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6話 復讐REVENGE①

 朝になって3人で朝飯を食おうとしたとき、バカ女がまた説教を始めやがった。


「だいたい、リュウトはなんで……」


 ったく、これじゃあせっかくのミルクが台無しになっちまうじゃねーか。俺は話を聞かずにミルクをがぶ飲みする。


「……ねえ、話を聞いているの?」


「聞いてねぇ」


「まったく……」


 そういってバカ女は頭を抱えてため息を吐いた。へへッ、俺の勝ちだな。


 同意を得ようとふとシアナの方を見ると、まったく飯を食っていないことに気づいた。


「おい、シアナ。おめぇメシ食わねーのか?」


「え? いや、その。私なんかが食べていいのかなって……」


 ん? どういうことだ? 俺は続きを話すようシアナを促す。


「だって私、奴隷にされてからまともなご飯食べられてなくて……。それなのにこんなに豪華な料理を私なんかが食べてもいいのかなって……」


 そんなこと考えてたのかこいつ……。まったくアホなガキだな。


「今までつらかったんだね。でも今は遠慮しなくていい。好きなだけ食べていいからね」


 そういうとバカ女は泣きそうになっているシアナの頭を優しくなではじめた。


 ……ケッ、バカ女のクセになに母親っぽいしてんだよ。


「でもまぁ、バカ女の言う通りだ。ガキは余計な気を使わなくていいんだよ。好きなだけ甘えとけ。それとなシアナ、お前に一つ教えといてやる。メシってのは幸せそのものなんだ。メシを食うと幸せになるだろ。だからメシは食えるうちにたらふくくっといたほうがいいぞ」


「う、うん! 分かった! いっぱい食べる!」


 シアナは返事をすると、イヌみてぇにメシにがっつき始めた。


「……なんだかんだ言ってリュウトは優しいね。私にもその優しさを向けてくれればもっといいんだけどなぁ……」


「優しさが欲しいんならくれてやるよ。おまえの体に直接な! ヘッヘッへヘへッ」


「……全然笑えないんですけど」






 メシを食い終わった後、俺とシアナは警備隊本部に連れていかれることになった。どうやら俺とシアナの親を捜索してくれるらしい。


 そして今、そこに向かっている途中だった。


「父さん、あいつどうなったのかな?」


「さぁ、どうだろうな? とっくにもう野垂れ死んでるじゃないか? ハハハッ」


 俺をボコボコにしたおっさんとクソガキとすれ違った。


(な!? アイツら俺が苦労したのにも関わらずのんきに過ごしやがって!! ぜってぇ許せねぇ!! シバキ回してやる!!!)


 俺はバカ女の背中から飛び降りた。


「えっ!? ちょっとリュウト! どこ行くの? 待ちなさい!」


 俺を呼ぶ声がしたが気にしちゃいられねぇ。俺は2人をまいて奴らの追跡をはじめた。







 奴らの後を追ってなんとかあいつらの屋敷の前に到着することができた。俺は近くの建物に身を隠し、様子を見ることにした。


 それにしても、ケッコーデケェ家だな。庭にプールまでありやがる。屋根には煙突があるな。それと厄介な門番が二人もいるときた。クソッ、どうやって忍び込めばいいんだ……。


「リュート……」


 誰だ!? 声に反応して振りむくと、そこにはシアナがいた。


「な、なんでお前がいるんだ?」


「リュートの足音を聞いてたどってきた。エヘヘッ、実は私耳がいいんだよ」


 チッ、最悪だ。


「……あのバカ女はどうした? 見たところどこにもいないようだが」


「スティアお姉ちゃんはいないよ。2手に分かれてリュートを探してたから」


 よし、アイツにばれていないなら問題ない。アイツがいたら間違いなくジャマされるからな。


「リュート、はやくスティアお姉ちゃんのとこに戻ろう」


「イヤだ。おりぇは戻らん。おりぇにはやることがあるんだ」


「やることって?」


 ……こいつを巻き込むワケにはいかねぇし、テキトーにウソついてごまかすか。


「……さ、散歩だ」


「それウソだよね。次ウソついたらスティアお姉ちゃんに言いつけちゃうから」


 なっ!? こいつ俺を脅しやがった……。


 ……しかたねぇ、全部話してこいつに黙っておいてもらうしかないか。






「……これがおりぇがやりたいことだ。だからお前はさっさと帰って……」


「私も協力する!」


「なっ!? ダメに決まってんだろ! 危険すぎるわボケ!」


「わ、私はリュートに助けてもらった恩があるから、その恩を返したいの。それに、リュートにそんなひどいことした人許せないもん!」


「あのなぁ……気持ちはありがてぇが……」


「もし協力させなかったら、このこと全部スティアさんに言いつけちゃうから」


 なんだと!? ……ケッ、なにが恩を返すだ。これじゃあほとんど恩をあだで返してるようなもんじゃねーか!


「……しかたねぇ、分かったよ。だがな、アイツらをボコボコにすんのはおりぇだ! そこんとこはちゃんとわきまえとけよ」


「うん!」


 でもまあ、ガキとはいえ協力者がいることはありがてぇ。これで作戦もたてやすくなったのはよかった。……さて、まずはどうやってこの屋敷に潜入するか? シアナに門番の注意を引き留めてもらってる間に俺が侵入するか? いや、他にもっといい案が……


「リュート……」


「うるせぇ。少し黙っててくれ。今屋敷に侵入する作戦を考えてんだから」


「そのことなんだけど、私にいい作戦があるの」

次は23時10分に第7話を投稿します。


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