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アルケオン  作者: れんP
南米編

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129/182

熱帯の大地、緑の都市へ

この世界には、人の目に見える“異質な存在”がいる。

それは神話でも、空想でもない。

人の想いに触れ、時に人を守り、時に人を遠ざける――

**守護者アルケオン**と呼ばれる存在だ。


彼らは人と同じ姿をしていながら、人ではない。

意思を持ち、感情を抱き、使命を背負って生きている。

だが、生まれた瞬間から強いわけではない。

迷い、怯え、悩みながら、自分の存在理由を探していく。


これは、

忘れられた物から生まれた、ひとりの守護者が

初めて世界と向き合い、

初めて誰かと並んで歩き出す物語。


戦うことだけが、守ることではない。

それでも――

守りたいと願った瞬間から、物語は始まる。

 彩葉(いろは)たちは、アビの技――エアーライドで大海原を越えた。


 青い海。

 白い雲。

 そして、やがて見えてくる広大な緑。


「ついたなの」


 アビがゆっくりと降下する。


 足元に広がるのは、熱帯の大地。


「ここが……ブラジル……」


 彩葉は深く息を吸い込んだ。


 湿った空気。

 濃い緑の匂い。

 どこまでも続く森林。


「ここは、どこだろう。人がいないみたい」


 リリア=エジソンが周囲を見回す。


「森林が見える……」


 マイが静かに呟く。


「あれが、アマゾンかな?」


 マミが遠くを指さす。


 視界いっぱいに広がる密林。


「どうでしょう?」


 メデューサが首を傾げる。


「ここ、詳しくないからわかんない」


 ユキが肩をすくめる。


「地図を探せばいいんだけど、どこにあるのかわからない」


 ベアトリスが腕を組む。


「そうだよなぁ」


 (くろ)がぼやく。


「とりあえず、歩いてみる?」


 (エイ)が提案する。


「うん、そうしよう」


 (リー)芳乃(よしの)が頷いた。


 ――こうして、彩葉たちは歩き始めた。


 照りつける太陽。


 熱帯特有の湿度。


 巨大なシダ植物。


 色鮮やかな鳥が枝を飛び交う。


 遠くから聞こえる、正体不明の動物の鳴き声。


「自然……すごいね」


 陽菜(ひな)が感嘆する。


「ジャングルって感じだねぇ」


 レナが汗を拭く。


 道らしき道を進み、川沿いを渡り、小さな集落跡のような場所を通り過ぎる。


 やがて――


 舗装された道路が見えてきた。


「人工物……!」


 リリアが目を輝かせる。


 さらに歩く。


 すると、遠くに建物群が見えた。


「あれ、街じゃない?」


 陽菜が指さす。


「やっとついた〜!」


 レナが大きく伸びをする。


 そこは、ブラジル北西部の都市――リオ・ブランコ。


 低層の建物が並び、ヤシの木が街路を飾る。


 熱帯の空気と都市の匂いが混ざり合う場所。


「うむ、まずは休憩して聞き込みかの」


 (しおり)が言う。


「まぁ、それしかないな」


 村正(むらまさ)も同意する。


「ブラジルでコーヒーが有名と聞いたような気がしますわ」


 ココア=モカ=コフィアが目を輝かせる。


「あるのでしたら、ぜひ飲んでみたいですわ」


「確かに、コーヒーの本場だもんね」


 フェルルが笑う。


「……緊張する……」


 フェトゥ=ハーネアネアが小さく呟く。


「大丈夫だよ!」


 花火(はなび)が明るく言う。


「そうだよ」


 フェルルも続く。


 彩葉は皆を見渡し――


 ふっと微笑んだ。


「ふふっ……」


 そして前を見る。


「行こう!」


 その一歩が、新たな物語を動かす。


 一方――


 街の中心部。


 ある建物の屋上。


 そこに、一人の少女が立っていた。


 細い身体。


 長い尻尾。


 その先端には――


 身体よりも大きなパラボラアンテナ。


 彼女は、じっと彩葉たちを見つめていた。


「……英雄御一行、発見」


 アンテナがわずかに回転する。


 電波のような微かな音。


「ここも……救われる?」


 少女の瞳は、どこか不安げだった。


 ブラジルの空の下。


 新たな怪異の気配が、静かに動き出していた。


――南米編、本格始動。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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