表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルケオン  作者: れんP
南米編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

146/182

供物を喰らう影 ― 首都ブラジリアへ

この世界には、人の目に見える“異質な存在”がいる。

それは神話でも、空想でもない。

人の想いに触れ、時に人を守り、時に人を遠ざける――

**守護者アルケオン**と呼ばれる存在だ。


彼らは人と同じ姿をしていながら、人ではない。

意思を持ち、感情を抱き、使命を背負って生きている。

だが、生まれた瞬間から強いわけではない。

迷い、怯え、悩みながら、自分の存在理由を探していく。


これは、

忘れられた物から生まれた、ひとりの守護者が

初めて世界と向き合い、

初めて誰かと並んで歩き出す物語。


戦うことだけが、守ることではない。

それでも――

守りたいと願った瞬間から、物語は始まる。

 熱帯の国ブラジル――沿岸都市サルバドール。


 守護者の休憩所の前で、ひとりの女性が深く頭を下げていた。


 


「……本当に……ありがとうございました……」


 


 ロビソンとして理性を失っていた女性。


 だが今は、完全に人間としての意識を取り戻している。


 


 アンナが刻んだ刻印は、暴走を完全に抑え込み、彼女の存在を安定させていた。


 


「もう、大丈夫?」


 


 彩葉(いろは)が優しく尋ねる。


 


「はい……少し体は重いですが……自分で帰れます」


 


 女性はそう言って、胸に手を当てた。


 


「……皆さんがいなければ……私は……」


 


 言葉を詰まらせる。


 


 レナが微笑んだ。


 


「大丈夫だよ」


 


「もう安全だから」


 


 女性は涙を拭き、もう一度深く頭を下げた。


 


「ありがとうございました」


 


 そして――


 


 静かに歩き出し、街の奥へと消えていった。


 


 


 その背中を見送りながら。


 


 彩葉は、決意を込めて言った。


 


「……次は」


 


「やっぱり断界同盟の幹部――チュパウマノスを探さないと」


 


 


「あは♡」


 


 


 軽い笑い声。


 


 ラキシアだった。


 


「だったら」


 


「首都『ブラジリア』にいると思うよ♡」


 


 


「!」


 


 全員の視線が向く。


 


 レナが尋ねた。


 


「どういうこと?」


 


 


 ラキシアは、指を唇に当てながら言った。


 


「あの人ね」


 


「ブラジリアで行動してるって」


 


「ロキって人が言ってた気がするの♡」


 


 


 陽菜(ひな)が腕を組む。


 


「なるほど……」


 


「ロキの行動拠点の一つ、ということか」


 


 


 村正(むらまさ)が頷く。


 


「なら」


 


「行くべき場所は決まりだな」


 


 


「うん!」


 


 彩葉が強く頷いた。


 


「ブラジリアに行こう!」


 


 


 全員の意思は、一つだった。


 


 


 しばらく歩き。


 


 街の外れに設置された守護者の転移装置へと到着する。


 


 白い円形の台座。


 複雑な紋様が刻まれ、淡く光を放っている。


 


 (リー)芳乃(よしの)が装置を確認した。


 


「……うむ」


 


「壊れておらぬな」


 


 


 アンナが前に出る。


 


 装置の中央に手をかざす。


 


 空間に、音の波紋のようなものが広がった。


 


「……座標セット完了」


 


 


 彩葉が、みんなを見た。


 


 仲間たち。


 


 そして――ラキシア。


 


 


「……行こう!」


 


 


 全員が、静かに頷いた。


 


 


 次の瞬間。


 


 転移装置が輝きを増す。


 


 空間が歪み。


 


 光が、全員を包み込んだ。


 


 


 ――転移。


 


 


 そして。


 


 


 熱帯の国ブラジル。


 


 首都――ブラジリア。


 


 


 近未来的な建築物が並ぶ都市。


 


 広大な人工都市。


 


 だが――


 


 その地下深く。


 


 人の目の届かぬ場所に。


 


 


 それは、いた。


 


 


 緑色の大きな影。


 


 異様な存在。


 


 粘つくような気配。


 


 


「……供物がこない……」


 


 


 低く、濁った声。


 


 


「……四天王がすべてやられたか……」


 


 


 影が蠢く。


 


 


「……供物がなければ……」


 


「強くなれないではないか……」


 


 


 その目が、ゆっくりと開く。


 


 暗闇の中で、妖しく光る。


 


 


「……まぁいい……」


 


 


 何かを感じ取った。


 


 


「……何かが……こちらに向かっている……」


 


 


 影の口が、歪む。


 


 


「……そいつらを……いただくとしよう……」


 


 


 それは。


 


 


 断界同盟幹部――


 


 


 チュパウマノス。


 


 


 供物を喰らい、強くなる怪異。


 


 


 そして今。


 


 


 守護者たちとの戦いが、始まろうとしていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