その翌日
飲み会から1週間後、私は北陸のシステムトラブル対応のために出張に行き、帰った途端に、彼と浮気相手が自分の部屋で抱き合っているのに出くわした。
疲れた。本当に。死にたい。
その日は死んだように眠った。
起きたら、眼の周りがガビガビになって、ちょっと痛かった。
シャワーを浴びながら、もう1回泣いた。
今日は月曜日。週末にかけて出張していたので、本来なら代休を申請できるけれど、出張の報告をする必要があるので出社だ。
スマホに、通話とLINEが10件以上来ていたが、無視した。
出社して会社のパソコンを立ち上げたら、社内メールが来ていた。
チャットでも話かけられたが、私は忙しい。
始業時間になってすぐ、リーダーに声をかけられて会議室にこもり、トラブル対応の報告書のまとめと反省会をぶっ続けで昼までやっていた。
ようやく休憩が取れたとき、山本華からチャットが届いた。
「元気?倉木が連絡取りたいけど取れないって言ってきてるけどー」
「今日は休みって言って」
「休みじゃないじゃん。出社しているのは分かってるよ」
わが社の社員は、社内ネットワークで勤怠管理されている。
社内のネットワークにログインすると、出社していることが社員全員に把握される。リモートで作業する人もいるけれど、リモートか出社しているかの区別もできる。
共有のスケジューラに記載したスケジュールも、権限があれば読むことができる。
もちろん陸には、私のスケジュールはバレバレだ。
「今から休みにする」
「詳しくはランチで教えるように」
華の命令に、仕方なくランチを承諾する。
報告書を書き上げて上司に送り、内容確認を依頼した。
正式な報告会は後日開催されることになったので、午後は休みを取得してパソコンを閉じた。
華と2人で言ったのは、近くの和食の店。
ちょっとお高いが個室があり、会社の人はあまり来ない。
「で、何があった?」
昼定食を注文後、華がテーブルに乗り出してきた。
「出張から帰ったら、家に陸と白川さんが部屋にいた。抱き合っていた」
平静を装おうとしたが、声が震えるのがわかった。
「何それ」
華が目をつりあげて怒りの声を上げた。
「で、奴はなんて言い訳したの?」
「知らない。聞かなかった。疲れてたので、2人とも追い出した」
そう。私が追い出したんだよね。
陸は、何か言ってたっけ。
何か言っていたような気もするけど、思い出せないや。
「昨日の晩に、倉木の担当しているプロジェクトでトラブルが発生したって、佐藤が言ってたよ。それで、今、あっちは大変らしいけど。昨日は、こっちに来てたんだー」
「トラブルがあったのに、わざわざこちらに来てたの?」
何だそれ。トラブルほっぽって、浮気に来たとか?
「珍しく、倉木から私にチャットがあったので、喧嘩でもしたかなと思ったんだけど、なんだかな」
その後、定食を食べている最中に、佐藤と石田と原田夫からも、スマホに連絡があって、倉木から私に連絡を取りたいと言ってきた。
もう、同期全員じゃん。
何しているの。




