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30話

 アリアさんの言葉に対し怒りを覚えたダストさんが魔法の詠唱を始めるが、


「武力行使をするのでしたら私も黙りません」


 ルッセルさんが、抜刀し剣先をダストに向ける。


「チッ。おい、セリカ、エリザ、カミラ、とっととやれ!」


 ダストさんが、3人の女ウィザードに命令を下す、等に覚悟を決めているセリカさんは魔法陣の中へ一歩足へ踏み込もうとする。エリザさんとカミラさんは、やはり覚悟を決められず動く事もままならない。

 見かねたダストさんが彼女達に近付こうとする。

 このままでは3人が危ない!

 賢神の石は今度こそ俺の精神を支配すると言っていた。けど! 賢神の石がアリアさんの実力を知る訳が無い! 俺もアリアさんの実力を知らない! だけど! 俺が想像する以上に聖者のチカラがあるならば賢神の石の力を打ち破れる! 後は、足りない部分は俺が何とかすればいいだけだ! 俺だってザナッツ・レヴィンの子孫なんだ、やれない訳が無いッ!


「アリアさん! 俺も行きます!」

「来るな!」


 アリアさんが俺を一喝するが、


「俺だってザナッツ・レヴィンの子孫ですからっ!」


 俺はエリクさんを振り払い魔法陣に向け駆ける。

 言葉では俺を止められないと判断したアリアさんが、同じく魔法陣へと駆ける。


「お姉ちゃん!」


 ルミリナさんが、アリアさんを止めようと叫ぶが、


「すみません、聖者の子孫を同時に二人失う事は最大悪手です」

 

 ルミリナさんはエリクさんに肩を掴まれ止められてしまう。


「でもっ! カイルさんが!」

「これから起こる事は僕達が予測出来ない未知の出来事です。少なくとも、セリカさんの命が危うくなると言う事態が発生してしまった以上僕達に出来る事はアリアさんとカイルさんを信用して見届ける事しか出来ません」


 エリクさんに説得され、ルミリナさんは俺達を見届ける事にした。

 セリカさんが、魔法陣の中に一歩踏み込んだ。

 それと同時に、禍々しく鈍い光を放つ黒いオーラがセリカさんを包み込む!


「き、きゃああああああ!?!?!?!?」


 セリカさんがのけ反り頭を抱え苦悶の表情を浮かべ苦痛に耐えている。


「お、おい、大丈夫かセリカ? 魔法陣に魔力を吸われたか? 仕方ねぇよな? エリザ、カミラ、助けてやれよ?」


 ダストさんが、セリカさんに対してわざとらしく言う。


「邪魔だ、どけっ!」


 俺は、意を決し魔法陣の中に入ろうとするエリザさんを押しのけ魔法陣の中へと踏み込む。

 後は俺の精神力とアリアさんの聖者のチカラに託すしかないッ! それがどうした! やってやるぞ、こんちくしょうが!!!!


「どきなさい」


 アリアさんが、身体を震わせながらもゆっくりと立ち上がろうとするカミラさんの肩を上方から押さえつけ、彼女が立ち上がる事を阻止しながら魔法陣の中へと入る。


「ぐっ」


 魔法陣の中に踏み込んだ俺に対し、先程と同じ様に血が逆流する様な感覚が襲う。

 けれど、さっき俺が1人でこの魔法陣に踏み込んだ時よりも苦痛を感じない。

 アリアさんが持つ聖者のチカラだろうか? と言う事は賢神の石が言っていた事はブラフ? ならばこのまま俺の精神力さえあれば押し切れる!


「……」


 アリアさんは、苦悶の表情を浮かべる事無く瞳を閉じ意識を集中させている。


「ひ、ひゃああああ、精神が、精神がッ」


 だが、セリカさんは相変わらず苦痛に襲われている、一刻も早く彼女を魔法陣の外へ追い出さなければ!

 俺は魔法陣の中を1歩ずつ歩み、セリカさんに近付く。

 くっ、立ち止まっているだけなら耐えられると思ったが、歩くとなると物凄い精神に負担が掛かる、だが負ける訳には行かない! 目の前で人が死ぬなんて事あってはならないんだ! 俺は歯を食いしばり、精神を奮い立たせセリカさんの前に辿り着くと右手を突きだし、セリカさんを魔法陣の外へと突き飛ばす。


「きゃあああああ!?!?」


 俺に突き飛ばされたセリカさんはそのまま勢いよく吹っ飛び、壁に背中をぶつける事で制止しそのまま地面に崩れ落ち意識を失った。

 魔法の影響か!? 魔法陣の外へ押し出す位の力加減のつもりだったのだけど。


「ぐわああああっ!」


 セリカさんが魔法陣の外へ出たせいだろうか? 俺を襲っていた魔の力が強さを増した。

 だが、この状況下でもアリアさんは表情一つ変えていない。

 何かの詠唱が終わった? アリアさんが、右手を天高く上げると。


「悪しき魔の力よ、聖者アリナ・ルーツの名の元その力を開放なさい!」


 アリアさんの右手に白い光が集まる。

 アリアさんは、集まった光を地面に展開されている魔法陣に向け放った。


『チッ、聖者の血を引くものめ!』


 賢神の石の声だ。

 アリアさんの力がこの魔法陣の力を上回っているのだろう。

 アリアさんの力を受けた魔法陣は徐々に色を失い、最終的には消滅した。


「大丈夫ですか?」


 俺はアリアさんの元へ駆け寄り言葉をかける。

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