困惑の異世界転生
唐突にそれは起こった。
私:相浦理亜は、前世の記憶を思い出して目が覚める。
小柄な体に不釣り合いな大きなベッド。
高い天井に、広い部屋、気品に満ちた家具・装飾品の数々に絶句した。
見慣れたはずの自分の部屋なのに、違和感を感じずにはいられなかった。
しばらく唖然とした後に、鏡を見つけて、おぼつかない足で近づき、自分の姿を見る。
そこには、銀髪碧眼の美しく愛らしい少女がいた。
でも、そんな自分の姿を見ても、自分が誰なのか思い出すことができなかった。
「誰・・・?」
自分の顔を触って、現実を実感する。
そして、恐らくこれは異世界転生だと予想したものの、目の前の少女に身に覚えがなかった。
「私の知っている話じゃないのかな?」
困惑しながらも、自分が異世界転生したことに嬉しさが込み上げてくる。
改めて周りを見渡してみても、裕福な家に生まれたことが一目瞭然だった。
これからどんな冒険ができるのかと、胸を躍らせた。
「お嬢様っ!!!!」
突然大声をかけられ振り返ると、驚きの表情を隠しきれない女の子がそこには立っていた。
黒髪、黒目で、長いおさげに丸メガネ、そしてメイド服。
絵にかいたようなメイドがそこには立っていた。
持っていたリネンを床に落とし、混乱しているのか部屋を出たり入ったりと繰り返している。
「お嬢様、大丈・・・あっ、いえっ、すぐに奥様に報告しなくてはー。」
声をかける間もなく、そのメイドは部屋を飛び出して去っていった。




