表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルケオン  作者: れんP
北米編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

159/182

無差別プレスの跡地 ― 空白の大地

この世界には、人の目に見える“異質な存在”がいる。

それは神話でも、空想でもない。

人の想いに触れ、時に人を守り、時に人を遠ざける――

**守護者アルケオン**と呼ばれる存在だ。


彼らは人と同じ姿をしていながら、人ではない。

意思を持ち、感情を抱き、使命を背負って生きている。

だが、生まれた瞬間から強いわけではない。

迷い、怯え、悩みながら、自分の存在理由を探していく。


これは、

忘れられた物から生まれた、ひとりの守護者が

初めて世界と向き合い、

初めて誰かと並んで歩き出す物語。


戦うことだけが、守ることではない。

それでも――

守りたいと願った瞬間から、物語は始まる。

 “監視領域”の夜が明ける。


 チャイルド・テイカーを救った後、彩葉たちは静かな朝を迎えていた。


 空は澄み渡り、荒廃した大地に朝日が差し込む。


「……行こう」


 彩葉(いろは)の一言で、再び北へと歩き出す。


 


 しばらく進むと、景色が変わった。


 崩れた建物すら見当たらない。


 ただ、広大な“さら地”。


 不自然なほど平坦な大地。


「このあたりは、さら地? 何もないけど」


 フェトゥ=ハーネアネアが首をかしげる。


「あぁ、ここは多分あれだな……ロサンゼルスとその周辺だろうな」


 村正(むらまさ)が遠くを見る。


「あぁ、無差別プレス……」


 陽菜(ひな)が小さく呟いた。


「?」


 レナが首を傾げる。


「なにか知ってるの?」


 彩葉が問う。


「あぁ、えっとな……ここはもともと都市があったんだ」


「そうは見えないなの」


 アビがきょろきょろと辺りを見回す。


「まぁ、そうだよな」


 村正は少し言葉を選ぶようにして続けた。


「マリアナ海溝って深海にな? そこに深海の守護者がいる」



「そいつは白亜紀以前から住んでいる守護者でな。元々は三葉虫の守護者だった」


「三葉虫……?」


 レナが目を丸くする。


「だが深海に潜ったことで、生き延びるために変質した。深海の守護者『シンカ』になってな」


 村正は淡々と語る。


「そのせいか常識がなくてな。それで第一次神怪世界大戦のとき、やっと地上に出てきた」


 空気が少し冷える。


「戦争を“縄張り争い”と勘違いしてな」


「……え」


 彩葉が固まる。


「圧力魔法で都市を生き物ごとプレスしてできたのが、ここだ」


 沈黙。


「え……それって」


 ユキが声を震わせる。


「人間ごと潰したってこと?」


 メデューサが問い返す。


「えぇ、そうです」


 陽菜(ひな)が静かに肯定する。


「跡形もなく潰されました。人間も動物も建物も、全てが」


 彩葉は足元を見る。


 何もない。


 ただ平らな地面。


「なにそれ怖い……」


「即死、ですか?」


 (エイ)が小さく言う。


「うむ、そうじゃな。一瞬だったからの」


 (しおり)が目を伏せる。


「……一瞬でぺちゃんこ……」


 マミがぽつり。


「怖い……」


 レナが小さく身を縮める。


「うん……」


 花火(はなび)も表情を曇らせる。


 


 村正は肩をすくめた。


「ま、今は時の大精霊に世間を教えてもらってるがな」


「そ、そうなんだ……」


 彩葉は少しだけ安堵する。


「無知純粋による攻撃か……厄介」


 (リー)芳乃(よしの)が呟く。


「そうですわね」


 ココア=モカ=コフィアも頷く。


「あは♡ でも、勝てたのはその子のおかげでもあるんでしょ? 鍛えれば更に強力な戦力になりそ♡」


 ラキシアが笑う。


「まぁ、味方ならな」


 村正が苦笑する。


「そうだな」


 (くろ)も頷いた。


 


 彩葉たちは、その後も歩きながら様々な話をした。


 戦争のこと。


 守護者のこと。


 この世界の理不尽さ。


 


 広大な更地は、どこまでも続いている。


 かつての大都市の跡。


 命が一瞬で消えた場所。


 


 その上を、今はただ風が吹き抜けていた。


 


 ――上空。


 


 遥か高みから、彼女たちを見下ろす影がある。


「……要注意」


 低い声。


 黒い影は、翼のような何かを広げ――


 音もなく飛び去った。


 


 彩葉たちは気づかない。


 


 監視領域は、まだ彼女たちを見ている。


 


 次なる視線が、すでに向けられていることを。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