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3話 お巡り隊長スティア

 結局、俺はおんぶされて外に出ることになった。……それにしてもここはいったいどこなんだ? 高層ビルがひとつもねーし、外国みたいな建物ばっかりだ。


「……なぁ、ここは日本じゃねーのか?」


「日本? 何言ってるの? ここはベイビース王国……って、赤ちゃんだし知らなくて当然か」


 チッ、バカ女のクセにいちいち俺を赤ちゃん扱いしやがって。



―ードカッ



 イライラしたから軽く背中にけりを入れてやった。


「いたっ!? ……ちょっと、なにするのよ!」


「うるせぇ。さっさと歩けバカ女」


「なっ!? あのね、私はバカ女じゃなくて……」

 

「あら、スティア警備隊長じゃないですか? どうしたんですかその赤ちゃん?」


 俺たちが言い合いをしている途中、バカ女と同じカッコウをしたカップルに話しかけられた。なんだこいつら? バカ女の知り合いかなんかか?


「ああ、いや、この子はだな……」


「もしかして隊長のお子さんですか!」


「いや、ちが……」


「いやいや、ミラン。そんなわけねーだろ。隊長に彼氏なんているわけないだろ」


「そういえばそうよね。愛嬌もないし男も寄り付かなさそうだし。ウフフ、勘違いしちゃってごめんなさい」


 なんだこいつら? なんかムカつくな……


「……そうだな。それよりいつまで私とおしゃべりするつもりだ? そんな暇があるならさっさと街の警備に戻れ!!」


「キャア―。ちょーこわいんですけど……」


「大丈夫だよミラン。僕が守ってあげるからね。……隊長、なんでミランを怒鳴りつけるんですか? ミランの可愛さに嫉妬したからって彼女をいじめるのはやめてください! ……いこうかミラン」


 そういってカスカップルどもはどこかにいっちまった。まったく、とんでもないやつらだったぜ……


「へへッ、お前、ずいぶんと嫌われてんじゃねーか」


「……そうだな」


 あっ、これマジで落ち込んでやがる。こうなると女はめんどくせぇからな。仕方ねぇー、フォローしてやるか。


「ったく、心配すんな。今度あいつらにからまれたらおりぇがシバキたおしてやるから」


「……いいんだ。私が嫌われているのは重々承知している。街の治安維持のためとはいえ、普段から厳しく接しすぎてるから悪いんだろうな」


 ったく、どこに行っても人間関係のトラブルってのはあるもんだな。


「おりぇはお前が悪いとは思わねぇよ」


「えっ?」


「お前は街の平和のためにあいつらに厳しく接してんだろ。だったらいいじゃねーか。あんなゴミ共の戯言、いちいち気にしてウジウジすんじゃねぇーよ! もっと堂々としてろや!」


「ッ!? …………そ、そうだね。……うん、そうする」


 ちょっ、こいつ泣き出しやがった!? ……ったく、怒ったり落ち込んだ泣いたり忙しい女だな。


 クソめんどくさかったが、俺はこいつが泣き止むまで背中をさすってやった。







「……もう平気か?」


「うん。……ごめんね、情けないところを見せちゃって」


「気にすんな。女の涙はみなれてる」


「フフッ、なにそれ? ……リュウトはとんでもない女たらしだね。大人になったらきっとモテモテになるよ」


「当たり前だ! それよりさっさと街案内しろバカ女」


「なっ!? だぁーかぁーら、私はバカ女じゃなくてスティア! ちゃんと名前で呼んで!」


「そうか。分かった。それじゃあ出発しろバカ女」



―ーボカッ



 なぜか頭を殴られた。……この女イカれてやがる。



―ードカッ



 ムカついたから蹴り返してやった。


「いたっ!?」


「へへッ、ざまぁーねーな」 


「……さっきの言葉取り消す。君は絶対モテない。もっと女性には優しくするべきだよ」


「はぁ!? テメェ、さっきから言わせておけば……」



―――ガジャーー―ン


 

 ……ガラスが割れた音か?


 音がした方を振り向くと、路地裏で二人のおっさんがケンカを始めていた。


「ぶち殺してやんぞテメェ!!」


「上等だ。返り討ちにしてやんよ!!」


 へへッ、なかなか荒れてんな。面白そうなバトルじゃねーか。


「よし、俺もちょっくら参戦して……」


「あなたたち何をしてるんですか!? 警備隊の命令です! 今すぐケンカをやめなさい!!」


 なっ!? ……クソ、バカ女がケンカを止めに行っちまった。


 あーあ、取っ組み合いになっちまってる。ありゃしばらく終わりそうもないな。……よし、バカ女はほっといて一人で街探検でもしてみっか。








 ……クソ、さっきから妙に視線を感じる。まあ、当然か。俺みたいな赤ちゃんが一人でうろついてたらそりゃみんな見るわな。


「チッ、ちょっと裏道行くか」


 俺は大通りをぬけ、路地裏に入り込んだ。そこはめちゃくちゃ汚れていて臭いもひどかった。


「こんなとこ入るんじゃなかったな。さっさと出直し……」


 ある看板が目に入った。


「奴隷商店……」


 奴隷か。奴隷ってあれだろ。手下みたいなもんだっけか? ……ちょうどいい。俺を捨てたおっさんとクソガキをシバキ倒すのに仲間が欲しかったところだ。よさげなやつがいたら協力してもらおう。


次は19時10分ごろに第4話を投稿します。

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