14話 初対面! 冒険者・ナオミチと連れのクソ女ども
「よし、これでようやく終わった」
「す、すごい……あんな大勢のゴブリンたちをここまで圧倒するなんて……」
「リュート、すっごく強いんだね!」
へへッ、こいつらもようやく俺のスゴさに気が付いたか。
にしても、やっぱり自分の身体ってのはいいもんだな! 赤ちゃんボディじゃリーチが短すぎて思うように攻撃できなかったが、この身体なら思うがままに動かせる!
こんなに気持ちいいバトルをしたのは久しぶりだ。なかなかいい運動になった。
「……それより、はやく下を隠してください! あの、その、アレが丸見えなので……」
「ん? そういえばそうだったな。へへッ、ガキんちょどもにはちょーと刺激が強すぎるもんな。へッへッへへッへへッ」
「もぉ~!! 笑いごとじゃ……」
ん? なんだ?
2人とも突然黙り込んじまって。それになぜか顔が真っ青になっている。
「ん? どうしたんだお前ら?」
「リュ、リュート。う、うしろ……」
うしろ? ……なんか嫌な予感がする。
「グゥアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
「キ、キングゴブリン!?」
「な、なんでこんなところに……」
「おいおい、マジか……」
このゴブリン俺よりめちゃくちゃデケェ。ほぼ巨人じゃねーか!
おまけに取り巻きのゴブリンも30体以上いるし。
……こいつはまずいな。
俺はシアナとマリアを抱きかかえ、急いで逃走した。
「ちょ、ちょっと、リュウトさん!?」
「リュート、あのゴブリンたちもやっつけてよ!」
「うるせぇ! あんな奴ら相手にできるワケねぇだろ! 今はとにかく逃げるんだ!」
俺は全速力で森の中を走る。
だが、やつらの方が足が速く距離をグングン詰められていた。
「リュ、リュート! このままじゃ追いつかれちゃうよ!! もっと速く走って!!」
「……ムチャいうんじゃねーよ! クソ、どうしたもんか」
状況を何とか打開するため、あたりを見渡す。
「あっ、リュウトさん。前に冒険者パーティがいますよ!」
「ホントか!?」
男1人と女3人。4人組の冒険者たちか。
正直全員頼りなさそうだが、この際仕方ない。
「おーい! 助けてくれー!」
俺は大声で助けを求めた。
すると女の一人が俺の声に気づいて……
「きゃあああああああ!! 幼女を抱えた変態がこっちに来る!!」
なっ!? クソ、この俺を変体呼ばわりしやがって!
「んなこたぁどうだっていいんだよ!! 誰でもいいから後ろのバケモノをなんとかくれ!!」
「……やれやれ仕方ないな。メンドウごとにはかかわりたくないんだけど」
男は持っていた杖をバケモノの方に向けた。
「サンダーボール」
そう唱えた瞬間、杖から激しい雷撃が飛び出し奴らは一瞬で粉々になった。
「ワリィな。助かっ……」
男にお礼を言おうとした瞬間、
「ナオミチ様お見事です!! 大量のゴブリンたちを一瞬で討伐してしまうなんて!」
「いったいどんな魔法を使ったんでしょうか?」
「僕が使ったのはただの初級魔法だよ。ちょっと牽制するだけのつもりだったんだけど、まさかあそこまで威力が出るとは思わなかった」
「初級魔法ですか!? 初級魔法であれほどの威力を出せるのはナオミチ様だけですよ!!」
「やれやれ、大したことはしていないんだけどな……」
連れの女たちが強引に俺を押しのけ、ナオミチとかいう男をほめちぎり始めた。
あまりの勢いに俺たちは会話に入ることが出来なかった。
しばらく待っていると、ナオミチの方から俺に話しかけてきた。
「ところで、キミたちは森の中でいったい何をしていたんだ?」
「あ? 俺たちはただ……」
「ナオミチ様! この人は間違いなく変態ですよ! 森の中で幼女二人とその……いやらしいことをしていたに違いありません!」
「何と汚らわしい……」
おい、なに勝手に変な想像してんだ!
それにしても、なんなんだこのクズ女どもは。
俺とナオミチで露骨に態度変えやがって!
「全然違う! お前ら2人も何とか言って……」
何とか誤解を解こうとシアナたちに助けを求めた。
が、なぜかマリアがニヤニヤしていた。その悪魔みたいな笑顔を見て分かった。
(こいつ、この状況を楽しんでやがる……)
それと同時に、このあと起こる最悪のシナリオが頭に浮かんだ。
ま、まさかこいつ……
「冒険者の皆さん! 助けてください!」
……やっぱりそうだ。こいつホントいかれてる。手で顔を覆っているから表情はわかんねぇーけど、きっとニタニタ笑ってんだろーなクソが!!
「ッ!? その手を放せ! お前みたいなクズは僕が処刑してやる!」
あーあ。誤解されちまったじゃねーか。このクソガキアホシスターが! 後で絶対シバキ倒してやる!!!
「おい、誤解してるぞ。俺はな……」
「ファイアーボール!」
ゲッ!? こいつ俺の顔面に魔法うってきやがった!!
やべっ、これ避けらんねぇ……
―ーボワンッッ
死を覚悟した瞬間、突然俺の身体から大量に煙が出てきた。それと同時に俺の身体がぐんぐん縮んでいっているのを感じた。
なんでいきなり……って、そっか。もう10分経っちまったのか。
ったく、不便なスキルだぜ!
まぁでも、そのおかげであの魔法もかわすことが出来たし結果オーライか……
「み、みんな大丈夫か!?」
ナオミチが煙を払い、みえなくなった視界が徐々に戻ってきた。
「は、はい。……ですが、あの全裸の男はどこかに逃げてしまったようです」
「そうか。……もし今度会ったら必ずあの変態を捕まえよう! そうだ! ギルドにも変態が出たってって報告しないと。女の子2人を連れていったん街に戻るか」
「あ、あの、ナオミチ様……」
「どうした?」
「あの、その、なぜか赤ちゃんがいるんですけど……」
「なんだって!? ……あの変態は赤ちゃんまで誘拐していたのか。本当に最悪な男だ。……分かった。その赤ちゃんも一緒に連れて帰ろう」
チッ、俺のことをいちいち変態っていうんじゃねーよ!
その後、俺たちはなんとか冒険者たちと一緒に街へ帰ることができた。
※次は10月15日の18時10分ごろに第15話を投稿します。
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