第13話 スキル炸裂、無双開始!
──ズドッドッドッドッドッドッ!!
「キャウォン!」「キャウォン!」
俺の《マナ・マシンガン》が火を吹き、コボルトたちが悲鳴を上げながら倒れていく。
──よし、まずは2匹討伐!
こうしてモンスターを狩るのは、世の中のためになるから悪い気はしないけど、領主ゲネスまで喜ぶとなると話は別だ。まるで、俺の功績を横取りされてるみたいで、どうにも癪に障る。
だが、まあ、今はそんな選り好みしている場合ではない。これも、いつの日かゲネスに“たっぷり”報いるためだ。
レベル上げのためにも、目の前の経験値……いや、敵を倒すことに集中すべし。
──残り、あと8体。
俺の圧倒的な火力を目にしても、コボルトたちは怯む気配はなかった。唸り声を上げながら、一直線に突っ込んでくる。
うん、その勇気だけは、ちょっとだけ認めてやろう。
奴らの刃が振り下ろされるたびに、俺はひらりと身をかわした。周りを囲まれようが関係ない。《風駆けの祝福》を惜しみなく発動し、軽やかにひるがえる。
そのたびに、コボルトたちの動きがピタリと止まった。
まるで、「一時停止ボタン押した?」みたいな顔で固まっている。
──そう、俺の動きが速すぎて、視界からパッと一瞬で消えたようにしか見えないのだ。
それが俺のすばやさだと気づく頃には、もう遅い。
すでに──俺はお前たちの背後を取っている。
「マナ・マシンガン!」
──ズドッドッドッドッドッドッ!!
「キャウォン!」「キャウォン!」「キャウォン!」
スキル《風駆けの祝福》──めっちゃ、いい感じだ!
さすが【敏捷】100の力。敵の動きがまるでスローモーションのように止まって見える。
体は軽くて、風に背中を押されて、スイスイ進むような感覚は爽快だ。そのたびに、敵の驚く顔が見えて、つい笑ってしまう。
──俺の新しい戦闘スタイルも、バッチリ確立した。
これで、高速アタッカーへのパワーアップも完了だ。
俺は残りのコボルトたちを、容赦なく狩り続ける。
「キャウォン!」「キャウォン!」
いったい、どれくらいの経験値に貯まるのか……。頭の中は、数字とゲージのことでいっぱいだ。もはや目の前の敵が、ただのポイントにしか見えなかった。
攻撃して、倒して、次の敵へ。
ひたすら、それを繰り返す。
マナ・マシンガンを撃ちまくり、経験値をジャンジャン回収。《自動回復》と《CT短縮》のおかげで、弾切れの心配もゼロ。
とにかく稼いで、稼いで、稼ぎまくる! 俺の《マナ・マシンガン》が加速して、まさに、“無双モード”へ突入だ!
「喰らえ! 経験値ぃ!!」
──ズドッドッドッドッドッドッ!!
「キャウォン!」「キャウォン!」「キャウォン!」
1分も経たず、コボルト群れ10体を一掃した。さっきまでの喧騒が嘘のように、辺りは静まり返っていた。
焦げた匂いと、うっすら舞う土煙の中で、俺はステータス画面を開いた。
──さあ、経験値は、どれくらい伸びたかな?
【EXP】1054/4000 → 1256/4000。
おおっ、ちゃんと増えてる!
つまり、コボルト一体につき、約20ポイント入った計算だ。
この辺りのモンスターは、だいたいこれくらいの経験値を落とすってわけか。
──うむ、これはオイシイ。
さすが、“本場のクエスト”といったところ。
これなら、今夜中にノルマ1000ポイントは余裕で突破しそうだ。むしろ、お釣りが出る勢いだ。
この調子で行けば、明後日にはレベルアップ確定間違いなし。俺の計画は、順調すぎるくらい順調だ。
「うおぉおおおおッ! 経験値ぃ! 経験値を俺にくれぇぇぇ!!」
雄叫びを上げ、『月光の回廊』を駆け回る。最高すぎてテンションは完全に暴走中。
気分はまさに、ハッピートリガー状態だった。古代遺跡に棲みつくモンスターどもを、片っぱしから狩りまくる。
「あっ、オークの群れ発見! マナ・マシンガン!」
──ズドッドッドッドッドッドッ!!
「グワァーッ!!」
「よし、次はスケルトン軍団だ。マナ・マシンガン!」
──ズドッドッドッドッドッドッ!!
──ガラガラガラッ!!
「スライムの家族だ! ……ん、ま、撃っとくか。マナ・マシンガン!」
──ズドッドッドッドッドッドッ!!
──ビシャ!!
