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【WEB版】迷い込んだ異世界で妖精(ブラウニー)と誤解されながらマイペースに生きていく  作者: 明太子聖人
第三章  砂漠のオアシス・空中都市サヘール編

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第130話 反撃のお守り

 俺がカカオリベンジをしようと闘志を燃やしている間に、大人組はカジノで一稼ぎどころか大暴れしているラヴィアンたちの情報を仕入れていた。


「アホ共に様子を窺わせちゃいるが、ヤツラにゃ手加減をするとか、ある程度目を付けられねぇように控えるとかって考えがねぇようだぜ」

「色んなところで出禁になってるのに、懲りねぇ連中だよな?」

「ここにゃ長居する気がねぇから、やりたい放題なんだろうが――――」


 少しは負けるなどの駆け引きも必要なのに、全戦全勝の常勝状態らしい。

 イカサマでもしているのではと疑われて、つまみ出される可能性すら頭に浮かばないのだろうか? 何てことを思っていると、カジノに持ち込んではいけない物として武器などの危険物(毒を含む)はあるが、幸運のアイテムを持っているだけでは禁止することはできないし、運が良い客で済まされる。

 単純にビギナーズラックな人間だっているからね。

 なので現状、カジノ側は様子見をしているといった感じのようだ。


「奴らが荒らしまわってるゲームの種類は?」

「カードとルーレットだな」

「それじゃぁ、益々ダイスは関係ないわね」


 ただ持ってるだけだもんね。言い掛かりをつけようもないってことか。

 そもそも幸運のアイテムを持っているということすら知られていないし。

 種や仕掛けが判っても、マジックじゃないから証明する方法もないしね。

 取り上げようにも本人の元に戻ってくる帰属アイテムだし、幸運と名が付くだけに持ち主に有利に働く作用もあるのだろう。

 誰にでも使えるって訳でもないし、つくづく厄介なアイテムだな~。


 しかも10面ダイスは実際のカジノゲームで使用するものではない。

 これが通常の6面ダイスならクラップスやシックボーと呼ばれるサイコロの出目を予想するゲームに使うが、10面ダイスはそれ自体が謎の形状をしている奇妙な玩具みたいなものだ。

 よってジボールのカジノではラヴィアンの悪名が広がっていないこともあり、何が起こっているのかすら把握できていないってことか。


「でもやり過ぎれば、イカサマじゃないかって疑われるわよね?」

「そうだな。派手にやらかしてるなら、追い出されるのも時間の問題じゃねぇか?」

「地下賭博もあるし、追い出されても行くとこはあんだよ。だがそっちはマフィアの縄張りだがな」

「公営カジノから追い出されりゃ、地下賭博場に行く可能性も考えるべきだな」


 この国が経営している表のカジノでは、カードゲームのブラックジャックやバカラ、サイコロゲームのクラップス、そしてカジノの女王と呼ばれるルーレットがメインのようだが、マフィアの経営する地下賭博場もジボールにはあるらしい。

 表の公営カジノで負けが込むと、それを取り戻そうと裏である地下闘技場に自ら剣闘士として出場する者が、地下賭博の賭けの対象になる。

 その中には表の優雅なカジノに飽きた富裕層が、自分の護衛や奴隷を出場させることもあり、血沸き肉躍る戦いを楽しむのだそうだ。

 ラヴィアンたちが表のカジノから追い出されれば、賭けの対象が剣闘士になるか、自ら剣闘士となって出場するかどうかは判らないけれど。

 ―――――なんて話をしている大人組を他所に、俺たち若手組はショコラトルの味について語り合っていた。


「リオリオの頼んだ飲み物っすけど、マジで不味いっすね……」

「香りはすごく良いのにねぇ……」

「だよねー」


 お高いので一杯しか頼まなかったが、みんなで舐めてその不味さを共有し合う。

 値段が高くなっているのって、希少なカカオだけでなく、高価なスパイスや薬草をぶち込んでいるからなのではなかろうか?

