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15話 おりぇ(俺)専用のメリケンサック

 街へ戻った後、ナオミチたちはギルドに報告に追ってしまい、その結果俺は幼女を誘拐した性犯罪者として指名手配されちまった。


(クソッ、街中に手配書貼られちまってる。にしても、手配書の俺の顔めっちゃ人相悪いのが腹立つ! おまけに懸賞金までかけやがって! ……元はといえば、このクソガキシスターがウソつくからこんなことになったんじゃねーか!)


 恨みを晴らすべく、俺はクソガキシスターの頬を強く引っ張った。


「な、何するんふぇすか!? い、いたいですよ……」


「うるせぇ! テメェのせいでおりぇがこんな目にあったんだろうが! さて、どう落とし前を付けてもらおうかぁ?」



―ーボコッッ



 突然頭に激痛が走った。


 チッ、この痛みを何度味わったことか……


「バカ女……」


「マリアちゃんに何してるの? 女の子相手に暴力を振ることは私が許さないから」


「こいつが調子こいたことするから……」


「言い訳は聞きません! 全部リュウトが悪い!」


 なっ!? こいつマジで……


 っていうか、なんでこいつ俺にだけ厳しいんだよ?


「まぁ、リュウトはどうでもいいや。……それより2人とも大丈夫? 変態に誘拐されたって聞いたけど変なことされてない? ギルドから誘拐のこと聞いてすっごく心配したんだから!」


「ええ、問題ありません」


「それなら良かった。シアナは大丈夫? あの変態に何かされてない?」


「う、うん。……あ、あのね、スティアお姉ちゃん。実はあの変態さんのことなんだけど……」


「え!? 何か知っていることがあるの!? それなら教えて!! 絶対捕まえてあげるから!」


「あの変態さん……実はリュートなんだよ!」


 一瞬部屋の中が静まり返ったのを感じた。


「…………え? どういうこと?」






「……つまり、スキルで変身したリュウトをマリアちゃんがいたずらで変体あつかいしたってこと?」


「だから最初からそう言ってんじゃねーか! それなのにお前が全く話を聞かないから」


「だって……いや、これは私が悪いね。ごめんねリュウト。話も聞かず疑ったりしちゃって」


 ったく、ようやくまともに話を聞くようになったか。


 それにしても、さっきから散々な目にあってばっかりだ。


「……それとマリアちゃん。あなたには少しお説教が必要そうね」


「あっ……そ、その、私もう孤児院に戻らなくっちゃいけませんので今日の所は……」


「良いからここに座りなさい!!!」


「は、はい……」


 へへッ、ざまぁねーぜ。


 この後クソガキシスターはたっぷり1時間は説教をされていた。






 マリアへの説教が終わった後、話は俺たちの今後の活動についての話になった。どうやら今回の一件で、バカ女は子供だけでクエストをさせることを躊躇しちまったようだ。


「今回はただの勘違いだったけど、次は本当に誘拐されるって可能性も十分考えられる……」


「大丈夫だ! おりぇがこいつら守ってやっから。安心しとけ!」


「赤ちゃんが何言ってるの…… そうねぇ。今後もギルドでクエストをやるっていうなら、あなたたちも自衛ができるよう武器を買ってあげた方がいいのかな?」


 武器だと!? その言葉を聞き、久しぶりに心が高鳴った。


「武器買ってくれるのか! だったらおりぇにはメリケンサックを買ってくれ! アレがあれば百人力だ!! どんなバケモンもぶっ倒してやる!」


「メリケンサック? なにそれ?」


 は? メリケンサック知らねぇのか? ……ってそうか。ここは日本じゃねーみたいだし、知らなくて当然か。


「なんていうか、鉄でできた手袋みたいなもんだ。それを拳にハメるだけで打撃力が上がるんだぜ!」


「そ、そう……。シアナちゃんとマリアちゃんは何か欲しい武器はある?」


「わ、私は短剣がいいな」


「……杖をお願いします。スティア様」


「分かった。それじゃあ私がいつも剣を作ってもらっている武器屋に行きましょう。そこならみんなの希望の武器も買えるはず!」


 俺たちはさっそく武器屋へと出かけた。






 バカ女の言っていた武器屋に行ってみると、そこはおんぼろの一軒家だった。武器屋の看板はどこにもなく、はたから見れば何の店かも分からねぇ。


「おい、本当にここであってんのか? ぜってぇやべぇ店だろ」


「大丈夫! 建物はちょっとアレだけど店主の腕は確かだから」


 中に入ると仲は意外ときれいだった。


 剣や盾、弓、槍なんかのいろんな武器が部屋中に飾られていた。


 そして奥では筋肉質なおっさんが剣を作っていた。だが、作業に集中しているようで俺たちが来店していることには築いていないようだった。


「カンゾウさん、今大丈夫ですか?」


「……ん? 誰だ……って、スティアちゃんか。久しぶりだな。新しく剣でも作りに来たのかい?」


「いいえ。今日来たのはこの子たちに武器を作ってもらおうと思って」


 おっさんの視線が俺たちの方に向く。


 しかし俺を見た瞬間、露骨に不満そうな表情をした。


「女の子たちはともかく、赤ん坊にあう武器なんかない。そもそも赤ん坊には武器なんか必要ないだろ」


「いや、あのね、この赤ちゃんは……」


「おいおっさん、勝手に決めつけんじゃねーぞ! さっさと武器作ってくれよ!」


 俺がしゃべるとおっさんはひどく驚きだした。


 ……もうこの反応されるのにも慣れてきたな。

 

「……驚いたな。赤ん坊が喋れるなんて」


「うるせぇ! いいからさっさとおりぇにメリケンサック作ってくれよ! 今のおりぇのサイズに合うやつをな。……あっ、そうだ! 大人用のやつもセットで作ってくれ!」


「ちょっと待て! いっぺんに言わんでくれ。そもそもそのメリケンサック? それは一体何なんだ?」


「おっさんも知らねぇのか。仕方ねぇ」


 俺はメリケンサックの絵を描き、おっさんにどんな武器なのかを説明した。するとおっさんは非常に興味を持ったらしく、目をキラキラ輝かせていた。


「……面白そうな武器だな」


「作れそうか?」


「ああ。さっそく製作に取り掛からせてもらう! 寸法を確認するから奥の部屋に来てくれ。待ってる間にお嬢ちゃんたちは店の中にある武器でほしいものがあったら選んでくれ」


「は、はい!」


 こうして俺たちは自分専用の武器を手に入れることが出来た。

※次は10月17日の15時20分ごろに第16話を投稿します。


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