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12話 はじめての金稼ぎ

 昨日は災難だった。


 事情聴取をされたあと、バカ女に散々ブチギレられた。


 それに俺が使った金をきちんと返済するよう命令してきやがった。赤ちゃんの俺にいったいどうやって金を稼げっていうんだよ?

 

「ったく、次から次へと問題が出てきやがって。おかげで朝のミルクがまずくなったじゃねーか」


「全部あんたのせいでしょーが!」


 なんでそんな怒るんだ? たかがパンツ1つ盗んだくらいで……っていかん、こんなこといったらまたお説教されちまう。チッ、仕方ねぇがここは少し黙っておくしかねーか。


「……リュート、なにか悩んでるの?」


「あ? なにかってアレしかねーだろ! 借金だよ借金。こいつから借りた金返さなきゃなんねーから困ってんだよ。なんか手っ取り早く金稼ぐ方法ねぇかな? ……あっ、そうだ! もう一回地下格闘技場いって今度こそ……」


「賭け事でお金を稼ぐなんて許しませんからね!!!」


 チッ、いいアイディアだったのに止められちまった。


「でしたら冒険者ギルドにいってみてはどうでしょう? そこなら合法的にお金も稼げると思いますよ」


「あ? 冒険者ギルド? なんだそりゃ?」


 疑問を口にすると、マリアはニコニコしながら説明しはじめた。


 マリアの説明によると、どうやら冒険者ギルドは日雇いバイトをあっせんしてくれる場所らしい。そしてうれしいことに、赤ちゃんの俺やクソガキたちでもバイトをすることが可能だそうだ。


「そんないいところがあったのか…… よし、さっそくそこに行ってみるか! シアナ、マリア一緒に行くぞ!」


「うん!」「はい!」


「……私は仲間はずれなんだ」


「あ? なんだ? バカ女もおりぇたちと一緒に行きてぇのか?」


「そ、そうじゃなくって……、私はただ子供たちだけで冒険者ギルドに行かすのはどうなのかなぁって思っただけ、決して一緒に行きたいってことじゃないから! あっ、でももしリュウトが一緒に行ってほしいっていうなら……ってあれ? 誰もいない……」


 バカ女を無視し、俺たちは冒険者ギルドに向かった。






「ここがギルドか。なんかどっかの外国の映画で見たことあるような建物だな」


「リュウトさん、さっそく中に入ってみましょう!」


 中ではいろんなやつがごった返していた。昼間っから酒を飲んでるデブなおっさんがいたり、痴女みたいな服を着たイカしたねぇちゃんもいる。


「へへッ、なかなか面白そうなところじゃねーか!」


 まずはあのねぇちゃんたちをちょっくらナンパして……


「リュート、受付こっちにあるよ。はやくこっちにきて」


 チッ、しゃーねぇが俺もちゃっちゃとあっちに行くか。


「あらあら、可愛いらしいお客さんたちですね」


 受付嬢は巨乳の金髪かわい子ちゃんだった。


 へへッ、上玉の女だな。さっきの痴女たちにも引け劣らないくらいいい身体してやがる。


「……お姉ちゃん暇? これからおりぇとどっかに遊びにいかない?」


「えっ!? あ、赤ちゃんがしゃべった!?」


 またこのリアクションかよ……。いい加減飽き飽きしてきたぜ。


「リュート、お姉さんを困らせちゃダメでしょ!」


 チッ、こいつはこいつで俺を弟扱いしてんのが腹立つ!