 それで余計に不味さを強調させているから、逆効果のような気がするけどね。


「これって、本当に美味しくなるの?」

「リオリオだから、そこは何とかなるんじゃないっすか?」

「うん。おいしくする」


 絶対にだ。


「美味しくない物はやっぱ嫌だもんね」

「うん」

「錬金術でどうにかなるもんすか?」

「ほうほうはあるよー」


 カカオ豆は発酵させて乾燥させるまでに二年はかかる。

 流石にカカオ豆そのものを買う訳じゃなく(買ってもどうしていいか判らないし)アマル様の契約している農場に行って、発酵したカカオ豆を分けてもらう手筈になっているのだ。

 そこから更に加工しなければならないのだが、俺にはディエゴが居るので大丈夫。

 人間魔道具のような扱い方でほんとごめんなんだけど。実験大好き人間だから、喜んで協力してくれると思うんだ。


「どんな方法っすか?」

「せつめいしても、わからないかもー」

「あ、やっぱそうなんだ」

「アルケミストじゃないと、判らないっすよね」


 ディエゴなら判ると思うけどね。

 ローストしたカカオニブを、磨り潰してカカオバターにして砂糖やミルクを加えればよかった気がする。なんかそんな動画を見た覚えがあるんだよな。

 ココアバターの作り方も見た気がするんだけど、細かい部分の記憶はSiryiに検索してもらおう。よろしくねー。


『了解しました』


 そう言えば犬にチョコをあげると中毒を起こすと聞いたことがあるけど、シルバは大丈夫なのだろうか? と思ったので聞いてみることにした。


 ――――ふむふむ。なるほど。聖獣だから食べても問題はないのか。

 でも好みの味ではなさそうなので、どうでもいいらしい。

 ノワルはジャーキーの方が良いんだってさ。

 相変わらずのジャーキージャンキーだねぇ。

 それより両者ともにナベリウスや飛竜の肉の味が気になるの?

 魔物であり魔獣ではあるから食べられるお肉だとは思うけど、手に入るかな~?

 あ、そうだ。良いことを思い付いた。


「チェリにおねがいがあるんだ」

「な、何? リオっちのお願いって、物凄く怖いんだけど!」

「あとではなすねー」


 詳しくはホテルに戻ってからの方が良いだろう。

 シルバやノワルが、ナベリウスのお肉に興味があるらしいから、そのお肉を手に入れるためにチェリッシュにお願いをしておこうと思ったのだ。

 俺たちの中ではチェリッシュが適任だからね。んふふふふふ。



 大人組がラヴィアンとカジノの情報を仕入れている間、俺たち若手組は食べ物の話で盛り上がった。

 様子見で今夜はカジノに出かける大人組は大変だよね。

 ラヴィアンたちはカジノにあるホテルに宿泊しているらしく、アイテム対決の決戦は明日になるようだ。

 なのでアマンダ姉さんに渡した10面ダイスだけでは心もとないので、三人にお守り代わりになるモノを渡しておくことにした。


「身代わり石?」

「うん」


 ヘマタイトを渡しながら、その効果を伝える。

 邪気を払う魔除けの効果もあるし、負のエネルギーから護ってくれる石だ。

 俺がそう願えば効果も倍増するってSiryiも太鼓判を押したから、かなり強力な身代わり石になっていると思われ。

 もし相手の幸運のアイテムから負のエネルギーが放たれても、この魔除け石があれば反撃してくれるんじゃないかな?

