表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/28

4話 奴隷少女

 なげぇ階段を降り、俺はやっと地下にある奴隷商店にたどり着いた。


「おーい、てんちょーはいるか!?」


 声をかけると、奥からバタバタと足音を立てながら小太りのおっさんが出てきた。


「いらっしゃいませ……。って、あれ? お客さんはどこに……」


「ここだよここ! 下をみろボケカス!!」


「下って? ……ええっ!? な、な、なんで赤ん坊がこんなところに……、っていうかなんでしゃべれてるんだ!?」


 チッ、どいつもこいつも同じようなリアクションばっかりしやがって。


「んなこたぁどうだっていいんだよ!! それより、ここは奴隷をみれるんだよなぁ?」


「え、ええ。まぁ、そうですね」


「だったらさっさとおりぇに奴隷を見せろやゴラァ!!」


「は、はい!? ……ったく、なんて口の悪い赤ん坊なんだ」


「あ? 今なんか言ったか?」


「い、いえ、なにも。ささ、案内いたしますのでぜひこちらに」


 チッ、段取りの悪いおっさんだな。イライラするぜ。


「それで、あの、どのような奴隷をお望みで?」


「ゴリゴリのマッチョでケンカの強い奴だ」


「わ、わかりました……」


 おっさんの案内に従い、俺はゆっくりと後をついていった。






「この奴隷なんですが、いかかでしょう?」


 うん。悪くねぇな。色黒でゴリラみたいにムッキムキだし、こいつなら役立ってくれそうだ。


「いいじゃねーか。気に入った」


「それは良かったです。それでお値段の方ですが……」


「は? 値段? 何言ってんだ? こいつをタダで貸してくれんじゃねーのかよ!?」


「な、なにを言ってるんですか!? そんなわけないでしょう! ちゃんとお金を支払って購入してもらいますよ」


「ちょっとくらいいいじゃねーか! 1日借りたらすぐ返すからよ! ほら、あれだ、レンタルだ。レンタルするだけだよ。だからタダでいいだろ」


「……ふざけんじゃねーぞこのクソ赤ん坊が!! 客だと思って下手に出てりゃ調子に乗りやがって!! 金がねぇーならとっとと出てけ!」


 は? 急にブチ切れやがった。このおっさんカルシウム足りてねーんじゃねーか? ってか、このままじゃ追い返されちまうな。せっかくここまで来たのに。……しかたねぇ、金払うしかねーか。


「チッ、いくら出せばいいんだ?」


「……2000万ベイビだ」


 ……ベイビって何だ? 外国の通貨か? まあ、こまけぇこといちいち気にしててもしょうがねぇ。


 俺はバカ女からかすめ取ったサイフをおっさんに渡した。


「これで足りるだろ。さっさとこいつを渡せ」


「ちょっと待って! 今確認するから。……って、お前これ5万ベイビしかねーじゃねーか! これじゃあ売れねーな」


 なに!? チッ、これ以上金はねぇのに……


「……5万にまけてくれ」


「ムリだ。……悪いね赤ん坊。さっさとママの所に帰りな」


 は? 俺がここまでお願いしてるっていうのに、なんてワガママなヤローなんだ。こんな人間がいるなんて信じられねぇな。


「だったら俺の金で買える奴隷をさっさとだせやゴラァ!!」


「……とんでもない赤ん坊だな。にしても5万ベイビで買える奴隷か……、そうなると、もうあいつくらいしかいねぇな」


 そう言っておっさんは一人で店の奥に消えていった。





 しばらく待っていると、首輪をつけたガキを連れておっさんが戻ってきた。


「赤ん坊。こいつがお前でも買える奴隷だ」


 ……こいつは買えねぇな。こんなガキに復讐を手伝わせるわけにはいかない。しかも男だったらまだしも、こいつ女じゃねーか。戦闘の役にはたたねぇだろうな。


 それにしてもこのガキ、猫みてぇな耳を頭につけてやがる。コスプレってやつか? しかも髪の毛も茶色に染めて水色のカラコンまで入れてやがる。こいつ、ろくでもねぇークソガキだな。


「よぅ、おりぇはサカグチ・リュウトだ。お前、なかなかやべぇガキだな。まあ、こんな成金みたいなクソデブに育てられてガキもぐれちまうか。へへッ」


「誰が成金みたいなクソデブだ!!」


「あ、赤ちゃんがしゃべった!?」


 ったく、クソガキにまで赤ちゃん呼びされるとか。何だかむなしく……



――プ二ッ



「えへへ、モチモチだ」


 ……こいつ、おれの許可なくほっぺたつつきやがって。イカれてやがる……


「ったく、あんま触るんじゃ……」



――ドカッ



「きゃあ!?」


 目のまえで起こったことが信じられなかった。このおっさん、クソガキを蹴り飛ばしやがった。



――ドカッ、ドカッ、ドカッ



「奴隷の、分際で、お客様に、触るじゃ、ねーよ!!」


「ごめんなさ……、イタッ! ……も、もぉ許して下さい」


「許すわけねぇだろこのクソ奴隷が!! ……ったく! すまねぇーな、赤ん坊。どうか許して……」



―ードガッ



「グ八ッ!?」


 俺はなんのためらいもなく、おっさんの顔面に力いっぱい拳を叩き込んだ。


 なんか分かんねぇけど、このおっさんのやったことを見過ごすことができなかった。


「クズが。ガキ相手に暴力ふるってんじゃねーよ!!!」


 

―ードカッ、バキ、ドカッ、ボキッ、ドカッ、ドコッ……



 しばらくの間、倒れたおっさんを気絶するまでタコ殴りにした。

次は20時10分に第5話を投稿します。

ブックマーク・評価・感想をしていただけると嬉しく思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