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一日目【目を覚ませば見知らぬ天井でした、なんてことは今回はありません。】

初めまして。

お手に取ってくださりありがとうございます。

初めての投稿になりますので、読みにくかったり誤字脱字あるかもしれませんが、温かく見ていただければと思います。

 死ぬ瞬間というのは、その時になってみないとわからないものだな………などと悠長に考えられるのは恐らく、私が道路に飛び出した子供をかばってトラックにはねられながら宙を舞っており、頭をアスファルトに叩きつけられる感覚を覚悟しているからだろう。

 子供がなぜ道路で轢かれそうになっているのかは見てなかったからわからない。ただ危ないと誰かがセミの大合唱をかき消す大声で叫んだのを聞いたからだった。

 テスト期間のため太陽がてっぺん近い暑苦しい午前中に下校していた時、声を聞き反射的に触っていたスマホから目を離し後ろを振り返り子供を見つけ、轢かれそうになっていることを理解した時には体が動いていた。車道は一本の狭い道だったため子供を反対側の歩道に突き飛ばす。そして自分はトラックの前に出てしまう。

「あっ」と声をあげたときにはもう遅かった。

 地面に叩きつけられるまでは一瞬のはずだが、脳がフル回転しているせいでいろんなことを考えてしまう。家族の事や学校の友人、将来の事に今までの思い出………そんなことが一瞬のうちに脳内を駆け巡った。

 そして直前まで見ていたネット小説を思い出した。

 学校で友達が面白いとおススメしてきて鬱陶しかったので読むだけ読むかと読み始めたのだが、意外にはまってしまいテスト勉強そっちのけで読んでしまった。異世界転生した主人公が魔王を倒してお姫様と結婚する。本当にありふれた転生物の小説だった。

 そんなことだから「このままいっそ異世界転生とか起こんないかな」などと寝ぼけたことを最後に思い浮かべるのだろう。せめて「彼氏が欲しかった」とか「結婚したかった」や「子供が欲しかった」など普通の事を思い浮かべるべきだったと、未来の私は深く後悔するのだった。

 そして背後に地面を感じ遂に叩きつけられると覚悟をした。




 1.


 バシャン、と勢いよく水の中に落ちた。

 一瞬理解が遅れ自分の体が水の中であり、今自分は溺れかけていることを理解した瞬間慌てて水面へ向かって泳いだ。

「ぷはっ、ゲホッゲホッ………」

 私は息ができることを確認し落ち着くために何回か深呼吸をする。

「なにこれ………」

 困惑する私をよそに周りの景色はさっきまで見慣れた通学路ではなく、どっかの森の中にある湖という感じであった。

 幸い、陸地のようなところは十秒も泳げばたどり着けるところにあった。

 一旦状況を確認するために陸地に上がり、服の水気とリュックの水気を切った。

 服は我が校は私服可なので半袖のTシャツにジーンズであり、ズボンは乾くのに時間がかかりそうだった。

 中の教科書やテストの問題用紙、部活のお知らせの紙はびしょびしょで乾かさなければまともに見れるものではなかった。

 ある程度水を切ったあと、ポケットの中にあったスマホを動かしてみた。が、黒い画面のままうんともすんとも言わず、諦めるしかなかった。

 荷物を確認しながらも自分に起こったことを思い返してみるも、やはりトラックにはねられ地面に頭を打ち付けそうになるところまでは思い出せた。

 しかし、なぜこんな湖でおぼれかけているのかは全く思い当たらず、困惑以外の感情が湧いてこない。

 まともに使えそうなものは無いに等しく、モバイルバッテリーやイヤホンといったスマホありきの物から、お茶の入った水筒やびしょびしょの紙束に財布と身分証。これらでどうやって現在地を調べろと?という疑問は今は意味がないので頭の隅のゴミ箱に思い切り投げ捨てる。