こうして、俺の熱いクエスト挑戦は、連日連夜続いた。
そしてついに、3日目の夜が過ぎる。
レベルアップ計画は、いよいよ最終局面を迎えようとしていた。
──残すはあと、経験値100ポイント。
モンスターを狩り尽くした俺は、気づけば古代遺跡の最奥へと辿り着いていた。
そこに、この計画の締めくくりにふさわしいモンスターが、俺の前にドーンと立ちはだかっていた。
この遺跡を守護する、最後の番人……。
ストーン・ガーディアンだ。
──ゴゴゴゴッ……。
全身は頑強な石で覆われ、まるで遺跡の彫刻がそのまま命を得たかのようだった。表面には、古代語のような紋様がびっしりと刻まれ、かすかに青白い光を放っている。
その巨体が放つ圧に、俺は思わず息を呑んだ。
「……でかっ。これがボスってわけかよ」
ストーン・ガーディアンは俺を倒すべき相手だと認識したようだ。ゴゴゴゴッと轟音を立てて、巨大な拳を振り下ろしてきた。
まったく古代人は、何て物騒なものを作ったんだよ。さすがに、まともに喰らえばひとたまりもない。
俺は身をひるがえし、その一撃をひょいっとかわす。
──ズガァーン!!
衝撃と砕け散った瓦礫があたりに飛び散る。
ストーン・ガーディアンは、休む間もなく攻撃を放ってくる。意外にもその動きは素早い。
──弱点は……ないのか?
俺は視線を走らせ、石の巨体を観察する。
全身を鎧のような岩肌が覆っていた。普通の攻撃じゃ、かすり傷ひとつ付けられそうにない。
だが、胸のあたりに、ひと際輝くクリスタルが……。
──あれが、動力源か!
赤く輝くそのクリスタルは、まるで内部から光を放つ小さな星のようで、ひと目で弱点だとわかった。
とはいえ、正面から狙うのは、さすがに効率が悪すぎる。
まずは相手の動きを止め、確実にチャンスを作る。
俺は狙いを定めた。
右脚の関節部分──膝の可動部だ。
そこに、魔法を一斉射撃する!
「マナ・マシンガン!」
──ズドッドッドッドッドッドッ!!
──ドゴォォン!!
轟音と共に、ストーン・ガーディアンの右脚が吹き飛んだ。巨体はバランスを失い、ドスンと地面に膝を打ちつける。
──よし! 動きが止まった!
この隙を逃すまいと、俺は一気に畳みかける。
《風駆けの祝福》で飛び上がり、上から魔法を叩き込む!
「マナ・マシンガン! 全弾集中ッ!!」
──ズドッドッドッドッドッドッ!!
光弾の雨が胸のクリスタルに直撃する。まばゆい閃光を放ちながら、宝石は粉々に砕け散った。
──グアアアアアーーッ!!
断末魔を残し、ストーン・ガーディアンが勢いよく倒れ込んだ。地面が激しく揺れ、遺跡中に土煙が舞い上がる。
決着は何とも呆気なかったが、ラストはなかなかの迫力だった。
──よし、討伐完了!
戦闘を終え、一息つくと、目の前にステータス画面がパッと現れた。
──ついに来たか……。
俺はステータス画面を、食い入るように見つめる。
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【名前】エリク・ダークベルク
【種族】人間(転生者)
【年齢】12
【職業】奴隷
【Lv】5
【EXP】4007/12000
【HP】60/60
【MP】31/31
【攻撃力】10 【防御力】16
【敏捷】110 【魔力】28
【運】4
【スキル】自動回復Lv5
CT短縮Lv4
【魔法】無属性魔法マナバレット
【属性】風駆けの祝福
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キタァァァァァーーッ!!
ついに、ついにやったぞ、レベル5、昇格だッ!!
俺は両腕を突き上げて、高らかにガッツポーズを決めた。これまでの努力が報われて、胸の奥に熱いものが込み上げる。
基礎ステータスは軒並み上昇。
待ちに待ったスキル《自動回復》は上限の5に到達。あとはCT短縮を残すのみ。
これを極めれば、俺の連射速度も回復速度も頂点に達する。
──いったい、俺は、どこまで高みに上るんだろう……。
自分の能力が、末恐ろしい……。
そんな歓喜に浸っていると、俺の目に、衝撃的な光景が飛び込んできた。
ストーン・ガーディアンがいた場所の奥──何かが神々しい輝きを放っている。
えっ? これって……!?
──《進化の石》だ!
まさか、ここで出るなんて!
原作でも激レア扱いのランダムアイテム《進化の石》。夢と希望のレアアイテムだ。
その“伝説級アイテム”が、今まさに俺の目の前で、まばゆく輝いている。
「うおぉおおおおっ! 俺、マジでラッキーすぎる!」
ここで、スキルアップの特典までついてくるなんて、最高すぎる展開だ。まるで運命が、俺に追い風を吹かせてるとしか思えない!
──これで、またスキルアップできる……。
俺は早る気持ちを抑え、ゆっくりと《進化の石》へ歩み寄った。




