 会議場所に集まった守護者たちと共に、他の守護者の到着を待っていた。


 


 巨大な楓の木の下。

 円卓の前で、彩葉は少し落ち着かない様子で立っている。


 


「……」


 


 ラーレがそれに気づき、笑った。


 


「何だ? 緊張してるのか?」


 


「はい……」


 


 彩葉は正直に頷く。


 


 ラーレは豪快に笑った。


 


「ハハハッ! 緊張するこたぁねぇよ!」


「気楽に行けばいい」


 


 アカンサスも静かに続ける。


 


「ラーレの言うとおり。あまり気にしなくていい」


「会議と言っても、ただのお茶会おままごと」


 


「話すことなんて、いつも近況報告とただのおしゃべり」


 


「そ、そうなんですか?」


 


 彩葉は少し驚く。


 


 マツリカがふわっと笑う。


 


「そぉだぁよぉ〜」


「ねててもいいんだぁよぉ〜」


 


 その時――


 


「おや、ヨーロッパ組はそろいましたか」


 


 サトウカエデが視線を向ける。


 


 そこに数人の守護者が歩いてきた。


 


「イギリスの守護者『ロゼッタ』! 到着デース!」


 


 ロゼッタが元気よく手を振る。


 


「……おぉ! 彩葉デース!」


「お久しぶりデース!」


 


「うん! 久しぶり!」


 


 その隣で、ビアンカ=ヒナギクが穏やかに微笑む。


 


「うん、イタリアを出てから……いつぶりだろう」


「少し成長したんじゃない?」


 


「そ、そうかな?」


 


「あぁ! そうだぜ」


 


 ヤグルマギクが元気よく言う。


 


「前より強くなってる」


 


 オレンジリリーが少し俯きながら言う。


 


「はい……うらやましい……です」


「私はあまり強くなれなくて……」


 


 エーデルワイスが優しく言う。


 


「オレンジリリーは良く頑張ってる方だから、大丈夫」


「少しずつやればいい」


 


「はい!」


 


 その時――


 


「わぁ〜! わぁ〜!」


 


 小柄な少女が目を輝かせながら駆け寄ってきた。


 


「英雄です! 英雄です!」


 


 ヤグルマギクが苦笑する。


 


「あぁ、紹介しよう」


 


「こいつはスウェーデンの守護者『イトシャジン』だ」


 


「こんにちは! 英雄!」


 


「うん! こんにちは!」


 


 サトウカエデが説明する。


 


「イトシャジンはいろんな国で不発弾を処理してるのよ」


 


「そうなんだ」


 


 イトシャジンが嬉しそうに言う。


 


「はい! 火薬は美味しいので!」


 


 彩葉は少し驚いた。


 


「そうなんだ……口とかにくっついちゃわない?」


 


「ううん! 大丈夫だよ!」


「水で流すから!」


 


「そうなんだ」


 


 ムクゲが空を見上げる。


 


「……遅いですね」


 


 ヤグルマギクが腕を組む。


 


「後処理とかしてんじゃないか?」


 


 サトウカエデが穏やかに答える。


 


「まぁ、サクラが会議場所に集合と言ったので」


「何もないと思いますよ」


 


 その時。


 


「サクラたちならもうすぐ戻ってくると思いますよ」


 


 白いスイレンを頭に乗せた少女が言った。


 


「……おや?」


 


「英雄、こんにちは」


 


「シャプラ〜」


 


 後ろからゆったりした声がする。


 


「もうちょっとゆっくり〜」


 


「お姉ちゃんも少しシャキッと!」


 


 サトウカエデが彩葉に説明する。


 


「あの子はインドの守護者『ロータス』の妹」


 


「バングラデシュの守護者『シャプラ』よ」


 


「はい、私はシャプラです」


 


「久しぶり〜彩葉〜」


 


「うん、ロータス」


 


 彩葉は周囲を見回す。


 


「……なかなか増えてきましたね」


 


 サトウカエデがくすっと笑う。


 


「もっと増えるわよ〜?」


 


 すると――


 


「あ! 彩葉だー!」


 


「久しぶりですね」


 


「私は少ししか話してませんが……久しぶりですね」


 


「まぁ、お久しぶり」


 


 ロゼ・シュジャー、ムトゥリヴ、スイレン、カラーがやってくる。


 


 彩葉はカラーを見て思う。


 


(あいかわらずすっごく綺麗な人)


 


 その時。


 


 低く力強い声が響いた。


 


「お前が英雄か!」


 


 振り向くと――


 


 ライオンのようなマフラーを巻いた女性が立っていた。


 


「たしかに強そうだ」


 


 カラーが呆れたように言う。


 


「キング? いきなり失礼ですよ?」


 


 女性は豪快に笑った。


 


「ハハハッ! すまねぇな!」


 


「俺は『キングプロテア』!」


 


「南アフリカの守護者だ!」


 


「こんにちは」


 


「あぁ!」


 


 次々と集まる世界の守護者。


 楓の大樹の下は、すでにかなり賑やかになっていた。


 


 サトウカエデが軽く手を叩く。


 


「……もう時間がかかりそうなので」


 


「少しお話をしましょう?」


 


「臨時で私が指揮を取りますので」


 


 ムクゲも頷く。


 


「うん、このまま立ち話もなんだし」


 


 守護者たちは円卓の席へ向かい始めた。


 


 そして――


 


 世界守護者会議が、静かに始まろうとしていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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