 改めてあたりを見渡してみる。

 自分が立っている陸地は木々が生えており、よく見るとところどころに不思議そうにこちらを見ている馬や鳥がいた。

 湖のはるか先には反対岸が見える。自分が立っているこちら側に比べて空も黒く木々も枯れている。いかにも「出ますよー」と言わんばかりの物々しい感じがした。

 反対岸に近く無くてほっとしつつ、嫌な予想を一つ立ててしまった。

 ありえないと思いつつも否定材料もなく、答えを求めるためにもまずは人に会わなければならないと判断し動くことを決める。

 太陽が頭上に見えるため日が落ちるまで時間がありそうなことは不幸中の幸いとでもいうべきなのか。

 改めて荷物をまとめこの草木が多く、道とも呼べぬここを通るのもいかがなものかと考えた私は、道を探して森の横を歩き出した。


 歩き出して一時間ほどたっただろうか。気が付いたがあった、先ほどまで湖だと思っていたのは湖と呼ぶにはあまりにも大きすぎた。

「どうなってんのよ…」などと口に出してみても誰かが返してくれるわけでもない。

 しかし、こんなことなら腕時計くらい身につけておけばよかった。現代っ子のスマホ依存は危険などとネット記事やニュースになっているのを、話半分に聞き流していた過去の自分を頭の中で思いっきりぶん殴りながら空腹がきつくなっていくのを感じていた。

 そんなことを考えていると、木々の間に明らかに整備された道のようなものが見えてきた。

 この道の先、鬼が出るか蛇が出るか…など考えながらも道を進む以外の選択肢もないので進んでいく。

 道を歩き始めると馬が生えている草を食べながらもこちらを警戒しているのが分かった。そりゃ、こんだけ歩いて人一人出会えないのだから、彼らにとって警戒の対象になるだろう。しかし、この先に誰かしらは居てくれないと私としては絶望感しかないのだが。そんなこと彼らには関係ないだろうが。

 このまま誰とも会えずここに骨埋めることにだけはなりませんように。いや、そもそも埋めてくれる人すらいるかわからんのに誰に祈ってんだ。そんなくだらないことを考えながら歩く。歩いて何が変わるかわからんが歩く。

「そーいや、太陽全然位置代わってないな。」

 最初に確認した時から太陽の位置は見てる限りほとんど変わってる感じがしない。自分の体内時計が壊れてるか?不安要素が増えつつも、空腹であることは依然変わらず。先ほどから果物やキノコのようなものも見かけるが、得体の知れないものを口にする勇気もなく空腹と戦う道を選び、さすがに限界も近いと体がアラートを出している。

 警告されていても自分にとっては食べて死ぬか食べずに死ぬかの二択状態なわけで、辛うじてバックの中にあった水筒のお茶で空腹を紛らわせていた。それだって無限ではないのでそろそろ不味いことは理解している。

「流石に人いなさすぎだろ、どうなってのよ。辺境の地かよ。」と誰が聞いてるわけでもない愚痴をこぼしつつ、ちょうど道のわきにあった木に根に座った。そのまま幹に背中を預け、一旦方向性を変えることを考えてみる。

 このまま歩いても誰かに会える確立と、動かず救助を待つ確率をパッと頭で考えるも、自分の中にある一つの予想が当たっているなら動かない方が悪手になる可能性の方が高く、動いてでも人に出会うことが最優先であることは間違いなかった。

 であればどうやって人に会うか、今後の方針を考えなければならなかった。ならなかった、のだが疲労と空腹から睡魔に襲われだした私はそのまま意識が落ち始めていることに気付かなかった。


 ドカーン

 遠くで何かが爆発した音で私の意識は覚醒した。ハッと目を覚ませばあたりはいつの間にか日が落ち始めていた。不味いと思いつつ音のした方を確認する。

 夕焼けに黒煙が見え、何かが燃えていることはわかった。これはチャンスだ、あそこまで行けば誰かしらに会えるかもしれない。私は立ち上がり、周りに何も落としてないことを確認しつつ煙の挙がっている方に向かって走り出した。この時の私は予想していた事や、自分がなぜ人を探しているのかすら忘れ、ただ誰かに会わなければならないという事しか覚えていなかった。これを覚えていたらもう少し慎重に動けただろうと後々になってまた後悔するのだった。

 しかし、そんな事をよそに煙の下へ走る私の足はとても軽やかで道でもなく凸凹した道を走っていた。



 2.