 呪いに呪いをぶつけると相殺されるみたいだし、運に運をぶつけても同じことになりそうなので、跳ね返す効果のあるモノを持っていた方が良いような気がしたのだ。

 相手の運気を吸い取るのか、負のエネルギーをぶつけてくるのか、そのどちらでもあるのかよく判らないので、保険の為の身代わり石である。

 この石が割れても身代わりになってくれただけなので気にしないように伝える。

 沢山持っているし(10個千円程度)、いくつか割れても問題ない。役目を与えられ、この石も本望であろう。


「そんな効果があるのか。そりゃ、ありがてぇ」

「向こうのアイテムの方が強かったら拙いものねぇ」

「幸運に幸運をぶつけるのではなく、負のエネルギーを跳ねのけるのか」

「うん」

「反撃された向こうのアイテムはどうなるんだろうか?」

「さぁ?」


 やったことがないから判んないんだよね。

 だから効果を実験して欲しいのだとディエゴには伝えておいた。

 この手のアイテムに興味を持っているみたいだし、実験という言葉にニヤリと企むように笑う。どうやら俺の思惑を察してくれたようだ。

 俺自身がカジノに行ってアイテムの確認をすればいいのだが、規則として子供は入店できないのでディエゴにお願いするしかなかった。


「負のエネルギーを跳ね返すとなると、リオンのアイテムの方が強けりゃ、向こうのアイテムは壊れるんじゃねぇか?」

「それか、あちらの幸運の効果が消失して呪いに変質するとかじゃないかしら?」

「だったらいいんだがな。どうもアイツらは、あちこちでアイテムを使って相当な数の恨みを買ってるようだし。被害者をこれ以上出さねぇためにも、早いところ幸運のアイテムの効果を無くさせた方がいいだろうぜ」


 聞くところによると、ラヴィアンの女性たちは借金のカタにお金持ちに売り飛ばされそうになったり、虐待を受けているのを助けられたりしたそうなのだ。

 そう聞くと元貴族の三男坊も良いことをしているように見える。

 だがしかし、容姿が美しくない他の女性は見捨てて放置しているので、ただの好みで集められたにすぎない。単純に助けただけなら良いことではあるんだろうけど。

 幸運のアイテムを使って加害者へ報復や復讐をして、金品を巻き上げてるから褒められないんだよね。

 しかも関係のない人にまで、そのアイテムを使って色々と奪い取って来たらしい。正義の味方として様々な形で女性を助けているのなら、ラノベの主人公みたくカッコいいんだけどねぇ。

 ザマァはザマァでも、何だかスッキリしないんだよな。


 というのも、借金を背負った女性も元はと言えばギャンブルに手を出したせいだったり、出来もしない依頼を引き受けて失敗したり、虐待を受けていた女性も貢ぎ癖から質の悪い男に引っ掛かっただけだったりと、割と自業自得な被害者ばかりだった。

 最初に俺に絡んできた化粧の濃い女性が、年齢と共に容姿も衰えてきていることもあり、見捨てられる恐怖からこういった愚痴を零していたそうだ。

 情報源はあの人かぁと、これらを聞き出してきたハルクさんたちの情報収集力も凄いなと感心してしまった。

 流石は一流の冒険者であり、高ランクの実力者といったところかな?

 ふざけているように見えてしっかり仕事を熟すんだから侮れないや。

 敵に回すと厄介そうだけど、味方だから頼もしいね。


「公営カジノの方には、協力を申し出たら喜んでくれたらしい」

「派手にやらかしてやがるからな。藁にも縋る気持ちだろうぜ」

「全面バックアップをしてくれるそうよ」


 カジノ側もちょっとした仕掛けで勝ちすぎている客を負けさせることがあるそうなのだが、幸運のアイテムの力が強くてイカサマも通じないのだそうだ。

 下手に手を出しても、反撃される恐ろしさがある。

 そこで様子を窺っていた軍団の報告を受けて、レストランでの話し合いの後、ハルクさんたちはカジノの支配人さんと接触した。

 カジノにやってくるアマンダ姉さんたちがラヴィアンに挑むので、協力して欲しいとお願いしたのである。

 こちらの目的はラヴィアンと勝負する事であり、カジノ側に迷惑をかけないからってことでね。



 さて。お膳立ても整ったし、お守りも渡したのでおやすむことにしよう。

 明日は待望のカカオが手に入るし、楽しみだね!

 カジノでの勝負はどうなるか判らないけれど、ラヴィアンのアイテムに負けないよう祈っておくことにしよう。

 災いを払ったり、祝福を齎すおまじないって何だったっけ?

 えーっと、確かアバダ ケダブラ……違った。アブラカタブラ~。だったかな?



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不思議なお祈りの呪文に、エロイム・エッサイムと、エコエコ・アザラクも入れてあげて(←どっちも暗黒のヤツだよ!) 地元の植物園が『温室で実ったカカオからチョコレートを作ろう!』って長期企画(約半年)を…
いやその呪文wまだ暗黒面が?
ブラック・チョコ・ブラウニーですね
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