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【WEB版】迷い込んだ異世界で妖精(ブラウニー)と誤解されながらマイペースに生きていく  作者: 明太子聖人
第三章  砂漠のオアシス・空中都市サヘール編

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第156話 賢くて強くなる

 額の紅い宝石を誤魔化すべく、フェネックにも従魔の証である装飾品を作ることになった。


「サークレットにするのか?」

「うん」


 フェネックはサークレットの方が良いだろう。

 勇気を振り絞って暴君であるブランカの前に現れ、アラバマ殿下の従魔になりたいと申し出たのだ。なので某RPGの勇者のサークレットのようなデザインにしたい。

 臆病で大人しいカーバンクルだからこそ、勇者の素質が必要だと思うのだ。(ただしブランカは除く)


「おい。こ奴に任せて大丈夫なのであろうな?」

「ブランカのティアラも作りましたので」

「ふむ。確かにセンスは悪くはないようだな」


 勇者の装備品って色々な特殊効果があったよね。

 即死を回避するとか、力がUPするとか、知能が上がるとか何かそこら辺。

 なんで装備品一つで知能が上がるのかは判らんけれど。賢くなるのは良いことだ。

 賢くなると、使える魔法の種類が増えるとかもあるし。

 頭部を飾るサークレットだし、やっぱ賢くなって欲しいよね。

 アラバマ殿下にも優秀な従者が必要なわけで。人材の確保が難しいだけに、せめて従魔ぐらいは賢くそして忠実であれと願う。


「一度装着すると外れませんし、擬態で変化しても伸びる金属なので大丈夫です」

「……それは大丈夫と言うのか?」

「本人は外せませんが、主であれば外せるそうです」

「……大昔に存在したとされる、奴隷の輪のような効果が備わっておらんか?」

「従魔契約を解除したいと願えば、本人にも外せるようですので、そこまで悪辣な物ではないと思われます」

「……そう、なのか?」

「忠誠心が試されますね。主としての資質も問われますが」

「……う、ううむ」


 そして次いでとばかりに、ブランカ以外の従魔であるシルバやノワル。そして頼まれてはいないけれど、ボスの立派な角に似合う角輪も一緒に作っておこう。

 合金作りに夢中になって、ブランカの『緊箍児』しか作ってないんだよね。


 ミスリルとヒヒイロカネを使って作った伸縮自在な合金。名付けて『如意合金』(ネーミングセンスェ)もまだ余っているので、それを使って作ることにした。

 彫金師みたいに器用じゃないと作れなさそうなモノでも、如意合金だと思う通りに加工できるんだよね。如意合金を触ってると、イメージした通りに勝手に動くみたいな感じがするし。もしや俺の中で眠っていた彫金師の才能が開花したのだろうか?


「だが、くれぐれも妙な物は作るでないぞ!」

「はーい」

「では俺様は工房の奴らと、工場に設置する魔道具について話し合ってくるからな」

「はーい」


 彫金師の才能はともかくとして、「如意合金よ、俺の願う通りに形成しろ」と念じれば粘土細工のように柔らかくなるから面白いね。

 流石魔法金属で作った合金である。

 でも如意棒を作った時とは明らかに違う反応なのはなんでだろうか?(実際は俺のように念じても想像通りに形成されないらしい)


「……ちゃんと聞いておるのかどうか怪しいな」

「集中するとこうなります」

「……研究者は、変わった連中が多いしな」

「アルケミストなので……」

「ならば、仕方あるまい」


 サークレットを飾る石に選んだのは、やはりガーネットである。

 ガーネットの石言葉は『真実』『友愛』『繁栄』『忠実』『 生命力』とかまぁ、そんな感じなので、従魔の装飾品として相応しいのだ。

 ブランカもフェネックも額に赤い石があるし、フェイクで散りばめるにも丁度いいんだよね。

 それと『不屈』や『無敵』の意味を持つダイヤモンドもはめ込んでおく。

 なのでシルバやノワル、そしてボスの従魔の証にも同じように付けておこう。

 夫々のイメージに合わせて、ダイヤモンドの色も変えておく。

 ブランカはピンクで『完全無欠の愛』だったので、シルバはオーシャンブルーの『包容力』、ノワルはブラックの『超越・革新』、ボスはグリーンの『安らぎ・豊かさ』、フェネックはイエローの『自信・希望』等の意味を持つ物にした。


 従魔にダイヤを使った装飾品を与える等、何という贅沢と思われるだろう。

 だがこの世界でのダイヤモンドはそんなに価値がある石ではない。ただ硬い石と言う扱いで、比較的安く買える宝石だった。

 丁度ダンジョンから帰る途中の市場で原石を投げ売りしているのに遭遇したので、面白いので色々仕入れておいたのだ。(パワーストーンの補充のために)

