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アルケオン  作者: れんP
南米編

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147/182

供物喰らいし怪異 ― 神装解放の刻

この世界には、人の目に見える“異質な存在”がいる。

それは神話でも、空想でもない。

人の想いに触れ、時に人を守り、時に人を遠ざける――

**守護者アルケオン**と呼ばれる存在だ。


彼らは人と同じ姿をしていながら、人ではない。

意思を持ち、感情を抱き、使命を背負って生きている。

だが、生まれた瞬間から強いわけではない。

迷い、怯え、悩みながら、自分の存在理由を探していく。


これは、

忘れられた物から生まれた、ひとりの守護者が

初めて世界と向き合い、

初めて誰かと並んで歩き出す物語。


戦うことだけが、守ることではない。

それでも――

守りたいと願った瞬間から、物語は始まる。

 熱帯の国ブラジル――首都ブラジリア。


 近未来的な都市に降り立った彩葉たちは、すぐに異変を察した。


 


 静かすぎる。


 


 高層建築が並ぶ街。


 だが、歩く人間はいない。


 


 代わりに――


 


 カタ……カタカタ……


 


 死者。


 スケルトンが、街を彷徨っていた。


 


「……やっぱりここにもいるね」


 


 彩葉(いろは)が呟く。


 


「ふぇぇ……」


 


 マイが彩葉の後ろに隠れる。


 


「あは♡骨がいっぱい♡」


 


 ラキシアは楽しそうだ。


 


「……」


 


 レナは、そんな妹を横目で見た。


 


 その時。


 


「っ!」


 


 アンナが顔を上げる。


 


「……なにかいる!」


 


 


 空気が重くなる。


 


 


 緑色の、大きな影が建物の陰から現れた。


 


 細長い体。


 鋭い牙。


 赤黒い目。


 


「クックック……」


 


 低く、粘つく声。


 


「私の気配を感じ取ったか……」


 


 ゆっくりと、姿を現す。


 


「まぁいい……」


 


 牙を剥いた。


 


「貴様らの血を吸わせろ」


 


 


 (しおり)が目を細める。


 


「あれは……チュパカブラか?」


 


 


 アンナが即座に否定した。


 


「いえ」


 


「チュパカブラの突然変異」


 


 断言する。


 


「チュパウマノスです」


 


「おそらく……幹部」


 


 


 (リー)芳乃(よしの)が頷く。


 


「なるほど……あれが」


 


 


 怪異は笑った。


 


「あぁ、そうだ」


 


「私はチュパウマノス!」


 


「断界同盟幹部……」


 


 両腕を広げる。


 


「クックック……さぁ、英雄たちよ」


 


「他の幹部をほふってきたのだろう?」


 


 目が狂気に染まる。


 


「……その力を見せてくれぇ!!!」


 


「ブラッティクロー!!!」


 


 


 赤黒い爪撃が放たれる。


 


「硬質化・ストラップブレード!!!」


 


 彩葉が刃で受け止める。


 


「陽光・陽日輪!!!」


 


 村正(むらまさ)の光刃が重なる。


 


 


「ククククッ……」


 


 チュパウマノスは飛び上がり、空中で回避。


 


 


「ダークバインド!」


 


 (くろ)の影が伸びる。


 


 空中で拘束。


 


 


「アイアンテール!」


 


 アンナの鋼鉄化したパラボラアンテナの尾が、顎へ打ち上げる!


 


 


「ググッ!?ハガァッ!!?」


 


 


「神力……弾!」


 


 (エイ)の弾丸が直撃。


 


 


「ガガカハァッ!?……クソが!」


 


 体勢を立て直す。


 


「ブラッティマリオネットダンス!」


 


 


 赤黒い小型エネルギー弾が無数に放たれる。


 


 


「ふふっ」


 


 リリアが微笑む。


 


「吸音・アコースティック・デス・サイレント!!」


 


 


 爆音。


 


「グギャアアアアア!!??」


 


 


 煙が上がる。


 


 だが――


 


「……はぁ、はぁ、はぁ」


 


 笑う。


 


「ヘヘッ……耐えたぜぇ?」


 


 


「嘘!?」


 


 リリアが驚愕。


 


「アレを耐えるなんて……」


 


 マイも震える。


 


 


「クックック!」


 


「エンチャント・ブラッテクロー!!!」


 


 


 爪が強化される。


 


