倉木の事情(2)
芽唯の部屋のドアを開けたら、彼女がびっくりした顔でこちらを見ていた。
コーヒーを飲んでくつろいでいたらしい。
「り、陸」
「何で電話にでない?チャットを無視する?」
「だって。。。白川さん」
「白川さん。。。ああ、そうだ、忘れてた。」
あの後、何度か話しかけられそうになったが、あえて無視した。
トラブル対応が最優先だったので、名古屋にいるメンバーと連絡を取り、対応策をチャットで検討していた。
トラブル対応をして、システムを無事に運用させて。
そうしたら、本社に戻れる。
それしか考えていなかった。
「白川さんは、東京に遊びに来るからって、途中まで一緒だったんだ。駅で別れた筈なんだけど、相談があるからってうちまできちゃって。」
順々に説明しようとするが、上手く説明できない。
「なぜ白川さんがここに来たのかは、後で聞こうと思っていたけれど、トラブル対応でそれどころではなくって。トラブルが解決したら、芽唯に連絡を取ることしか考えていなくって、忘れていた」
上手く伝わっただろうか?
芽唯は、少しびっくりした顔になっていた。
その顔は初めて見るかも。
かわいい。
思わず抱きしめた。
芽唯は、さらに驚いた顔をした。
「芽唯。何で話をしてくれない?」
「えー、えーっと。で、白川さんと付き合ってるの?」
「何で?」
何でここに彼女が出てくるのかが、わからない。
「彼女は上司だよ。東京までは一緒に来たけれど。。。
もしかして、トラブル発生がわかったので、僕を呼びに来たんだろうか」
「何それ。すごく有能な人なのね」
芽唯があきれたような声を出した。
うん。呆れられているのが自分だとは、何となくわかった。
でも、そんなことはどうでもいい。
久しぶりに芽唯と一緒なのだ。他の事なんて、どうでもいいじゃないか。
「芽唯。会えなくて寂しかった」
「私も」
芽唯がぎこちなく微笑んだ。