「分かったよ! ……それでよ、お姉ちゃん。おりぇたち日雇いバイトしに来たんだけど、なんかよさげな仕事ある?」


「えーっと、クエストを受けたいってことでいいかな? それだったらまずは冒険者登録をしないと……」


「だったらその冒険者登録ってやつをちゃっちゃとやってくれ」


「はい。了解しました。今準備をするので少々お待ちください」


 しばらく待っていると、お姉ちゃんが石板をもって戻ってきた。


「はい、それでは順番にこの石板の上に手を置いてください。そのあと自動的に冒険者カードが発行されるのでそれを受け取ってください」


「冒険者カード? なんだそりゃ?」


「冒険者カードはいわば冒険者としての証明書みたいなものです」


 そのあと細かな説明や注意事項を聞かされた。


 どうやら冒険者ってのにはランクがあるらしい。上から順にS、A、B、C、D、E、Fランク。最初はみんなFランクからスタートするらしい。


 それに加え、冒険者カードには自分のランクのほかに持っているスキルや使える魔法属性なんかも自動的にかかれるらしい。


「……ってことは、おりぇにも魔法を使えるってことか!?」


「適性があればですけどね」


「よっしゃ、そりゃ楽しみだぜ!」


 さっそく俺は石板に手を置いた。すると石板が白く激しく輝きだした。しばらくすると光が消えてカードが出てきた。


「やっと来たか! どれどれ、おりぇはどんな魔法を使えるんだ?」


 早速カードを確認する。


「リュート、どうだった?」


「使える属性魔法、……なし、だと!?」


「あら、珍しいですね。大抵の人は1つくらいは使える魔法があるんですが……」


「おい、マリア。これって後から魔法使えたりとか出来ねぇのか?」


「……残念ながら、使える属性魔法は生まれたときに決まるものなので」


「ってことはおりぇは魔法を使えないのか?」


「はい」


 クソッ、なんだよ。期待させやがって。


 今日はロクなことが起こんねぇな。


「ヘヘヘッ、残念だったな。お前みたいな赤ん坊じゃ冒険者なんか出来っこねーよ! さっさとママの所に帰んな!」


 ……どこからか俺をバカにした不快なセリフが聞こえた。振り向くと、近くで酒をのんでた1人のおっさんがいた。


 こいつか。俺をバカにしやがったのは……


「あ? テメェ今なんつった?」


「だ~か~ら、ママの所に帰れっていってんだよ! ここはお前みたいなちっこいのが来る場所じゃ……」



―ードカッ



「いてぇ、なにすんだこのガキ!!」


「……おりぇは今イラついてんだよ。だからおりぇに絡んでくんじゃねーよこのクソカス飲んだくれが!!!」

 

「この赤ん坊が!! ぶち殺してやる!!」


 魔法が使えないって分かってイラついてたところだ。こいつをぶちのめして憂さ晴らししてや……



「そこまでです!!!」



 ……あ?


 聴きなれた女の声がしたので俺は動きを止め、声がした方に意識を向ける。


「なっ!? おま、なんでここに!?」


 クソ、バカ女のやつ仲裁に入ってきやがった。


「心配で後を付けていたの。そんなことより今は……」



―――シュッ

 


 ……おっかねぇ。こいつ、おっさんの喉元に刀つきつけやがった。


「赤ちゃん相手に暴力を振るおうとするなんて……決して許されることじゃありません!」


「いや、どう考えてもあいつが……」


「元はといえば、あなたがリュウトをからかったからこんな騒ぎになったんでしょ! 反省してください」


「わ、わかったよ……」


 へへッ、あのおっさん。若い女にどやされてシュンとしてやがる。


 ざまぁねー……



―――ボカッ



 ……は? なんか俺ゲンコツ喰らったんだか?


「リュウト、あなたもあなたです。いくら赤ちゃんだからってあんな安い挑発に乗ったらダメなことくらいわかるでしょ!」


 なんだこいつ? エラソーに俺に説教してきやがって! 俺の母ちゃんにでもなったつもりか? 


「分かったら返事をしなさい!!!」


 あっ、やべぇ。こいつめちゃくちゃ怒ってんじゃねーか。雰囲気でわかる。これは反抗したらとんでもないことになる。


 ……しかたねぇが、ここは俺が大人になって素直に言うこと聞いておくか。


「……わかったよ」


「よろしい。それじゃあ私は帰るから、クエスト頑張ってね」


 そういってバカ女はさっそうと帰っていった。


「チッ、余計なことしやがって。……シアナ、マリア。お前らカード作ったか? 作ったらさっさとクエスト行くぞ!」


「うん!」「はい!」

※次は10月10日の18時10分ごろに第13話を投稿します。


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