 煙の下にたどり着いた私が見たのは木々があったであろう焼けた地面と未だに燃える大きな木、そしてその木の前に立つ、杖のようなものを持つ一人の女性だった。

 やっと人を見つけた私はうれしさのあまり飛びつきそうな勢いで声をかけようとしたとき、

「ぐぉぉぉぉぉぉ!!!!」と燃えていた木が突然動き出し、女性に襲い掛かった。

「危ない!」と声をかけようとしたがその心配も必要なかった。

「ekuteti…」

 女性が何かつぶやいた気がしたと思うと燃えていたと思った木が一瞬にして凍り付き、動けなくなっていた。

 この瞬間私は忘れていた予想を思い出し、最悪だと心の中でつぶやいた。

 凍り付いた木に女性は近づき、思いっきり殴りつけた。殴られた木は一瞬にして粉々になり、女性ため息をついた。

「akeamoahigut,ederos?」

 そういいながら女性は後ろを向き、私に向けて杖を向けた。

「iokettakakaroh.anoyianaakiomuosaxam.agadoniisohetteakotassas,aranuriked.」と全くわからない言語で言われ、全く理解できなかったが、声色や態度からどうも機嫌が悪いことだけはわかりとりあえず両手をあげ抵抗する意思がないことだけは見せた。

 女性は私の態度が理解できなかったのか首を傾げつつも警戒を解こうとしなかった。

 私は「あの、お聞きしたいことがあるんですけど」と恐る恐る声をかけた。すると女性は驚きつつも「ettadnnan?」と返してきた。

 やっぱりだ、ここは自分の知っている世界ではない。ある意味最悪の確証を得た私は身振り手振りで敵対の意志がないこと、しゃべってることが理解できてないことを伝えた。

 数分ほどジェスチャーで何とか伝えようとしたが首を傾げつつも杖を向けるのをやめてくれた。

 少し悩むしぐさをしてから、小さく「utiruoyt,ikesiak.」と唱えた。すると私の周りに光が集まり始め、光が私を包んだと思えば元に戻った。どこもおかしなところもなく首をかしげていると女性が「付いてこい、場所を変えよう。」と言ってきた。

 言葉が理解できた驚きと、意外にも優しい態度をとる女性に感謝しつつついてくことにした。

「あの…」と恐る恐る声をかけると、懐から眼鏡を取り出しながら「なんだ、ついてこないなら置いていくぞ。話はそれからだ。」とぶっきらぼうに返しながら私がきた方向とは真逆の方向に歩き出した。


 しばらく歩くと森を抜け草原に出た。辺りは真っ暗だが女性は道はわかっているといわんばかりにひたすらまっすぐ歩いた。そして草原の中心辺りで女性はしゃがみ込み「出でよ」と小さく唱えた。するとそれまで何もなかった中心に立派な家のようなものが現れた。

「なにしてる、早く入ってこい。」と驚いている私を置いていつの間にかドアを開け中に入っていた女性。慌てて中に入り「お邪魔します」と声をかけると女性は「閉ざせ」と呟く。

「もしかして、また見えなくしたんですか?」

 私は少しワクワクしながら質問した。

「それに答える前に、まずお前は何者だ。どこから来た。目的は。何のためにあそこにいた。」とまくしたてるように矢継ぎ早に質問してきた。その言葉一つ一つに殺意のようなものを感じ、この人は全く私の事を信用していないことに気付いた。

「あー、えーっと。まず確認したいんですけどここはどこですか?できれば日付と時間も聞きたいです」と恐る恐る返す。

 怪訝そうな顔で「ここはフォトナイズ皇国のはずれの魔境界近くの森の手前だ。日付はエメラルドの十一日目だ。時刻は見ればわかるだろ、大体19を過ぎたくらいだ。」と返した。

