表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルケオン  作者: れんP
オセアニア編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

126/182

巨頭海岸にて

この世界には、人の目に見える“異質な存在”がいる。

それは神話でも、空想でもない。

人の想いに触れ、時に人を守り、時に人を遠ざける――

**守護者アルケオン**と呼ばれる存在だ。


彼らは人と同じ姿をしていながら、人ではない。

意思を持ち、感情を抱き、使命を背負って生きている。

だが、生まれた瞬間から強いわけではない。

迷い、怯え、悩みながら、自分の存在理由を探していく。


これは、

忘れられた物から生まれた、ひとりの守護者が

初めて世界と向き合い、

初めて誰かと並んで歩き出す物語。


戦うことだけが、守ることではない。

それでも――

守りたいと願った瞬間から、物語は始まる。

 常夏の島々の国「パラオ」。

 その完海岸にて――


 波の音が、静かに響いていた。


「どこいたの?」


 小さな黄色い羽根を背に持つ、金髪の少女が問いかける。


「いや、異界に巻き込まれてな」


 セキが答える。


「異界……最近ここに生まれたみたい……」


 和服を着て、鞠を抱えた少女が静かに言った。


「神隠しも起きてる」


 その言葉に、空気が重くなる。


「それと、そっちの子達は英雄さん達かな?」


 黄色い羽根の少女が彩葉たちを見た。


「あぁ」


 セキが頷く。


「メリーさん久しぶり〜!」


 花子(はなこ)が手を振る。


「うん」


 西洋人形のような、小さな少女――メリーが小さく頷いた。


 メリーと花子は、嬉しそうに見つめ合っている。


「そうだ、巨頭オがでた。なにか知ってるか? かごめ」


 甘奈(かんな)が聞く。


「うん……最近ここに現れた怪異……」


 鞠を抱えた少女――かごめが答える。


「えっと、その人達は?」


 陽菜(ひな)が小さく尋ねた。


「あぁ、彩葉(いろは)。紹介するぜ」


 セキが言う。


「黄色いやつがヒギョウだ。怪異の名は『ヒギョウ様』」


 ヒギョウは軽く手を振った。


「で、鞠を持っているのがかごめ。かごめかごめの歌の恐怖心から生まれた怪異だ」


 かごめは静かに会釈する。


「で、あっちで花子と一緒にいる人形がメリー。怪異の名は『メリーさん』だな」


 メリーは無言で彩葉たちを見つめた。


「へぇ〜」


 彩葉が感心する。


「どれも知ってる気がする……」


 マイが呟いた。


「民間伝承系の怪異か……」


 フェルルが観察するように言う。


「あの二人仲良さそうだね」


「まぁ、どちらも小さい少女だ。遊び盛りだろう」


 甘奈が微笑む。


「ここの怪異ってアレだけ?」


 ベアトリスが問う。


「いえ……」


 かごめが答えようとした――その時だった。


 ――ヒュゥゥ……


 横笛の音。


 どこか哀しく。


 どこか不気味な音色。


 そして――


 空が、赤く染まった。


「嘘でしょ!?」


 ヒギョウが叫ぶ。


「全員! 戦闘準備なのじゃ!」


 (しおり)が叫ぶ。


 その瞬間。


「アンーミョージーーー」


「アンーミョージーーー」


「アンーミョージーーー」


 お経のような声が響いた。


 海岸全体に広がる、不気味な合唱。


「この声……」


 セキが顔を歪める。


「……間違いない……」


 甘奈が呟く。


 さらに――


 ズシッ……ズシッ……


 足音。


「ジョーーーーミーーーーシーーー」


「ジョーーーーミーーーーシーーー」


「ジョーーーーミーーーーシーーー」


 奥から現れたのは――


 全身が緑色の、子どものような存在。


 その数――数百。


 そして、その中には。


「ぞたけつみ」


「いなさがに」


 巨頭オも混じっていた。


 異形の軍勢。


 海岸を埋め尽くす。


 セキが前に出る。


「……いるのはわかっている!」


 鋭く叫ぶ。


「でてこい!!!」


 その瞬間。


「うふふふっ」


 声が響いた。


 上空。


 空間が揺らぐ。


 そして――


 現れた。


 振袖の長い着物を着た少女。


 手には――横笛。


「見つかっちゃった」


 少女は笑う。


 セキが睨む。


「お前か……須磨(すま)


 低い声。


「巨頭オを連れてきたのは」


「うふふっ、えぇ、そうよ」


 須磨は優雅に空に浮かびながら答えた。


「わたしたち怪異同盟は、あなた達怪異警官とは敵対関係だもの」


 横笛を指でなぞる。


「戦力は多いほうがいいでしょう?」


「怪異同盟?」


 彩葉が呟く。


「怪異同盟は、怪異警官とは違い……」


 村正(むらまさ)が言う。


「人間を恐怖に陥れて襲う集団だ」


「えぇ、そうよ?」


 須磨は楽しそうに笑う。


「うふふふふっ」


 横笛を構える。


「さぁ!」


 空がさらに赤く染まる。


「今宵の祭りを楽しみましょう?」


「……ここで潰す」


 ベアトリスが前へ出る。


「うん……」


 ユキも続く。


「アビも頑張るなの!」


「は、はい!」


 メデューサも武器を構える。


 彩葉は深く息を吸い――


「みなさん!」


 叫ぶ。


「がんばりましょう!」


 仲間たちが頷く。


 セキが前へ出る。


 そして――


 叫んだ。


「よし、その意気だ……」


 武器を構える。


「総員!」


 怪異の軍勢が迫る。


「それぞれの武器を構えろ!!」


 笛の音が響く。


「戦闘を開始する!!」


 ――パラオの海岸にて。


 怪異同盟と英雄たちの戦いが、今――始まった。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