 


「合わせるよ!姉様!」


 


「うん!」


 


 レナとラキシアが同時に踏み込む。


 


「ニードルブレード!!!」


 


 


 二つの剣がぶつかり合い、火花が散る。


 


 


「ねずみ花火!」


 


 花火(はなび)の小爆発が連続で発生。


 


 


「な、何だこれは!?鬱陶しい!!!」


 


 だが集中は切れない。


 


 


「はわわ……近すぎて……あ、スネークちゃん!!」


 


 メデューサの髪が蛇に変じる。


 


 ガブリ。


 


 チュパウマノスの片腕が石化。


 


 


「な!?」


 


 


「押し切れる!」


 


 ラキシアが叫ぶ。


 


 だが――


 


「貴様!」


 


 チュパウマノスが睨む。


 


「裏切ってそちらにつくか!」


 


 狂気の笑み。


 


「まぁいい!」


 


「勝てばいいだけだ!!」


 


 


 その時。


 


 陽菜(ひな)は屋上にいた。


 


 火縄銃を構える。


 


「……大丈夫」


 


「狙撃は初めてじゃない」


 


 深呼吸。


 


「風速、距離……その他もろもろ、良し……」


 


 


「霊峰弾・フジノミコト!」


 


 


 パァァン!!!


 


 

「!」


 


 チュパウマノスが横にそれるが。


 


「な!?」


 


 チュパウマノスが目を見開く。


 


「あ、足が!!


 「ク、クククッ」


「どうした?」


「切り札はおしまいか?」

 


 


「……まだあるよ」


 


 


 彩葉が、静かに前へ出た。


 


「……お主……」


 


 栞が息を呑む。


 


「え!また見せてくれるの!」


 


 花火が目を輝かせる。


 


 


「な、なんだこの気配は!」


 


 チュパウマノスが後退する。


 


 


「……神装……解放!!!」


 


 


 彩葉の身体が、神々しい輝きに包まれる。


 


 白銀の光。


 背後に広がる記憶の紋章。


 


 


「……終わらせるよ……」


 


 


「綺麗……」


 


 ベアトリスが呟く。


 


「えぇ、そうですわ……」


 


 ココアも見惚れる。


 


 


「……メモリア・アーカイヴ!!!」


 


 


 空間が震える。


 


 チュパウマノスの頭から、光が引き抜かれる。


 


「な!?何だ!!」


 


「グ、グググッ……ああぁ!!」


 


 


 光は、彩葉のショルダーバッグへ吸い込まれていく。


 


 


「……ぁ……ぁ……」


 


 膝をつく怪異。


 


 


「チュパウマノスの相手の記憶・能力・権能の全てを封印しました!」


 


「今です!」


 


 


「うん……トリニティスラッシュ!」


 


 ベアトリスの三連撃。


 


「アサシン・ブレンドスラッシュ!ですわ!」


 


 ココアの斬撃が重なる。


 


 


「!?!?!?!?」


 


 


 静かに。


 


 チュパウマノスは崩れ。


 


 灰となり。


 


 風に消えた。


 


 


「……ふぅ……」


 


 彩葉は元の姿へ戻る。


 


 


「彩葉!今のは?」


 


 陽菜が屋上から降りてくる。


 


「えっと……」


 


 少し照れながら。


 


「頭に浮かんだものを試してみました……」


 


 


 陽菜は微笑む。


 


「そうか」


 


「良い技だね」


 


 


「ありがとう!」


 


 


 アンナが小さく頷いた。


 


「……ん……」


 


「これでブラジルは救われる……」


 


 


 だが。


 


 


 その裏で。


 


 


 ――メキシコ・メキシコシティ。


 


 


 メルヘンな服装の少女が立っていた。


 


「ここ、ですか?」


 


 


 その隣には、半透明の少女。


 


「えぇ……」


 


「このあたりで依頼人のお手伝いです……」


 


 


「ハーメルン?聞いていますか?」


 


 


「うん!」


 


 ハーメルンと呼ばれた少女が笑う。


 


「聞いてるよ〜」


 


 


 半透明の少女は小さくため息をつく。


 


「はぁ……まぁ良いでしょう」


 


 


 そして。


 


 静かに告げた。


 


「行きますよ――」


 


 


「ミクトランへ」


 


 


 新たな地で。


 


 新たな物語が、動き出そうとしていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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