 ニアジェム(宝石に近いという意味)だからというのもあるし、サヘールだから安価で買えたのかもしれないけれどね。


 ダイヤモンドが硬すぎて加工が難しいとかではなく、サヘールでは本当にありふれた鉱石のような扱いである。(なので宝石類を見てもアラバマ殿下はそこまで欲しがらなかったのかもしれない)

 他のダンジョンでドロップする宝石類は、ブリリアントやトリリアントなカットを施されているので価値は高いし、サヘールの交易で取引される宝石類はソーヤブル(カットによって美しくなるという意味)だから高級品扱いなんだろう。


 当然俺はニアジェムの原石から取り出しただけなので、ダイヤモンドカットなどしていない。だからか、丈夫なガラス玉をはめ込んだだけにしか見えないので、高級なアクセサリーとは程遠い感じになってしまった。

 まぁ、宝石の価値より含まれる意味の方が重要なので構わないだろう。

 それに俺の世界ではダイヤモンドは高級で希少性が高い扱いをされているけど、実はマーケティング戦略と採掘と販売までを独占しているデビア――――――おっと、誰か来たようだ。(ディエゴお兄ちゃん、コーヒーを淹れてくれてありがとう)



「こんなもんかな~?」

「相変わらず、虹色に光るな」

「そうだね」


 完成のお知らせ(エフェクト)として光るのは最早お約束である。

 驚くような輝き方じゃなく表面がぽわ~っと光るだけだし、多分これ以上手を加えるなという合図なのかもしれない。

 何せ光ったのに手を加えたことで、如意棒が何本か逝ってしまったのだ。

 失敗したのかぷしゅ~って妙な音がして、ボロボロと崩れたんだよね~。

 だからこれ以上何か余計なコトをしてはいけないということで。

 完成した後は、Siryiによるお待ちかねの鑑定をお願いしよう。


『ブランカの「緊箍児」のような《躾機能》は付与されておりませんが、どれも従魔の能力を引き上げる効果がありますね。おめでとうございます』


 いえ~い! やったね。

 Siryiの詳細な鑑定によると、フェネック用のサークレットには知能向上効果があるそうだ。

 装着すると知能が一気に跳ね上がるのではなく、見たり聞いたりすることで、情報を蓄積し考えたり思考する能力が上がるんだって。

 主であるアラバマ殿下の為になると思えば、フェネックも必死に学ぶであろう。

 まぁ、そう願って作ったからなんだけど。


 動物や魔獣の知能は人間とは違ってそこまで高くない。これは理性より本能の方が強いからなのだが、人間も本能が強いと知性は高くないから同じである。

 そして学ぶことに喜びを感じなければ、いくら教えても覚えないんだよね。

 生きて行く上で必要じゃない学びは、ただのトリビアでしかないのだ。

 俺が人の顔と名前を中々覚えられないのは、興味もなければ必要としていないからでもある。


 なのでブランカの『緊箍児』には、女性目線としての品格を学ぶために、アマンダ姉さん基準のマナー判定にしてみた。

 やはりここは同性から学ぶべきだろうということで。

 ポンコツなディエゴに躾は無理だし、俺たちだって褒められたマナーは身に付いていないのもある。妙に男性率が高いパーティだから仕方がないね。

 よってブランカの『緊箍児』の《躾機能》は、アマンダ姉さんに紹介してから発動することになっていた。(押し付けたともいう)

 いやぁ~今はまだやりたい放題のブランカだけど、アマンダ姉さんの可愛いは正義は合格としても、マナーについてはどうなる事やら。楽しみだね~。うひひひ。



 完成したサークレットを手にして、ディエゴがじっくりと眺める。

 魔道具オタクから見てどうですか?

 魔道具っていうか、アイテムなんだろうけど。


「なるほど。賢くて強くなるアイテムか」

「どりょくしだいだけどねー」

「本人が望まなければ効果はないということか?」

「うん」


 美味しくて強くなる食べ物とは違って、このアイテムは装着しただけでは効果はないのである。

 なのでSiryi以外が鑑定したとしても、従魔用のアクセサリーとしか表示されない。

 しかも完全な帰属アイテムとして作っているので、転売しようとしてもできないんだよね。まぁ、アラバマ殿下はそんなことしないと思うけど。


『これら従魔の証であるアイテムに《《込められた願い》》は、安易に能力を向上させる効果ではない為、日々の積み重ねが必要かと思われます』


 身に着けただけで能力が向上するアイテムは、頼り過ぎれば堕落を招くからね。

 なので俺の作った従魔用のアイテムは、能力の底上げではなく補助として機能するように願って作っている。

 それと秘められた才能の開花のお手伝いみたいな感じかな?


 ピノキオに出てくるブルー・フェアリーが、ゼペット爺さんの願いを叶えて人形に命を吹き込んだように。そしてピノキオが完全に人間になるには努力をしろと伝え、嘘を吐くと鼻が伸びる呪いをかけたように。

 星に願いをかけるように、夫々のパワーストーンに願いを込めた。





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