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18話 俺の女は渡さねぇ③

 元の姿で戦えるのは10分だけ。


 長期戦をするわけにはいかねぇし、ここは危険覚悟で突っ込むしかないか!


「シアナ、アレ持ってきてるか?」


「う、うん。今投げ込むからちゃんと受け取ってね!」


 シアナに投げ込まれた荷物を受け取り、戦闘の準備を開始する。


「リュウト君。それはいったいなんだい?」


「教えるワケねぇーだろバーカ! そんなに知りたきゃ身をもって知るんだな!!」


 メリケンサックを装着し、俺は全速力でナオミチに近づく。


(やっぱり俺の身体だけあって、めちゃくちゃ動きやすいな)


 筋肉もあるから多少の踏ん張りがきくし、これならなんとか戦える。 


 姿勢を低く保ちながらナオミチの行動をうかがう。


 だがやつが何か仕掛けてくる様子はなかった。……舐められたもんだぜ。今からテメェの腹に俺の拳を叩き込んでやるよ! 狙うはみぞおちだ。ここにあてさえすりゃ息も出来なくなって魔法も打てなくなるだろうからな。


 ナオミチの懐に入り込み、腕を引く。


(それにしてもこいつ、なんでさっきから逃げようとも戦おうともしねぇんだ? まぁ、そんなのどうでもいいか。ビビって動けなくなってるだけだろ)


 そして素早く拳を放つ。


「大人しく眠っとけやナオミチ!!!」



ーーギンッッ



 …………なにっ!?


 なんかよくわかんねぇけど、見えない壁みたいなので俺の拳が防がれた。


 クソッ、いったい何なんだこれは!?


「これのことが気になるかい?」


「……ヘッ、興味ねぇーな。それに見当もつく。どうせお前のインチキ魔法なんだろう?」


「残念ハズレ。これは僕の固有スキル『オート防御』によるものなんだ。だからキミの攻撃は一切僕には当たらないよ」


 なるほどな。俺の変身スキルみてぇに、こいつもスキルを持ってるってことか。……厄介なモンもってやがる。


「仕方ねぇ。だったらこの見えない壁をぶっ壊さねぇとな!!」



 ガンッッ、ガンッッ、ガンッッ、ガンッッ……



 ……いくらぶん殴っても来られる気配がしねぇな。ただただ俺のメリケンサックが傷ついているだけだ。


「やれやれまったく。キミみたいな野蛮な人にはわからないかもしれないけど、僕にはこの神様に与えられた最強のスキルがあるんだ。無駄なことはやめておいたほうがいいと思うんだけど」


「フッ、神様に与えられた特別なスキルねぇ。自分で得たスキルでもないくせによくそんな威張れるな」


「……え?」


「スキルってのは自分で得て意味があるモンなんだよ。与えられて喜んでるようじゃ、デメェはまだまだガキのまんまだ。そんな奴に俺がケンカで負けるワケねぇんだよ!!」


「……キミうるさいね。もう相手するのも面倒だし始末してあげるよ。ーーサンダーストーム!!」


 激しい雷が俺に向かってとんでくる。


 これは避けられねぇし、喰らうしかねぇか……



「グァアアアアアアアアアアアア!!!」



 思わず叫び声を上げてしまう。


 この俺でも我慢できないくらい体中に激しい痛みが襲ってきた。少し前にスタンガンで電撃を食らったこともあるが、そんなのの比じゃねぇ!


 ってか、これはやべぇ! これ耐えられるか……




 

「……ハァ、ハァ、……ハァ、ハァ」


「へぇ、この攻撃に耐えられるんだ。リュウト君すごいね」


 フラフラの状態にはなったが、何とか耐えきることが出来た。


 だけど手足のしびれがひでぇし、もう派手に動き回ることはできねぇな。やるなら一撃で仕留めるしかねぇ。


「もうキミは戦える状態じゃない。早く降参してくれないか?」


「……勝手に決めつけんな! 俺が戦えるかどうかは俺にしか分かんねぇんだからよ!」


「なんで諦めないのかな? さっきの魔法で僕とキミとの格の違いが分かったでしょ? キミに勝ち目なんてないんだよ」


「ヘへッ、そうだな。神様にもらったスキルと魔法。神様におんぶにだっこしてもらってるお前の格なんかたかが知れてる。……悪い。俺、頭悪くて気づかなかったわ」


「ッ!? ……その反抗的な態度。気に入らないな! サッサと僕に平伏しろよ!!ーーサンダーストーム!!」


 ヘッ、やっと本性みせやがった。出会った時からスカした態度とっててムカついたが、これですっきりした。


 いや、今はそんなことどうでもいいか。


 この雷。次喰らったらもうダメだろうな。なんとか避けねぇと。


 だけど身体が微塵も動かねぇ。



「リュートよけて!!」「リュウトさん避けてください!!」


 

 クソガキたちの声が鮮明に聞こえる。


 ……悪いな。


 

 強がっては見たが、俺はもうだめかもしれねぇ。




「リュウト!!!」



 ……スティアの声まで聞こえてきやがった。


 っていうか俺、なんでこんなボロボロになってまで戦って……


 

「ッ!?」



 失いかけてた意識が戻る。


 すかさず俺は脚に力を加え、何とか横に飛び込んだ。……そのおかげでなんとかあの雷をかわすことが出来た。


(助かった。あいつらの呼びかけがなかったら今頃やられてたな)


 ふとシアナたちを見ると、2人ともなぜか泣きじゃくっていた。


「ったく、オメェらなに全員泣いてんだよ」


「ッ!? リュート無事みたいだよ!」


「リュウトさん、無事でほんとによかった……」


「フン、俺が勝つに決まってんだから心配すんじゃねぇよ! もっと明るく俺を応援してろや!」


「う、うん!」「はい!」




「……もぉ。心配させないでよ」


 スティアまで泣いてやがる。そんなに俺は心配かけちまったのか……って、こんな状態じゃ誰だって心配もするか。


「悪いな。だけど安心しろ。スティアをあの男になんてやらねぇから。俺がお前を守ってやっから」


「ッ!? ……フフッ。なにそれ? カッコつけないでよ。赤ちゃんのクセに」


「今は赤ちゃんじゃねぇだろ!!」


「アハハッ、確かにそうだね。……じゃあ続き頑張ってね。期待しないで応援してあげるから」


 フンッ、審判のクセにひいきしてんじゃねーよ。


 スティアとの会話を切り上げ、ナオミチに再び視線を向ける。


「……おしゃべりは終わったかい?」


「おう、待っててくれてありがとな。それとよナオミチ。お前に言っとかなきゃいけねぇことがあったわ」






「俺の女は渡さねぇ!!!」


次は10月24日の15時10分ごろに第19話を投稿します。

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