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33話

「そう言われると、何かその人達に申し訳ない気になって来ますね」

「私にカッコつけても無駄。だからと言って、貴方自身努力していない訳では無いでしょう? 与えられた血筋として堂々とすれば良い」


 別にそんなつもりで言った訳じゃないけど。


「まぁ、そうですね。あの程度の事を努力と言うのは恥ずかしいですけど」


 少なくともご飯を食べる時間もあれば、日に8時間寝ていた訳で、もっと凄い人達は寝る間も惜しんでいたと聞くし。


「私は口先だけで何もやらない男は何人も知っている。堂々としなさい」

「分かりました」


 アリアさんとの話が一旦落ち着いた所で、ルッカさんが此方に向かって歩いて来た。


「キース・クレッセント、返して貰うよ」


 ルッカさんは俺を睨みつけながら、何処か棘のある言い方をする。


「あ、ああ。待っててくれ、今分離させるから」


 俺はキース・クレッセントと合体状態のホールス・ソーラを分離させ、キース・クレッセントをルッカさんに手渡した。


「良いよねカイルは沢山の女の子にモテて!」


 ルッカさんはキース・クレッセントをひったくると、ツカツカツカと大き目の足音を立て立ち去った。


「ふーん? ボウヤも相変わらずねぇ?」


 何処からともなくセフィアさんの声が聞えた。


「セフィアさん!?」

「ウフフ。ルッカちゃん面白そうじゃなぁい?」

「面白いって? あんなツンケンしていて? 俺、心当たり無いんですけど」


 と言った瞬間、アリアさんから凍り付く様な視線が向けられた気がするが気のせいだろうか?


「いやー、若いって素晴らしいわねー。おねぇさんちょっと若い女の子とお茶を飲みたくなっちゃったわー」


 セフィアさんが妙にニヤニヤしているが、俺にはこの件の何が面白いのか全く分からない。


「お茶位別に飲めば良いんじゃないですか?」


 とセフィアさんに回答すれば、アリアさんが物凄い深いため息をついていたみたいだった。


「じゃ、行って来るわね」


 セフィアさんはルッカさんをお茶へ誘いに行ったみたいだった。


「ルミ」


 アリアさんは、ルミリナさんの肩をポンと叩いて。


「お姉ちゃん?」


「行くわよ」


 アリアさんは何だか物凄く呆れながら俺の元を立ち去ったのだった。

 この場に一人残された俺は、状況が理解出来ず暫く呆然と立ち尽くしたのであった。


―ルッカ視点―


「ルッカちゃん、お姉さんと一緒にお茶でもどう?」


 セフィアはまるで軟派な男が待ち行く女性に声をかけるかの様にルッカに声をかけた。


「セフィアさんですか? 構いませんよ、お茶なら私が淹れますから待っていて下さい」

「あら? 誘ったのは私だから私が淹れるわよ?」

「いえ、こういう事は誰かにやって貰うと気持ちが悪いですので、私がやります」

「そう、なら任せるわ」


 ルッカは給湯場に向かい、2人分のローズティーを淹れるとそれを持ち、セフィアが待つ席に行きセフィアの対面に座った。


「ありがとね」

「いえ、大した事じゃありません」


 ルッカが率無く返事をすると、セフィアは淹れたばかりで湯気の立ちこめるローズティーを一口啜った。


「今日はいい天気ね」

「ええ、そうですね」

「誰かを誘ってデートにでも行きたくなるわね」

「生憎私にはそんな暇はありません」


 セフィアの軽い話に対して、ルッカは間を置く事無く突っ返す。


「そう? 男と遊べるなんて若い内だけよ?」

「興味ありませんよ、私はカイルに負けていられませんから」


 ルッカの少しだけ語彙が強くなった。

 何か、カイルに対して引っかかる事があるのだろう。


「あら? カイル君と遊べば良いんじゃない?」

「そんな事、あんな奴と遊んでいる暇は私にはありませんから」

「ふーん? そう? そうなのー? カイル君、冒険者なのよねー」


 セフィアがクスッっと笑みを浮かべながら言う。

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