 この質問に返してくれたという事は恐らくだが同じ予想をしているのだろう。

「えー、私は三日月 緋奈で日本から来ました。目的は帰宅?人を探して歩き回ってて爆発音につられてって感じですかね…」と答えてもらったので私も質問されたことに返答する。これでいいですか?と思いつつ顔色を窺っていると「そうか、とりあえず座れ。」と部屋の中心にあったテーブルの席を指さしながら部屋の奥の扉を開け入っていった。

「見た感じ濡れていたようだな、暖炉の方に近づきたいなら椅子を持ってそっちの方に行くといい。着ているものは脱げ、代わりの服と洗濯の籠を持ってくる。飲み物はあったかいものでいいか?あと嫌いなものは無いな?サンドイッチ程度の軽食しか用意できんが文句は言うな。」と、部屋の奥から矢継ぎ早に指示を飛ばしてくる。「え、あ、はい。」とあいまいな返事をしていると、「何しているさっさと服を脱いで座っていろ、風邪ひくぞ。今風呂を沸かしているからちゃんと体を温めてこい。ほらこれをとりあえず着ろ、私が着れなくなった服だ。」と私のリュックと引き換えに着替えと籠を置いてまた奥に引っ込んだ。

 とりあえず着替えることにしTシャツを脱ぎズボンを脱いぎ着替えた。少し胸周りがスース―するが仕方なし。濡れていた服のままよりかはマシかと思い諦めた。そして脱いだ衣服は籠に入れ言われた通り椅子を暖炉の前に動かししばらく温まっていた。

 しばらくぼーっとあったまっていると女性が戻ってきた。その手にはマグカップが二つ。

「ココアと言ってわかるか?暖かく甘い飲み物だ。」と言いながら私に一つを渡す。

「ありがとうございます。ココアはわかります、日本にもあったので。」

「そうか、とりあえず自己紹介がまだだったので名乗っておこう。」

 そう女性が言ったことでまだ名前を聞いてないことを思い出す。

「アタシの名前はエクレア。まぁ色々あってここで隠居生活してる魔女さ。」とエクレアと名乗った女性。魔女と名乗っていたが疑う余地もなかった。なぜなら、

「多分、アンタの想像してる通りここはあんたのいた世界と違うね。まぁご苦労さん。ここから帰る方法はこっちに呼び出した本人探して返してもらうしかないね。」

 やっぱり、という納得感が強くガッカリや驚きといった他の感情は出てこなかった。

「エクレア…様?」「エクレアでいいよ、仰々しいのは好きじゃないんだ。」「じゃあエクレアさんで。その呼び出した人っていうのは誰かわかるんですか?」

 そう質問した私にエクレアさんは悩みながら「わからなくはない…というか本来なら呼び出した奴、呼び出した奴の事を召喚師、呼び出された方を召喚者って呼ぶんだけど。その召喚師の近くに召喚されるんだよ。」と前置きし「アンタほんとに近くに誰もいなかったのかい」と聞いてきた。

 必死に思い返すも「溺れかけててあんまりわからないです」と返すので精一杯だった。

 そうかいと返事しながら自分のマグカップの飲み物を飲むエクレアさん。

「とりあえず、今日は風呂入って寝な。話は明日聞いてやる。」と風呂場に案内され、さっぱりとした後は二階の寝室に案内され、あれはあそここれはあそこと一通り教えエクレアさんは下に降りていき、私は布団に入り眠った。

 しばらくして大事なことを思い出した。

「サンドイッチもらってなじゃん。」

最後までご覧いただきありがとうございます。

何年か前から構想はしていたのですが中々機会が無くて形にできていませんでした。

今でもこの話は完成しきっていませんのでゆっくりとですが作っていこうと思ってます。

また機会があれば続きをお手に取っていただければ幸いです。

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