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9話 孤児院ブレイク②

 うぅ……。やっと意識が戻った。ここはいったいどこだ? ……赤ちゃん用のベットか? 何か分かんねぇけど、どうやらここで眠ってたみたいだな…………ってなんじゃこりゃあああああああああああああああ!!!


 驚いたことに、俺の腕には手錠がかけられていた。


(ウソだろ!? なんでこんなもんが俺の腕に……)



―ーガチャ



「やぁ、おはよう。目が覚めたかい?」


 マサトのやろうがぬけぬけと俺にあいさつをしてきやがった。


「おい、よくもこんなことしてくれたな! さっさとこれを外せ! テメェをシバキまわしてやる!!」


「手錠のことかい? ……やれやれ、悪いけどそれはできないよ。孤児院で暴れられたら困るし」


「おりぇが孤児院で暴れるワケねぇだろーが! ……たぶん」


「やれやれ、キミには困ったもんだ」


 ……なんかこいつの余裕しゃくしゃくの態度めちゃくちゃイライラするな。あとで絶対シバく。


「ってか、なんでそこまでしておりぇをここで生活させたいんだ?」


「なんでってそりゃ……スティアさんの頼みだから」


 バカ女の頼みだと!? あいつわざわざ余計なことしやがって……


「リュウト君も知ってると思うけど、スティアさんって基本的に誰かに頼ったりしないカッコいい人でしょ。そんな彼女が僕に直接頼みに来たんだ。……リュウト君、スティアさんに怒られるようなことしたの?」


「まあ、ちょっとだけ金は借りたけどな。へへッ」


 俺がそういうと、マサトは引きつったような笑みを浮かべた。


「と、とにかく、リュウト君にはここで生活してもらうよ。キミには特別な教育プログラムを組んであるから、楽しみにしてて。それじゃあまた後で」


「おい、まだ話は終わって……」


 ……行っちまった。でもまあ、俺を特別扱いしてくれるようだし、ここでの生活も悪くはねぇかもな へへッ。







 ……はやくここから脱獄しよう。もう耐えらんねぇ。午前中はずっとガキどもと一緒にお勉強、午後は草むしりやら掃除をさせられる。これの繰り返しだ。おまけに外出は一切禁止。シスターに抱きつくのも禁止。


 こんなストレスのたまる生活を1週間もやり続けていた。


 そんなある日、


「リュウト君、あなたに面会したいって人が来てるわよ」


「……分かった」


 俺は手錠をつけられたまま面会室に連れていかれた。


(ってか、これじゃあほぼ留置場じゃねーか!! 囚人か俺は!!)


 面会室ではスティアとシアナがイスに座って待っていた。もちろんガラス面越しで。


「……バカ女、ここ出たら覚えとけよ!」


「その様子だと、全く反省していないみたいね」


 やべっ、このままじゃまずい。なんとかこいつのキゲンを取らねぇと……

 

「い、いやぁ。その、わ、わるかった……です。だからここから出してく……ださい」


「あらあら~。急に礼儀正しくなっちゃって。まるで別人みたい。フフフッ」


 こいつ、調子に乗りやがって……。

 

「まあ、怖い。そんなに睨んでどうしたのかな? リュ、ウ、ト、ちゃ、ん。フフッ」



―ーブチッ



 俺の中でなにかがキレた。


「このバカ女が!!! ぜっっっっってぇぇぇぇぇぇ後で泣かせてやるから覚悟しとけや!」


「まったく……。シスター、1か月後にまた来ます。それまでこの子を厳しく教育してやってください。赤ちゃんだからって甘やかさなくて結構ですから」


「は、はい」


 バカ女はそういって颯爽と部屋を出て行ってしまった。


「リュ、リュート」


「あん? ……シアナか? なんか用か?」


「あ、あのね。スティアお姉ちゃん、リュートが孤児院に行ってからずっと寂しそうにしてるの。だからちゃんと反省しておうちに帰ってきてよ。私もリュートがいないと寂しいし……」


「おりぇは謝ったじゃねーか! それなのにあいつ、おりぇを煽りやがって」


「それはリュートがちゃんと反省してるか確認しただけだよ。もしリュートが怒らなかったらスティアお姉ちゃん連れて帰ってもいいかなって言ってたし……」


 そういうことだったのか。クソッ、あの女俺を試しやがったな。


「次来るときは怒っちゃダメだよ! 分かった?」


「ああ」


 俺が返事をすると、シアナは満足げに笑った。


「あっ、そういえば! リュート。何か欲しいものある? ここ差し入れしてもいいみたいだから欲しいものなんでも何でも言ってね」


「なに!? 差し入れだと!? だったら……」


「ただし、危険物の持ち込みは禁止だよ。あと、お金とかエッチなものとかも」


 チッ、マサトのやろうが会話の途中で混ざってきやがった。おまけに俺が変なことしないようわざわざご丁寧に忠告までして。


「分かったからお前はさっさとどっかに行け!」


「やれやれまったく……」


 マサトが消えたのを確認する。


「シアナ、ちょっと耳貸せ」


「え?」


「いいか? 俺が今から言うものを作って明日持ってきてくれ」


「う、うん」


 俺は他の奴らに聞こえないよう、小声で耳打ちする。


「ええっ!? それは……」


「シッー!! 声がデケェ! あと、アレも持ってきてくれ……。いいか、スティアにバレないように持ってこいよ。バレたら殺されちまうから」


「わ、分かった」


 俺はシアナに別れを告げ、午後の作業へと戻った。

※次は明日の18時20分ごろに第10話を投稿します。


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